皆さん、こんにちは。
臨床心理学における研究では、人間の考え方の「スタイル(クセ)」は7歳頃に決まると言われています。
うつ病研究で有名な心理学者のセリグマンは、「説明スタイル」という、とても面白い研究をしています。
「説明スタイル」とは、人は何かを体験したとき、その出来事に自分なりの説明を加える、というものです。
そして、個人個人の特徴ある「説明スタイル」が作り上げられるのが7歳頃であり、しかもそのスタイルは40歳になっても変わらない傾向があると報告しているのです。
ネガティブ思考(悲観的スタイル)
たとえば、何か悪い出来事に出会ったとき、「それはすべて自分のせいであり、自分にはこのようにいつも悪いことが起きる。そして、何をしても結局そうなってしまう・・・」というような説明スタイルを、セリグマンは「悲観的説明スタイル」と呼んでいます。
全ての体験に対して、いつも自己否定的で、ネガティブな考え方をするスタイルです。
そして彼は、悲観的説明スタイルの人が、うつ病になりやすいとも言っています。
つまり、7歳頃までにうつ病になりやすいかどうかが決まると考えたのです。
この考え方が正しければ、学童期(4歳~12歳)に固まる「考え方のスタイル(クセ)」が、大人のうつ病にも、大なり小なり影響していることになります。
ポジティブ思考(楽観的スタイル)
一方で、悪い出来事が起きても、「それはたまたま起きたことであり、自分のせいではない。タイミングが悪かっただけだろう」と説明する人もいます。
彼はこのスタイルを「楽観的説明スタイル」と呼んでいて、この説明スタイルの人が成功者になる可能性が高いとも言っています。
また、このスタイルを持っている人は、もし大人になって何らかの精神疾患にかかったとしても、回復にかかる時間が短く、症状もひどくならないという研究結果を出しています。
このようにセリグマンは、学童期までに、この「楽観的説明スタイル」を子供に学習させることを薦めています。
お手本を示してあげる
私自身もセリグマンの考え方には賛成しており、いろいろな経験の「意味づけ」の基本的枠組みを、学童期に身に着けてほしいと思っています。
例えば、学校生活や友達関係、あるいは子ども自身に何か悪い出来事や思いもよらぬアクシデントが起こった時に、親として「物事には何かしらの意味があって起こっている」、「悪いことが起きても、そこには何か良いこともあるはずだ」、「その体験から学び取れることは何か」という視点をもって、子どもと接してほしいと思います。
子どもが、この「楽観的スタイル」を身に着けるためには、親や周囲の大人が、物事をみる手本を示す必要があります。なぜなら、そのお手本が子どもにとってのモデルになるからです。
「悪いことも起きれば良いことも起きる。悪いことがあるからこそ、良いことが起きたときの楽しみが増す」というように、悪いことが起きたからといって、「それですべてが終わりではなく、またそれがすべて子どものせいではない」という楽観的スタイルを7歳頃までには、子どもたちに「言葉のシャワー」として浴びせてあげてほしいと思います。
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