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皆さん、こんにちは。
子どものこころの健康」を考えるとき、どこまでが健康で、どこから病気と考えたらいいのか、これはなかなか難しい問題です。

そもそも子どもは、毎日成長しつつある存在ですので、「こころの病気」について考えるときも、その点を忘れるわけにはいきません。

特に、子どもにおいては、日々の心身の成長幅に加えて、「発達という変化」が加わるぶん、健康と病気の境目大人より曖昧なのです。

子どもが発展途上であるという点で、またひとつやっかいなのは、子ども自身が心身の状態をじゅうぶん把握できないことです。

これは言葉の問題でもありますが、子どもは「言葉の力」を使って、自分の経験や感情を整理したり、それを周囲に伝えたりすることが上手くできません(当然といえば当然ですね)。

だからがゆえに、もし子どもが何かしらのSOSを発している場合には、周囲の大人がそのメッセージをしっかりと受け止めてあげる必要があるのです。

原因不明の体調不調!?

私たち心の専門家は、次の2点を参考にしながら、心の病の可能性を見立てることがあります。

先に述べた通り、子どもは感情を整理したり表現したりする力が十分に育っていないぶん、こころに問題を抱えたとき、それが①身体の症状や②普段と違う行動(一番下の表をご参照ください)となって現れやすいのです。

まずは、この点に注意しておく必要があります。

例えば、子どもに腹痛や発熱、その他具体的な訴えや症状がみられた時に、病院へ連れ行ってみたものの、何も病気が見つからなかった、というようなケースです。

医者には「精神的なものでしょう」とか「ストレスですかねぇ」などと言われ、「具合が悪くなったらまた来てください」と帰されてしまったりします。

しばらく学校を休ませて様子を見てみても、子どもの容体はいっこうによくならない。あるいは、いったんは良くなったかにみえても、また同じことが繰り返される。心配になって、他の医者にも診てもらったが、似たような結果で・・・。

こういったケースの場合は、心の状態が身体症状として現れている場合が多く、心理面へのアプローチが必要不可欠になるのです。

普段と違う行動!?

例えば、元気に学校に通っていた子どもに登校渋りが出始め、少しずつ学校を休むようになったとしましょう。

特にこれと言って原因らしきものが見当たらないとしたら、親は心配になりますね。

そうこうするうちに、家ではイライラして不機嫌な様子が目立ち始め、暴言のひとつも出るようになったりします。

つい昨日まで素直だった子が、「うるせぇ、くそババア!」などと言い出した日には、「うちの子、どうしちゃったのかしら?何か悪い病気にでもかかってしまったんでは!?」と慌ててしまう親御さんも出てくるでしょう。

あるいは、家庭内暴力が頻繁になったり、刃物を持ち出して「死んでやる!」と騒いだり、親に隠れて、自分を傷つけるようになったら、これはとても心配ですね。

子どもが何日も部屋に閉じこもって顔を見せない、トイレや入浴に必要以上に長い時間がかかる、食べ物を自分から吐くなどの場合も同様です。

これらはいずれも、思春期の入口、小学校高学年あたりの年齢からみられてもおかしくない子どもの「問題行動」です(『子どもが問題行動を起こす時』)。

それが、単なる思春期の反抗なのか、挫折体験に基づく一時的な反応なのか、それとも心の病の始まりなのか、慎重な見立てと判断が必要になってくるのです。

児童にみられる心身の症状と行動上の問題:

 身体症状 発熱、頭痛、腹痛、食欲不振、嘔気・嘔吐、下痢、不眠、夜尿、夜驚、全身倦怠感、チック、
めまい、失神発作、過換気、喘息発作、過呼吸、胸痛、四肢痛 など
精神症状  不安、緊張、恐怖、イライラ、かんしゃく、注意・集中力の低下、意欲の低下、
憂うつ、解離、強迫、パニック など
 行 動 指しゃぶり、爪かみ、脱毛、リストカット、不登校、引きこもり、乱暴、暴力、甘え など

 

 

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