食に関する問題 Dietary Habits
食事は、睡眠や排泄とならんで人間の健康にとって重要な三大要素の一つです。
心に問題が生じると食欲が落ちてしまったり、食べ過ぎてしまったりすることがあります。それは、大人でも子どもでも同じ事です。
心が満たされている状態で食事をとるのと、ストレスを抱えている状態で食事を取るのとでは、消化吸収の程度が異なり、実際の栄養摂取にいちじるしい差が生じてくると言われています。
心が疲れていると、いつもは美味しいと思っていたものでも、味がしなかったり、純粋に美味しいと感じられないものです。
このように、心の問題が食に影響し、食の問題が心に影響しているのです。ここでは、食に関する相談事例をご紹介します。
小学3年生の息子ですが、家でも学校でも、偏食で好きなものしか食べようとしません。 叱っても全く効果がなく、どう接したらよいのか困っています?
まず、親やまわりが偏食にこだわり過ぎないことが第一です。
給食が食べられないために不登校になる子どもが小学校低学年では比較的多くみられますが、その背景には、担任や親御さんが執拗に厳しく食べるようにしむけている場合が少なくありません。
親や周囲があまりこだわり過ぎないよう心掛ける一方で、ご家庭では、家族全員で、お子様が嫌いな食べ物を楽しく食べる様子を見せることも効果的だと思われます。嫌いな食べ物の背景に、楽しい印象を持たせる事も効果的です。
中学校2年の娘が、突然摂食障害(拒食)になりました。体重も減っていく一方で、体力も続かず、「疲れた・・・疲れた・・・」と口癖のように言っています。どう接していけばいいのでしょうか?
摂食障害には、症状の種類として、やせ症(拒食)と過食症があります。娘さんの場合、やせ症(拒食症)の可能性が考えられます。やせ症は、体力を維持できないほどに痩せているのに、それでもなお痩せ続けることに多大な努力をしてしまう状態です。
摂食障害の本質は、表面に現れた食欲の異常や摂食行動の異常の背後におかれた心の深層に抑圧された葛藤にあります。また、発症前の傾向として、比較的 “良い子”が多く、母子密着型の傾向にあるようです。早期発見早期介入により、予後は良好です。場合によって、緊急を要するケースもあるので、医療機関または当相談室への受診をお勧めします。
2歳の息子が、最近、砂や石、ゴミや髪の毛、糸や布など好んで食べたがるようになってしまいました。取り上げると泣き喚くし、体にも良くないとは分かっているんですが・・・。
いわゆる「異食」と呼ばれる行動ですね。1歳半ば頃からこの行動が表れるお子様がいます。特に、自閉的傾向や知的に遅れのあるお子様に多く見られるようですが、食べ物以外のものを口にいれることが全て異食であるとは限りません。
子どもが異食をする場合には、ビタミンやミネラルなどの栄養分が不足している場合や子どもが不安だったり欲求不満だったりした場合に、その表現として異食行動が表れることがあります。お母様とするととても心配になられると思いますが、年齢と共に異食行動は治まっていくものです(良し悪しの区別がつく3歳ころまでには)。できるだけスキンシップを増やしたり、子どもが安心できるような環境作りを心掛けてみられてはいかがでしょうか。
保育園年中の娘が、食事に集中できず、食べるのに時間がかかり、時間内に食べられず、残すことが多いです。小学校に進学するにあたり心配です。
この年代のお子様を持つお母さんには、比較的多い質問です。 “食べる”という行動に、あまり興味を持てず、遊びやおもちゃなどへの興味が上回っているという時期です。この時期のお子さんに、強制的に時間を制限して食べさせることは逆効果になります。
時間内に食べられなかったことに注目するよりも、食べた量や品数などを褒めてあげ、“食べる”行動に良い印象を与えることも大切です。成長と共に、自然と食事の量も増えてくると思いますので、長い目で見てあげましょう。