こんにちは。朝晩がだいぶ冷え込む季節になってきましたので、体調管理には十分気を付けてください。さて、今回は父と母の役割について考えてみたいと思います。

子どもにとって親・養育者の存在は生きていくために必要不可欠であり、この親・養育者との関係を基盤として、その後の様々な人間関係を構築していきます。

臨床心理学では、母の役割を一言で言うと「つなぐこと」と表現され、父の役割を「区切ること」と表現されます。

fa1e036e46bfaee36cc8fb45d39cfe18_s母の役割を「つなぐこと」といいましたが、つないで関係をつくるために、母は子の存在を「承認」しなければなりません。この「承認」とは、あるがままのその子を認め、その必要を満たすということです。子どもは自分を必要としている母を「感じる」ことによって、自分の存在意義を見出していきます。

母親にしっかり抱かれて、つながれた子どもは、一人でいられる能力を発達させ、思春期になると親友や異性のほうが親より大切になり、自然と「親」の存在が子どもの中から薄れていくのです。この「つなぐこと」の具体例などは、今後の記事で随時取り上げていきたいと思います。

一方、父の役割である「区切ること」には3つ仕事があります。

一つ目は、「社会的父性」と言いますが、簡単に説明すると「この家族たちに私は責任を負う」という風に、自分の家族と他の家族を区分するということです。家の塀や壁、妻や子が雨風に濡れてしまうことから防ぐ屋根の様な役割です。

二つ目は、「善悪」を区切ります。世のおきてをしき、ルールを守ることの大切さを家族に伝えていく仕事です。ここまでは、比較的多くのご家庭で父親の役割が機能していますが、最後の3つ目の役割に機能不全を起こしているご家庭も少なくありません。

特に、子どもが問題行動という何かしらのメッセージを家族に投げかけているご家庭では、この3つ目の役割が機能していないように見受けられます。

3つ目の役割とは、「母子の癒着を断つこと」です。親たちと子どもたちの間を明確に区切ることです。

66e00c83232eeecc49f9b2ac3530bb3f_s父を名乗る男性は、妻と呼ばれる女性を、何よりも、誰よりも大切にするという形で、この仕事を果たすことができます。スイスの精神分析医カール・ユングは、父の役割を母子の関係を断つナイフに例えています。

母子関係というのは、自然に癒着していくもので、そもそもこれができないと子どもを育てることは出来ないのですが、子どもの成長と共に、この癒着が断たれていく必要があります。これがスムーズに行われない場合、子どもが異性と付合う際に、つまずきやすくなってしまいます。

癒着を断つことができないケースには、夫婦関係の不仲や家庭内での父親の不在(精神的)などが挙げられます。

こういったケースに見られる共通点は、子どもが母親に対して「かわいそう」という感情を持っているということです。この感情を子どもが抱いた時に、逆に母子密着が強まり、思春期・青年期に入った時に、不登校や引きこもり、摂食障害や家庭内暴力などの症状が出てくるのです。

念のため付け加えておきますが、ここで「父」、「母」と言っているものは、親の役割の二つの要素のことで、父=男、母=女というわけではありませんし、いつも父と母の両方が必要と言っているわけではありません。一人の母が「母」の役割を果たしながら、しっかり「父」の仕事をしている場合もあります。家族によっては、夫が「母」をやり、妻が「父」をやっている場合もあります。