皆さん、こんにちは。
いつもおやこ心理相談室をご利用いただき、ありがとうございます。
今回は、前回のコラムに引き続き、「機能不全家族」について詳しく解説していきます。
☘ 機能不全家族簡単チェックリスト
ご自身のご家族が機能不全家族かどうかを判断するための簡単なチェックリストをご紹介します。
機能不全家族には、3大ルールというものが存在します。
これら3つのルールに当てはまれば、あなたの家族は立派な機能不全家族というわけです。
- しゃべるな
- 信じるな
- 感じるな
これらのルールを聞いて、さらっと流せない、何か心に引っかかるものがあるという場合は要注意です。
この3つのルールは表立って言葉にされることのない、家族の中での暗黙のルールとして存在しています。
少し詳しい説明を付け足します。
- しゃべるな → 本当に困っていることは誰にも話してはいけない
- 信じるな → 他人(家族でも)を信じるのは危険!
- 感じるな → 感情は無視する方が安全 → 感じない方がラク
この暗黙のルール下では、家庭内で何か困ったことが起こっても、「誰にもしゃべってはいけない」「人を信じることは無駄だ」ということを学び、人を信じないことを学習していきます。
そして、それらの学習から、感情を分かち合うことは危険だという結論にたどり着きます。
その結果、感情を無視して抑え込む方法を身につけ、ときには感情を感じることさえなくなってしまいます。
これらの3大ルールにより、子どもたちは感情や善悪の概念がマヒしていき、自己に対する適切な評価が失われていき、外部に助けを求めることが難しくなっていくので、家族の問題が改善されることはありません。
☘ 世代間連鎖を断ち切るためには?
この世代間連鎖を断ち切るためには、まず何よりも「自分の家族が機能不全である」という認識を持たなければなりません。
家族の中で誰か一人でも生きづらさを感じているならば、そのことに直面して、受け止めなければなりません。
ここが一番難しい、けれど一番重要なポイントです。
機能不全に気が付くことができたら、情報を集めたり、人の話を聞いたり、助けを求める具体的な方法を模索することができます。
特に、機能不全家族で育った子どもたちが健全な大人になるために必要なのは、親以外の大人(支援者)との「つながり」を持つことです。
子どもにとって、親は唯一のお手本ですから、別のパターンを誰かが見せない限り、彼らも機能不全のパターンを繰り返してしまいます。
親以外にお手本になれる大人とは、子どもを一人の人間として尊重して、子どもが一人で家族の問題を解決しなくてもいいように手助けをしてくれる人でなければなりません。
例えば、親戚、友人の親、近所の親、学校の先生、塾の先生、病院の先生、専門機関の先生など。
これらの大人とのつながりが持てれば、子どもたちは自分の家の出来事だけにとらわれないで済むようになり、彼らの生活はこれまでと違ったものになるでしょう。
皆さんも、子どもの頃に友人の家に遊びに行った時や他の親子の何気ないやり取りを垣間見た時などに、「自分の家とは違うな」と思った経験はありませんか?
それは、そのお家の雰囲気や親と子の関わり方(接し方・言葉遣い・関係性など)を見て、自分の家とは別のパターンに触れる中で、「もしかしたら別のやり方があるのかも?」と比較検討しているのです。
そして、そのやり方がより良いと判断したら、「うちもこんな感じだったらいいのに」とか「私もこんな家庭を作りたい」と、無意識のうちにお手本にしているのです。(オープンに人を呼べる家庭は、機能している家族であることが多いです。)
しかし、機能不全家族で育った子ども達は、そもそも他の家に遊びに行くという経験をしたことがない子がほとんどです。
機能不全の親たちは、自分の問題が外に漏れることを恐れ、たとえ子どもの友達であろうと外部の人を自分の家に入れることはまずありませんし、子どもを外に出すことすらしません。
しかし、そうやって子どもを縛り続けていると、子ども達はつながりを求めて、ネットで危ない人とつながるようになったり、家出をくり返したり、犯罪に巻き込まれたりする危険性が高くなりかねません。
子どもを授かったことで「親」にはなれます。
しかし、それだけでは「子どもにとっての良い親」にはなれません。
子どもにとっての良い親というのは、よりよい親になろうと日々努力できる親のことだと思います。
機能不全だと認識することは難しいことですが、よりよい親になるために必要な第一歩ではないでしょうか。
☘ おやこ心理相談室の役割
機能不全家族の子ども達(と親御さん)が、安心してつながれる親以外の大人の一人が、私達のような心の専門家だと思います。
ご家族のご相談において、おやこ心理相談室が大事にしていることは、親と子、双方が「機能している我が家」のイメージを持てるかどうかということです。
そして、そこに近づくために、今のご家族の機能不全のポイントを見極めて、カスタマイズで修正していきます。
このプロセスは、親と子双方で進めることが理想的ですが、お子さんが来談することができない場合は、親御さんだけで進めることもあります。
親御さんだけでも「機能している家族」のイメージが持てるようになると、家庭内の雰囲気がガラッと変わってきます。
そして、いよいよ子どもが動き出すというステージが整うのです。
日本の家族の80%が機能不全と言われる現在において、機能不全であることは、もはや何ら驚くことではないのかもしれません。
そして、それはただ単に家族が機能する方法を知らずにここまで来てしまっただけなのかもしれません。
しかし、その中で家族の誰か一人でも苦しい思いをしているのなら、その人のためにも、その家族の今後のためにも、この苦しみの連鎖を断ち切る必要があると思います。
我が家が機能不全かもしれないとご心配の方は、是非、一度おやこ心理相談室にご相談ください。
あなたの家族に合った機能している家族の在り方(もっとラクで楽しい家族関係)を一緒に考えさせていただきます。
参考文献リスト:
☘ 機能不全家族 西尾和美
☘ 私は親のようにならない クラウディア・ブラック
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