みなさん、こんにちは。今回は子ども達からの心に関する質問に答えていきたいと思います。
今回のテーマは、「パニック障害」です。年齢問わず、このパニック障害で苦しんでいる方々は結構いるものです。
パニック障害ってな~に?
パニック障害とは、とつぜん心臓が激しく打ち始めたり、呼吸が苦しくなったり、全身の血の気が引いたりするパニック発作が起きて、「心臓マヒじゃないか?」、「呼吸が止まってこのまま死ぬんじゃないか?」と激しい恐怖に襲われる障害のことです(過呼吸発作参照)。
パニック障害に苦しむ人にとって、パニック発作はもちろん「死の恐怖」ですから、とても苦しいんですが、彼らの生活をひどく制限するのは、発作自体よりも、いつ発作が起きるか分からないため自由に外出できなくなってしまうことなんです。
こういうのは、「予期不安」って言いますが、不安な要素を先取りして、色々と心配してしまうことです。
パニック障害のメカニズム
パニック障害に苦しむ人の特徴は、自分の中にある何らかの特定の衝動や感情におびえていることにあります。
そして、それらの衝動や感情が自分の中にあるとはとても認めることが出来ないので、無意識の領域へと押し込めてしまいます(これを抑圧と呼びますね)。
でも、この衝動や感情は、まるで地中深くにあって地上へ噴火して吹き出そうとしている熱いマグマのように、いつも意識の表面へと湧き上がってこようとしています。
そしてそれらの衝動や感情を感じそうになったときには、「自分が、わけの分からない恐ろしい状態になっている!」と感じて、「身体的な異常だ!」と思い込んでしまうのです。
極上のチーズ?それとも嘔吐物?
ある興味深い実験があるのでご紹介します。
中身が見えない容器にチーズを入れて、「嘔吐物が入っている」と伝えて臭いを嗅がせた場合、その人は強い嫌悪感を抱きました。
ところが同じものを、「極上のチーズです」と伝えて嗅がせたら、臭いを嗅いだ人は「なんて、おいしそうだ!」と答えました。
心理学では、「感情には身体感覚がともなう」という原則があります。
たとえば「恐怖」を感じると血の気がサーっと引いて呼吸が浅くなります。
緊張すると心臓がドキドキするし、怒ると血がカーッと上がりますし、悲しいと胸が詰まります。
そんなとき多くの人は、「怖かったから、血の気が引いたんだ」とか「悲しくて胸が苦しい」と感情に結びつけて解釈するので、それらの身体的な変化自体に恐怖を感じることはありません。
ところがパニック障害に苦しむ人は、強い感情を感じることに敏感で怯えているので、感情が湧き上がって心臓がドキドキしたり、呼吸が苦しくなったり、カーッと血が上がったり、などの身体感覚が起きた時、それについて「感情が湧き上がった」とは考えられません。
じゃ~どう考えていくかというと、「何だかわけもなく急に呼吸ができなくなった!心臓がバクバク打ち始めた!」と考えて、激しい恐怖に襲われてしまうのです。
ラベルの違いがパニック障害を生み出す
パニック障害に苦しむ人が、感情を刺激されるような場所や出来事を、あえて避けようとする理由がここにあるのです。
要は、さっきの例で取り上げた、チーズの「臭い」という同じ身体的刺激でも、それにつけるラベルが異なると(嘔吐物or極上チーズ)、私たちの感情的反応はたいへん異なったものになるのと同じように、心臓の鼓動が早くなる、呼吸が苦しくなる、などの身体反応についても、「わけの分からない恐ろしいことになっている!」とパニックによって受け取るのとでは、身体反応の意味はとても異なったものになってくるんですね。
心理療法では抑圧された感情を扱う
パニック障害を抱える人との心理療法では、対話が進んでくると、必ずと言っていいほど、彼らの抑圧された感情が徐々に感じられるようになり、感情を語れるようになります。
この作業を繰り返し行うことで、生々しい感情を抱くことはごく自然であることに気が付けるようになり、抑圧する以外の方法で感情を処理できるようになるのです。
結果的にパニック障害という症状の必要性がなくなってくるわけですね。
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