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皆さん、こんにちは。

中学校に入り、自傷行為(リストカット、過食や拒食、OD、抜毛など)が始まり、それが徐々に加速していき、そのうち「消えたい」とか「死にたい」という気持ち(希死念慮)を抱くようになり、だんだん学校に行けなくなってしまう中高生がここ1、2年でとても増えています

このようなケースは、特に女の子に多く見られます

コロナウイルスの影響もあるかと思いますが、毎日の生活に何らかの心配や不安を抱えて、誰にも言えずに苦しんでいる子ども達が増えているという証拠だと思います。

言い換えれば、それくらい「みんなと同じように毎日学校に行く」ということが難しくなっている子ども達が増えているということかもしれません。

周囲から頑張り屋さんに見られることが多い

彼女たちに見られる共通点としては、学校では頑張り屋さんで、色んなことをそつなくこなし、友人ともそれなりに付き合うことができて、一見すると特に問題はなさそうに見える点です。

彼女たちは、幼い頃から、親(母親)の言うことをよく聞く、従順ないい子で、口ごたえすることもなく、ほとんど全てのことをできて当たり前のようにやってきました。

だから、多少登校渋りが出てきたとしても、親も先生も「もともと頑張り屋さんだから、頑張れば何とかなるだろう」と考え、理解を示しつつももうちょっと頑張ってみよう」と背中を押すような支援をしがちです。

本人も、どんなに苦しくても、放課後登校や保健室登校をしながらも、無理してなんとか学校に行こうとします

しかし、専門家の視点からすると、登校渋りといった目に見える症状が出てきている時点で、彼女たちはもうすでに限界なのです。

元々、「誰にも迷惑をかけられない」「自分で何とかしなきゃ」という気持ちが強いので、リストカットやその他の自傷行為をやっていることを必死で隠しています

また、親や家族も気が付かないうちに慢性化し、深刻化していることも少なくありません。

当相談室には、中学生で来談するケースと、高校生になってから来談するというケースがありますが、高校生になってから来談するケースでも、そのほとんどが中学生のうちから何らかの自傷行為をやっていて、それらを隠し続け、高校になってから本格的に学校に行けなくなり、同時に自傷行為が発覚した、という経緯が少なくありません。

そもそも、自傷行為をする背景には、わざわざ自分で自分を傷つけないといけないほどのストレスを抱えているわけです。

そこに目を向けていかない限り、この問題が根本的に解決することはありません。

本当に訴えたい気持ちとは?

さらに、彼女たちは「自分の気持ちを言葉にできないという、もう一つの共通点があります。

本当は「親に分かってほしい」、「受け入れてほしい」という思いがあっても、自分でもそれに気づいていない場合や、気付いていても、それを表現することに抵抗を感じて言葉に出来ない場合もあります。

いずれにしても、自分の想いを周囲に伝えられないことや周囲が自分を理解してくれないことに対して、寂しさや怒りを抱えていることが多いです。(もちろん、自分ではどうにもできません)

「消えてなくなりたい…」

自傷行為を隠しながらも続けていると、徐々に集中力が保てずテストの点数も下がり、好きや嫌いといったシンプルな感情もよく分からなくなってきて、無気力・無表情になり、自分の存在意義がよく分からなくなってきます。

そこまで来た子ども達は、口をそろえたかのように「消えてなくなりたい…」と力なく訴えます。

この状態になっても、まだ多くの親や先生は「学校に行く」ことにこだわります。

ここまで読むと、それがどんなに子ども達を追い詰める危険なことか、分かっていただけるのではないかと思います。

「消えてなくなりたい…」というフレーズは、親や先生のことを素直に信じ、真面目に頑張りすぎた結果、心ががんじがらめになった子ども達のSOSなのです。

本来なら、周囲が自傷行為に気が付いた早い段階で、見て見ぬふりをするのではなく、スクールカウンセラーに相談する、専門家のカウンセリングを受けるなどの対応を取ることが望ましいのです。

女子中高生の不登校問題の約半分は自傷行為を伴う:おやこ心理相談室独自データ

今までに当相談室に来談された女子中高生の登校渋りと不登校のご相談のうち、56%に何らかの自傷行為と希死念慮が関わっています

そして、これらのご相談の平均年齢は、15.56歳です。

しかし、当相談室における、このような女子中高生のご相談のうち、現在継続中のご相談を除き、ある程度カウンセリングを継続し終結したケースは、

  • 進学・復学・転校のちの終結(88%)
  • 家で元気に過ごせるようになる、家族関係が良くなるなどのポジティブな終結(12%)

がほとんどです。

また、過去のデータ分析から、カウンセリングの継続回数は平均すると23.8回ですが、中学生の平均回数は8.3回に対し、高校生は30.4回と少し長めにかかる傾向があるようです。

もちろん、同じように見えてもそれぞれの問題の背景には様々な事情があるので、複雑な事情を抱えている場合は長くかかりますし、回復のペースには個人差もありますので、回復までに何回カウンセリングが必要と、言い切ることはできません

40、50回と長く継続するご相談もありますが、中には3回のカウンセリングで終結したご相談もあります。

このことから、なるべく早い介入とある程度カウンセリングを継続することができれば、彼女たちが回復して、元気に自分らしく過ごせるようになることも十分望めます

中でも、希死念慮を伴うような危険な場合は、少なくとも週1回ペースのカウンセリングをご提案しています

当相談室では、子どもの定期的なカウンセリングのために、お得な月契約も準備しております。(これまでの女子中高生の月契約者様のカウンセリングの平均回数は35回(約8,9カ月)で、高校や大学・専門学校への進学率は100%です。)

学校に行くことが難しい場合に備え、おやこフリースクールもスタートさせ、それぞれの子ども達に合った形で柔軟に対応したいと考えています。

カウンセリングは勇気が要ること

カウンセリングに通うことは、大変勇気のいることだとは重々承知しております。当然、時間もお金も労力もかかります。

それでも、たくさんの「おやこ」が、おやこ心理相談室とつながろうとしてくれるのは、親御さん達が子どもさんに「少しでもラクに自分らしく人生を歩んで行ってほしい」「笑顔を取り戻してほしい」、「幸せになってほしい」と心から願っている証拠だと思います。

私たちもその願いを受け止めながら、子ども達に「ひとりでも本気で自分のことを理解しようとしている人がいる」と実感してもらえるように、日々努力して参りたいと思います。

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