皆さん、こんにちは。
最近耳にすることが増えてきた、大学生を狙った投資詐欺について、警戒の意味を込めて少しお話させて下さい。
お子さんが大学生というご家庭も、これから子どもが成長し、いずれ大学に通うことになるだろうというご家庭も是非知っておいていただきたい内容です。
どんな詐欺なの?
簡単に言うと、大学の先輩や友人など、身近な人から「金融取引(株や投資)の必勝ソフトがある」と言って一本のUSB(パソコンのメモリ)を50万円ほどで買ってしまうというものです。
購入後は「このシステムを友人に紹介すると5万円もらえる」などと言われて、高額の費用を回収しようと、気が付いたら自分が売り込む側に回って詐欺の片棒を担ぐことになっているのです。
徐々にお金のことで頭が占領されていき、学校に行くことや勉強、人付き合いなど、学生本来の生活がままならなくなり、生活が荒れて行き、体を壊し、親や家族が発見するも、打つ手が無く、困り果ててしまいます。
被害はかなり広がっているようで、ネットで検索すると被害記事がたくさん見つかります。
これだけを聞くと、「そんなモノ買う訳ない」と思うかもしれませんが、これらのやり取りの中には緻密に計算された罠がいくつも仕掛けられており、大学生の心の闇につけ込み正常な判断ができないように促されていき、最終的には抜け出せなくなるという仕組みのようです。
「自分は大丈夫」だと思っていても、多くの学生がこの詐欺に引っかかってしまっているようです。
大学生の心の闇を利用している
では、大学生の現状と心理状態を考えてみましょう。
大学生は大人と子供の間
大学というのは、学生としてはベテランの時期でもあり、在学中に20歳を迎え成人するも、成人としては「若葉マーク」です。
経済的にも精神的にも親や家族に守られていて、社会の厳しさや怖さを肌で感じることはまだないでしょう。
この頃の子ども達は、体は成熟した立派な大人ですが、精神的にはまだ幼く、大人に向けて様々に試行錯誤している時期です。
危険を察知する能力が未熟な半面、いろんなことを試してみたいという好奇心が旺盛というとてもアンバランスな時期でもあります。
親としては「もういい大人なんだから、それくらいわかるでしょ」と思っても、本人にとってはまだまだ初体験なことばかりで、対応できないことも多々あります。
しかし、年齢だけは大人なので、困ったことがあっても「自分で何とかしなきゃ」「親には迷惑をかけられない」となかなか言い出せないこともあります。
被害は首都圏の一流大学の学生が多い
首都圏のいわゆる「一流」と呼ばれる大学に多くの被害が出ているようです。
一流大学に合格するという目標を持って高校時代を真面目に過ごしてきたような学生も多く、大学に合格したことで、目標が達成されて、ある種の「燃え尽き症候群」のようになってしまい(「スチューデント・アパシー」の記事参照)、自分の向かう先を見失っている大学生もいます。
そんなところに「95%の負け組になるな!5%の勝ち組になれ!」などと新しい目標が設定されてしまうと、たとえ目標設定が間違っていようと、間違った方向に力を発揮してしまいかねません。
また、一流大学に合格したことを過信し、「自分は優秀だ」という意識が高い人も、「〇〇大学の優秀な人にだけ紹介している話なんだよ」なんてもてはやされると無意識のうちに話に乗ってしまっていた、なんて危険をはらんでいます。
大学3年生が多い
大学3年生は20歳になる人が多く、20歳になるとクレジットカードも持てるし、ローンも組めるようになるので、お金を都合しやすいのです。
しかも、将来に向けて就職活動が始まります。
就職活動とは言っても、ある意味新しい競争が始まり、周りがライバルとなります。
力があるので、人と違う何かを成し遂げようとする気持ちが強い人もいるかもしれません。
「将来、自分はどうなりたいのか?」と自問する日々の中で、「簡単に「勝ち組」になれる」という言葉が魅力的に聞こえない人はいないでしょう。
人間関係が希薄
コロナ渦でのオンライン授業ということもあって、大学での人間関係が上手く築けていないという人も多いでしょう。
そこにきて、実家から離れて一人暮らしの寂しさを抱えていたりすると、人とのつながりを求めて、甘い誘いと分かっていても受けてしまうことは十分に考えられます。
このように、大学生の多くはまだ未熟で幼い心理状態を持ちつつも、社会的には大人というアンバランスな状態なので、悪い人に狙われやすいのです。
では、詐欺に巻き込まれないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
詐欺に遭わないためには?
一般的に詐欺や悪徳商法は、人の寂しさや不安・焦り、おごりや過信といった心の隙を狙ってくるので、自分(子ども)の心の状態を把握しておくことが大切です。
子どもの心の状態を理解して、日頃から家族間でコミュニケーションを取り、何かあった時に相談できる環境を整えておくことが一番の対策だと思います。
たとえ一人暮らしをしていて、コロナ禍でなかなか実家に帰ってこれなくても、電話やラインで日常的な会話や軽いやり取りをするだけで、子どもにとっては安心を感じることができます。
親が「もう大人なんだから自分でなんとかしろ」というよりは「困った時はいつでも頼れ」というスタンスでいると、子どもは気持ちがラクになります。
親や他の家族との何気ないやり取りの中で、気持ちを吐き出すことができていれば安心です。
また、困った時に相談できる安全な「つながり」を作っておくことも大切です。
相談できる家族や身近に信頼できる相手がいればそれが一番ですが、誰もいない場合でも大学の相談窓口などの情報を調べておくといいでしょう。
心が安定してくると、人に相談できたり、決断を先延ばしにできたり、相手に対してNoが言えるようになったり、本当にやるべきことが見極められたりと、自分を守ることができるようになります。
もし突然、友人から詐欺の話が来ても冷静に対応できるようになると思います。
大学生以外でも、高齢者を狙う詐欺や、主婦・若い女性をターゲットにした投資や副業を勧める詐欺は沢山あります。
いずれにしても、心の隙をついてくるので、日頃から周囲としっかりコミュニケーションを取って詐欺に遭わないように注意して下さい。
もし被害に遭っても、子どもを必要以上に責めないことも大事です。
子どもも傷ついていて、精神状態が不安定になっている可能性があるので、適切な心のケアが必要になってくるでしょう。
当相談室では、返金等についての対応は致しかねますが、ご本人様とそのご家族の心理面での対応は可能です。
お困りの際は、是非お問合せ下さい。
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