皆さん、こんにちは。
私は日頃からたくさんの子ども達の悩みに寄り添い、話を聞かせてもらっていますが、子ども達からの相談や質問の中で最近多く目にするものの一つに、問題が起きたことに対して

  • 私が何かしたから・・・
  • 私のせいで・・・
  • 私はどうすればよかったのか
  • 私が悪かったのか

という気持ちを抱えて悩んでいるケースです。

これらのフレーズをみて何かお気づきになりましたか?

いずれのフレーズも問題が起きた理由を「自分のせいではないか」と思い込んでいる、またはそう心配しているということです。

“私が悪かったんだ・・・” 自分を責めることから始まる

一般的に、人は自分では理解できないことが突然起こると、まず「その原因が自分にあるのではないか?」と疑います。

だれでも一度は思い当たる節があると思います。

ある日、突然上司や友達に冷たくされたり、つらく当たられたり、挨拶を無視されたりしたら、「あれ?私何かしたかな?」と思った経験があるかもしれません。

しかし、後で考えてみたら「あの日は体調が悪そうだったな」、「夫婦ゲンカしたって言ってたし」、「イヤな事があってヘコんでたから」とか、その人の事情でそんな対応をしていただけだった、なんてことが分かって、「なんだ、そうだったんだ!」でスッキリしたという結末も。

しかし、大人と違って、子ども達はこの「結末」まで自分の力でたどり着けず、「自分が悪かったんだ」という気持ちを持ち続け、苦しむことが多くあります

それは、幼いうちは

  1. 自分と相手が違う」ということがまだはっきりと理解できないため、
  2. 理由が分からないという不安に耐えられないため、
  3. そして相手を責めずに済むため、です。

夫婦ケンカの例 ~皆を守るための最良の方法~

例えば、子どもは親がケンカをしていると、理由が分からないので「自分がいけない子だから・・・」と結論付け、自分を責めることがあります。

そこに結論を持ってくることにより、理由が分からない不安から解放されるとともに、大好きなお父さんと大好きなお母さんのどちらかを責めずに済むからです。(『よりよい夫婦喧嘩』参照)

それがエスカレートすると、親のケンカを止めようとして、しなくてもいい努力、はたまた、しなくてもいい失敗を繰り返したりする場合もあります。(『失敗を繰り返す子』参照)

私がたくさん勉強して、いい点を取れば、親がケンカすることはなくなるだろう

親がケンカする前に、自分が悪いことをして怒られれば、ケンカにならずに済むだろう」という具合です。

行動だけ見れば、「なんでそうなるの?余計手のかかることをわざわざするの?」と思われるかもしれませんが、子どもの中ではきちんと一本筋が通っている理屈なのです。

そして「自分を責める」というアイデアは、幼い心が導き出したみんなを守る最良の方法なのです。

思春期の壁!

この傾向は、年齢が上がっていくにつれて、自他との境界線が引けるようになると自然と和らいで行きますが、幼い頃から自分を責める必要がたくさんあったケースでは、この境界線を引く作業が上手くできずにいろいろな人間関係で苦しい思いをする人もいます。

中でも、人間関係が複雑になる思春期に多くこの壁にぶつかるようです。

ただでさえ、思春期はその特有の葛藤があって悩みを抱えやすいのに、加えて「自分が悪い」と自分を責めるクセが抜けていないとしたら、とても苦しいことだと思います。

① 自他の境界線を引く

不必要に自分を責めることから卒業するためには、自分と他人の境界線を引くことを習得する必要があります。

境界線を引くとは簡単に言うと、相手の事情・気持ちに焦点を当てることです。

これは相手の立場に立って考えるという想像力を必要とする、とても高度な能力なのです。

人間関係で衝突が起きたときに、「たぶんあの人は機嫌が悪かったんだろ~、さっき怒られてたもんな」「テストの点が悪かったみたいだから、ただの八つ当たりでしょ」「あの人もいろいろあるんだな~、大変だね~」と相手の事情・気持ちを考えながら、いろんな可能性を探すことです。

これができるようになると、自分を責めて傷つくことも減り、適度に相手との距離感も保てるようになり、気持ちが安定してきます

② 曖昧さや不安に耐える力がつく

幼いうちは原因が分からないという不安に耐えられず、「自分のせい」と思い込むことで不安を解消しようとします

曖昧さやよく分からないこと、不安な気持ちを受け入れられるようになってくると、「不安になってもいいんだ」「不安があってもいいんだ」と思えるようになり、不安に耐える力がついてきます

この不安に耐える力(=宙ぶらりん力)が身につくことで、自分を責める必要がなくなってくるのです。

③ 自分を肯定できる力

自分を責めてしまう心理の根底には、自分を「そのままでいい」と思えない自己肯定感の低さがあります。

これには、自分を責めて「私がもっと努力すれば」と思うことで、相手を責めずに済むという効用があります。

「私は充分努力した」「間違ったときは修正すればいいさ」「今のままで充分だ」と自分で良いことも、間違ったこともきちんと評価できるようになってくると、相手のことも正当に評価できるようになります

そのままの自分を肯定することで、責任を不必要に自分に求めることが少なくなってくるのです。

大人ができること

思春期の子ども達は、まだこれらの能力を発展させている途中にいて、「自分を責める」ことから卒業しようともがいています

想像力を持って他人と適度な距離を保ち、曖昧さに耐える力があり、弱さを含めて自分を肯定できる人

こういう人を世間では「大人」と呼びます。(『大人になるってなんだろう』参照)

子どもたちがこれらの能力を習得し、大人へと成長していくためには、大人がお手本を示し、促し、導いていく必要があるのです。

身近に自分を責めている子どもたちがいたら、その思考回路を理解してゆっくり卒業できるように応援していただきたいと思います。

 

関連記事:よりよい夫婦ケンカ』『失敗を繰り返す子』『宙ぶらりん力を育てる』『大人になるって何だろう?』】