先日、当相談室の顧問先であるWe’LL English Class主催のハロウィーンパレードに参加してきました。地元の子ども達が25名程集まり(3歳から小学校6年生)、各グループに分かれ、リーダーの指示のもと、家々を回り歩き、お菓子やシールを集めるというパレードでした。
その中で、私がとてもユニークだと感じたことは、約300mの一本道をほぼ通行止め・貸切状態にして、薄暗い夜道を、子ども達が自分の意思で自由に歩き回れるということです。グループのリーダーと相談して、「どの家に行くのか?どの順番で回るのか?みんなが安全に帰ってくるためにはどうすればいいか」を決めて歩き出していきました。また、道を歩く大人にも勇気を出して自分から挨拶をすると、そこでもお菓子がもらえるという特典付き。
このパレードには、いたるところに自己決定するチャンスがちりばめられていて、子ども達の自主性が自然と鍛えられるような仕組みができていると感じました。
この自主性をどれだけ持っているかが、その子どもの「自我の強さ」でもあります。
暗い夜道を歩いて知らない家を訪れて、知らない人に自分から声をかけていくことは、ワクワクもあったと思いますが、恐怖感もあったでしょう。でも、実際に行ってみるとお菓子を沢山もらえたり、褒めてもらえたり、楽しい思い出が出来たりと、子どもたちはその恐怖を克服していました。そして帰ってきた子どもたちの顔には、達成感と自信があふれ出ているようでした。
実は、子ども達に体得してほしいのは、自分の力で困難に立ち向かおうとするコツです。それにはただ過保護でかわいがっているだけでは体験することは出来ません。少しくらい怖くても、厳しくても、「やってやる!」という意地を発揮し、そしてやり通す。こんなふうに、いやなこと、怖いこと、厳しいことも乗り越えるというたくましさが育つと、子ども達は、何かにおびえたり、恐れたりすることが減って、毎日楽しい日々を送れるようになるのです。
このように受け身から能動的に変わっていける力を、臨床心理学では「自我の強さ」と呼びます。自我の強さを習得できると、少しぐらい嫌なことがあって傷ついてしまったとしても、日常生活の中でやるべきこと(勉強や手伝い、習い事など)をしっかりとやり抜こうとするこころの機能を身につけることができます。また、感情のコントロールも身についてくるので、自分の周りに起こる様々なことを冷静に捉え、しっかりと言葉で表現できるようになっていくのです。以前のブログで紹介した「まっ、いいか!」という発想も自我が強くないと持てない考え方です。
今回のパレードは、子ども達にとって、ワクワクやドキドキの方が強かったかもしれませんが、持ち帰ったお菓子やシールの他にも、「自我の強さ」という子どもたちが、この先、生き延びていくために必要不可欠なスキルも一緒に持って帰っていったように感じました。
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