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皆さん、こんにちは。
いつもおやこ心理相談室をご利用いただき、ありがとうございます。

思春期や青年期のカウンセリングや結婚支援カウンセリングの中で、ラポール(信頼関係)が形成され、少しずつ本音が語れるようになってくると、よく出てくる心の声の一つに、「私は、(お母さんよりも)幸せになってはいけない」「幸せになるのが怖い」「幸せなことが起こると必ずそのあとにそれよりも大きな不幸が待っている」というものがあります。

これはもう、生きづらさを抱える方々の本当に多くが、心の奥の方に持っている感覚のようです。

こういった方々は、この信念の下「幸せにならないように、幸せにならないように」と必死に心掛けて生きていらっしゃいます

この考え(もはや呪縛)は一体どこから来ているのでしょうか?

人は本当に幸せになってはいけないのでしょうか?

(この考え方は意外と広く浸透していて、日本の未婚率が上昇している要因の一つになっているのかもしれません。)

☘ 人は何のために生まれてくるの?

元来、人は幸せになるためにこの世に生まれてきます

幸せになることは人として生まれ持っている権利です。

当たり前の話ですが、赤ちゃんの頃は、自分の要求を叶えてもらうことに気を遣ったり遠慮したりしません。

それは母親との関係に基本的信頼感を構築するうえで、とても大切なプロセスだからです。

しかし、成長していくにつれて、自分が幸せを求めることがいけないことのように感じられてくることがあります。

それは育った環境の影響がほとんどと言っても過言ではありません。

赤ちゃんが生き延びるうえで一番重要な存在は母親ですね。

そんな一番近くの人が不幸そうに生きてきているのを目の当たりにして育ってきたとしたら、自分もそうしなければと思い込んだとしてもなんら不思議はありません。

逆に、母親が幸せそうに生きているのを間近で見てきたとしたら、自分も幸せになってもいいんだと思い込むことが自然です。

個人的な意見になりますが、程度の差はあれ、母親の様々な人間関係の中で、子どもに一番影響を与えるのは、夫婦関係のように思われます。

☘ 子どもに与える夫婦関係の影響力?

母親が持つ人間関係は、主に夫婦関係・自分の両親との親子関係・義理の両親との関係・会社での人間関係・友達関係・学校での人間関係など、様々あります。

もし、他の関係が上手く行ってなかったとしても、夫婦関係が上手く行っているかどうかが子どもにとっては最も重要な判断材料になるようです。

逆に言えば、他の関係がどんなに上手く行っていたとしても、夫婦関係が崩壊していたとしたら、それだけで十分子ども達は「お母さんは不幸だ」と思うに至るようです。

「幸せになってもいい」という信念も「幸せになってはいけない」という信念も、確たる根拠がなく、無意識の部分に形成されているので、自分では気が付きづらいのです。

しかし、「幸せになってはいけない」という信念を抱き生きてきた人の多くは、「自分」とか「幸せ」というものを考えるタイミングが来た時に、今までの生きづらさに気付き始めることがあります。

☘ 人生脚本

これらの人々が幸せになるためには、この「幸せになってはいけない」という思い込みに自分自身で気付き、それをどこかで書き換える必要があります。

このような誤った信念を心理学用語では、「人生脚本」と言います。

この「人生脚本」は、「無意識の人生計画書」とも呼ばれていて、その人の生き方のパターンを決めるものです。

例えば、恋愛や人間関係で「いつも同じパターンでうまくいかない」とか、「結局、いつもこうなってしまう」というパターンのことを指していて、その背景には、自分ではなかなか気付くことが難しい「無意識」が影響していると言われています。

しかも、この人生脚本の大まかな筋書きは、6~7歳頃には作り上げられると言われています。

そして、この筋書きの材料となるのが、一番身近な存在である親(母親)の影響(仕草・言葉や口ぐせ)なのです。

ですから、皆さんが望んで手に入れたわけではなく、皆さんが悪かったわけでも、間違っていたわけでもありません

☘ 人生脚本簡単チェック

母親がいないところで母親の顔を思い浮かべてみて下さい

母親が笑顔で笑っているところが思い浮かぶ人は、母親のイメージが良好で、そこまで心配はないと思われます。

一方、母親が疲れた顔をしている、ため息を吐いている、父親とケンカをしている、ヒステリックに怒っている、病気で寝ている、寂しそうな顔をしている等、ネガティブな姿が思い浮かぶ人は、何らかのネガティブな人生脚本が形成されている可能性が高いです。

しかし、だからと言って一概にお母さんが悪いかというと、そんなことはありません

お母さんもまた、不幸な人生脚本が形成されていて、それを書き換えることができずに生きてきたのかもしれません。

これも一つの世代間連鎖となりうる思考パターンなので、どこかで断ち切ることが大切です。

☘ 自分の人生脚本に気付くことが大事

「幸せになってはいけない」という人生脚本が完成されている人は、表面的には「幸せ」になりたいと思っていても、この幸せや成功が実際に近づいてくると、自分からあえて失敗や問題を起こし、そこから逃げ出そうとしてしまいます

それらの問題を解決するために始めたカウンセリングの中で、過去の行動を振り返っていくうちに、自分の中の人生脚本に初めて気が付くということはよくあります。

自分ではよく分からないのに、「いつもうまくいかない、いつも同じパターンの繰り返しだ」などの悩みや苦しさを抱いている方は、一度自分の「人生脚本」を振り返ってみるといいかもしれません

一人で取り組むことが難しい際は、専門家と一緒に取り組んでいけるとリスクも少なく、安全に安心して行うことができるでしょう。

親によって書き込まれた人生脚本であっても、まずはそれに気づくことで、今度は自分の力で「人生脚本」を新たに書き換えていくこともできるのです。

その先に、皆さんらしい本当の幸せが見えてくることでしょう。

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