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皆さん、こんにちは。
我が子が不登校や引きこもりになってしまうと、親としてどうしたらいいのか対応に困ってしまうことがあります。

家族の問題は家族内で解決する!」と、ご家族の中で抱え続ける方もいれば、知人や友人、各種専門家などに意見を求め、様々な意見やアドバイスに混乱してしまう方もいらっしゃいます。

本人のやりたいようにやらせてあげて下さい!

ある10代後半の息子さんは家庭内で大暴れし、1か月間入院することになりました。

その後も、しばらくの期間、息子さんは心療内科の治療を受けていましたが、それを機に母親も「息子への接し方を改めたい」と当相談室へお越しになりました。

話を聞いていくと、息子さんは、先生や友人との関係、学校生活全般がうまくいかなくなってしまい、中学2年生の3学期頃から不登校になってしまったそうです。

困り果てたお母さんは息子さんを近隣の病院に連れて行きました。

ところが、担当医師に「まずは見守ってあげ、本人がやりたいようにやらせてあげて下さい」と助言されたそうです。

民間のカウンセリングルームに相談に行った際にも、同様の内容を言われたそうです。

見守っていたら、状況が悪化・・・

その通りにしてみると、息子さんは居間で長時間ゲームをするようになり、食事は息子が食べたい物を食べたい時間に出していたそうです。

これでは息子さんがこの家庭での王様ですね。

見守ることに母親は不安を覚えていましたが、夫は担当医師の方針を貫こうとしたのです。

ある晩、息子は暴れだし、家中の食器やグラスを投げ、家具や壁を蹴り飛ばし、父親と母親を押し倒すなど、家中を滅茶苦茶にしてしまったのです。

ここまで見れば、息子さんは大変乱暴で、感情的なお子さんのように思えますが、実際はその逆です。

真面目で、几帳面、礼儀正しく、一見するとそういった行動とは無関係なイメージです。

ここで問題の焦点が息子さんに向いてしまいがちですが、問題の本質はこの子ではありません

「父」vs「母親と息子」という構図?

当時、夫婦間ではコミュニケーションがまったくなく、母親は夫に対して不満を持ちつつも口を閉ざしていました。

家庭内では「父」vs「母と息子」の構図ができ、母と息子が一緒に父親を批判することも度々ありました。

家族療法ではよくある介入ですが、こういったケースの場合、両親と子どもの空間に区別をつけるように提案する場合があります(☚これを「世代間境界」と呼びます)。

例えば、食事の際、お母さんと息子さんが隣り合い、お父さんが向かいに座っていたところを、両親が隣り合い、息子さんを向かいに座らせるよう提案しました。

車も運転席と助手席に両親が乗るように変更しました。

夫婦の足並みがそろっていることがポイント!

そうすると、この夫婦は、徐々に普段から会話をする機会が増え、息子がわがままを言ったとしても、夫婦が同じ考えで、足並みをそろえて息子に向き合えるようになってきたのです。

ここまでくれば、息子さんの状態も落ち着き、この家族が本来進むべき方向に進み、「家族」として機能し始めてくるのです。

夫婦関係の中で、夫の問題点は妻が、妻の問題点は夫が、実はよくわかっているものです。

この問題点が夫婦関係の中で処理されない時に、子どもに影響が出ることがあります(☚『家族の中の子どもの役割』を参照)。

その点を理解せずに、やみくもに「見守ってあげて下さい。本人のやりたいようにやらせてあげて下さい」という助言は、家族の問題をエスカレートさせ、取り返しのつかない状態に追い込んでしまう可能性があるのです。

関連記事:子どもが問題行動を起こす時』『夫婦喧嘩のアフターケア』『一家の平和を望む子ども』『子どもが起こす家庭内暴力』】

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