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皆さん、こんにちは。
今回は育てに役立つ心理学シリーズ第2弾です。

いつも見る “あれ” が気になる! ~単純接触効果~

単純接触効果とは文字通り、何度も繰り返して接触することにより、良いイメージを抱いたり、好感度が高まっていくという効果です。

一番分かりやすいのは、電車通学している学生が毎日同じ時間、同じ電車内で出会う異性に(その人のことは何も知らないのに)好感を抱くというケースです。

この心理学は実はお家の中でもたくさん使われています

  • お家の中に夫婦の結婚式の写真を飾る
  • リビングに子どもの写真や家族写真を飾る
  • 子どもが描いた絵・文字・作品、大会で得た賞状やメダル・トロフィーを飾る
  • 壁に好きなアニメやアイドル・モデルのポスターを貼る

夫婦関係や家族関係の良い思い出にいつも触れること、過去の思い出を語り合ったり、再び褒められることで、好感度や評価を高める効果があります。

逆に言えば、夫婦関係がうまく行っていない人は、夫婦の写真をいつも目に付くところに飾ることでお互いの好感度を高める効果があるかもしれません。

子どもとの関係が上手くいっていない人は、子どもが嫌がらない範囲で、子どもの写真や家族写真を飾ったり、子どもの作品などを飾ってみると嬉しいかもしれません。

この法則は子供の興味や勉強を応援するのにも効果的です。

本を読む子に育ってほしいと思うときは、リビングルームに本棚を置いて、子どもの興味のある本や、興味を持ってほしい本をそっと置いておくのもいいですね。

そして、できるだけ一緒に読んだり、本を読んでいる姿を見せましょう。

勉強に関しては少しハードルが高く、本を置いておくだけよりも、親が一緒に勉強をする、勉強をしている姿を見せる、など「親が勉強をしている、もしくは自分の勉強に関わっている」という姿にたくさん接触させることで効果が出てくるかもしれません。

その際は、否定したり、叱りすぎたり、子どものやる気を奪う行為は逆効果になるので気をつけましょう。

スポーツや趣味に関しても同じことですね。

子どもが親と同じスポーツをしたり、親と同じ職業を選んだりするのは、話を聞いたり、目にする機会が多いことで、単純接触効果が働いているとも考えられます。

無理にやらせなくても、毎日目にすることで、自然と好感を持つようになり、興味を持つ、持ち続けることにつながるかもしれません。

イヤイヤだけどやったらできた ~作業興奮~

作業興奮とは、「やりたくない」と思っていることでも、一度やり始めると不思議とやる気が出てきて作業が続くという効果です。

人の一日はこの作業興奮の効果に助けられていることがよくあります。

  • 「今日、学校に行くのイヤだな~」と思いながらも、一旦行くと、友達と会って楽しく過ごして、いつの間にか「帰りの会」になっていた。
  • 朝「仕事行くのいやだなぁ」と思いながらも、とりあえず起きて朝のルーティーンをこなしているうちに、仕事に行く気になってきた。
  • 「今日の夕飯の準備、面倒だなぁ」と思いながらも、作り始めたら、結果的に手が込んだ料理が完成したり、予定よりも多い品数が出来上がっていた。

人の脳は何もしていない状態だとやる気が起きにくく、イヤなことがどんどんイヤになっていき、できない自分を責め始め、体が動かなくなるという負のサイクルになりやすいのです。

要は「頭でっかち」になってしまうのですね。

何かを始めることがイヤだ・不安だ・面倒だと感じることはとても自然なことです。

イヤな気持ちを何とかしようとせずに、とりあえず行動に移し、作業を始め、体を動かしてしまうことで、イヤな気持ちから離れ、やってるうちにやる気が出てきて、作業に集中できるというサイクルになります。

結果、イヤなことでもいつの間にか達成しているのです。

あれこれ考えて仕事を先に延ばすよりも、イヤイヤでもいいのでとりあえずできることから始めてみると案外達成できるということです。

これはあくまでも、自分の中での「自己コントロールの法則」です。

どうしても体が動かないというときは、とても疲れている、自律神経が乱れているなどの理由が考えられますので、無理せず休むことも大切です。

また、不登校の子どもに「イヤな気持ちは分かるけど、行動してみると案外上手く行くかもよ」と諭すのは問題ありませんが、本人の意志を無視して無理やり登校させるなど、他人が強制することは他者コントロールになってしまい、逆効果になりかねませんのでご注意を

心理学の大原則に通じる ~返報性の原則~

返報性とは、相手から親切にされたり、プレゼントをもらったりしたときに「お返しをしたくなる」心理のことです。

逆に意地悪されたり、イヤなことを言われたら、その仕返し(報復)をしたくなるという負の側面もあります。

私はこれを子ども達に説明するときに、自分が相手にやったことや言った事はそっくりそのまま返って来るという意味で、「ブーメランの法則」と呼んでいます。

この原則は、様々なレベルの関係で働きます。

友達関係や夫婦・家族関係においても、相手に不満ばかりを訴えても同じような不満しか返ってきませんが、まず自分が相手に親切な対応をすれば、相手も親切な対応を返してくれるでしょう。

子育てにおいても、親がたくさん「ありがとう」と言って育てれば、子どもも感謝できる子に育つでしょうし、他人に優しくできる思いやりを持って育てれば、思いやりのある子に育つでしょう。

しかし、親が子どもを邪険に扱ったり、低く評価していれば、子どもも相手のことひいては自分のことを低く評価する子に育ちかねません

人と人との関係はもちろんですが、組織と組織、国と国などの大きな単位の関係においても同様の原則が成り立ちます。(日韓関係悪化の現状がまさにこれですね。)

優しくされたら優しく応えるし、意地悪されたら仕返ししたくなるのが、人間の心理なのではないでしょうか。

他人と過去は変えられない?

心理学には、「他人と過去は変えられない」という大原則があります。

相手と過去を変えようとすると、そこに無理が生まれ、人は苦しみます。

相手にたくさん指示・要求してくる人というのは、自分勝手なように見えて、内心では「満足できない」というストレスを抱えていて、決して幸せではないのです。

変えることができる唯一の存在は「自分」だけです。

まず、自分が変わること。その後に、周囲や状況が変わるという結果がついてくるのです。

そして、自分を変えるためのお手伝いをするのが、心理学やカウンセリングなのです

この「ブーメランの法則」は、その大原則に大いに通じていると思います。

  • 相手に優しくしてほしいと求めるのならば、まず自分から相手に優しくしてみる
  • 相手に理解してほしいと思うのならば、まず自分から相手を理解してみようと試みる
  • 言葉使いをやわらかくしてほしいのならば、まずは自分の言葉遣いに気をつけてみる

ブーメランの法則を意識することで、人との関係はいくらでも改善の見込みがあります。

状況を改善するために、まずは自分ができることから探してみませんか?

今の状況を何とかしたい、自分を変えたいとお考えのときは、おやこ心理相談室をご利用ください。

心理学やカウンセリングを通して、それぞれに合った方法を一緒に考えていけると思います。

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