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皆さん、こんにちは。
いつもおやこ心理相談室をご利用いただき、ありがとうございます。

もしあなたの前に、安全そう(安定)な道危なそう(不安定)な道があり、どちらかを選んで進まなければならないとき、あなたならどちらを選びますか?

よくロールプレイングゲームなどで起こる状況ですが、実際の人生でもこれと同じような局面は実はいくつもあって、私達は、その都度そのどちらかを選んで生きているのです。

はたから見たら、安定している方を選んだ方がいいのに、必ず不安定な方を選ぶ人が少なからずいます

これらの人々は、頭ではこっちの方が不安定とは分かっていても、無意識にそちらに惹かれていくのです。

この傾向は、進学・就職・転職など自分の生き方を決める選択も、友達付き合い・恋愛・結婚などの人間関係の選択にも影響してきます。

☘ 不安定な仕事ばかり選んでしまうAさん

Aさんは高学歴で、資格も持っていて、人当たりもよく、とても優秀な人材なのですが、職場になかなか恵まれないということで、ご相談を受けました。

これまでの職場は、いわゆるブラック企業だったり、パワハラ上司がいたり、長時間勤務で体を壊したりと何かと苦しい思いをしていて、長く続けることができなかったそうです。

仕事を選ぶ時に、いくつかの仕事の中から、なぜか一番危なさそうな(不安定そうな)仕事を選んでいるように見えたので、その真意を尋ねてみました。

すると、「一番安全な道」に見える仕事は、残業もなく、仕事も楽そうで、人間関係も穏やかで安定しているので、自分のやることがないのではないか?自分の価値が発揮できないのではないか?と不安を感じるとのことでした。

一方、「危なそうに見える道」に見える仕事では、危なそうな匂いは嗅ぎ取ることはできるものの、忙しく働くことで必要とされるし、自分の能力が発揮できそうだと期待を感じるそうでした。

そして、結果的に一番不安定な職場を選び続け、今に至るわけです。

詳しく話を聞いていると、本当にやりたい職種で働いたことがないそうで、面接までは行っても、なぜか自分から手を引いてしまうそうです。

☘ ダメンズばかり選んでしまうBさん

Bさんは、付き合う男性がダメンズばかりで、苦労していました。

安定している人と付き合うことがあっても、何か物足りなさを感じてしまい自分から離れていきます

逆に、お金にだらしなかったり、女性関係にだらしなかったり、何かと問題がある男性と一緒にいるときは、その人に尽くすことで自分の価値を確認することができて、満足感や充足感を得ることができました。

しかし、そういう相手とどんなに長い間一緒にいても、その人との関係に安定や安心が育つことはなく、将来の不安は増すばかりでした。

このケースは男性バージョンもありますね。

問題を抱えている女性ばかりと付き合うという具合です。

嫉妬心が強く束縛が激しいとか、浪費家で金銭感覚がずれているとか、人が信じられなくて試し行動ばかりするとか。

どのケースも、いったん捕まってしまうと、今度はなかなか別れられないというおまけ付きです。

☘ 安定している方を選ばない心理?

AさんのケースもBさんのケースも、傍から見ればどちらもやめた方がいいという選択を自ら選んでいて、幸せな未来が待っているとは思えませんね。

しかし、本人にしてみれば、悩んだ挙句に、これで間違っていないと信じているから選んでいるわけです。

しかし、仕事にしろ、異性にしろ、「本当に自分の望む相手は選べない」という気持ちがこの問題の根っこにあります。

これを理解せずに、いくら「そっちはやめた方がいい」と伝えても、彼らにその選択をとどまらせることは難しいでしょう。

この気持ちを理解するためのキーワードは「劣等感」と「自尊感情」です。

① 強い劣等感

素敵な人と出会うと、「彼に比べて私は…私にはもったいない」と劣等感を感じてしまうので、無意識的に劣等感を感じなくてすむ人=問題のある人に魅力を感じてしまいます

これは職場や仕事でも同じことです。

意識的には、「安定した仕事がしたい」「安定した人とお付き合いしたい」と思っていたとしても、潜在意識や無意識の領域で「私はダメだ」「私には良いところなんて何一つない」と思っていたら、「私にはこれくらいがちょうどいい」と潜在意識や無意識の力は働きます

もっと心の深いところでは、「この人(職場)なら、ダメな私のことを必要としてくれるし、きっと私を見捨てることはないだろう」と思っているのです。

結果、望む相手へチャレンジすることなく、本当は望んでいない方ばかり選択してしまうというわけです。

② 低すぎる自尊感情

これまでの人生で受け入れられた・大切にされたという経験がない、もしくはとても少ないので、「自分には大切にされる資格がない・雑に扱われる方が見合っている」と思っています。

自分が丁寧に、大切に扱われる職場はどことなく居心地の悪さを感じてしまい、自分から避けてしまいます

優しくしてくれる人に出会うと、「私なんかに良くしてくれるなんて、きっと裏があるに違いない」と疑い、その人を試す行為を繰り返します。

その中で、相手が少しでも態度を変えたり面倒そうに振舞ったりすると、「ほらやっぱり!私は大事にされるべきじゃないんだ、私には存在価値がないんだ」と思い込んで、相手が信じられなくなっていきます。

その結果、自分を無下に扱う人たちを無意識に選んでしまうので、自分が二の次でいられる関係ばかりを築いていきます

これでは、本当に好きな仕事はできないし、本当に好きな人の一番になるのも怖いのです。

☘ 心の傷をケアする

この不安定な方ばかり選んでしまうパターンから抜け出すには、潜在意識や無意識にある「私はダメだ」「私には良いところなんてない」という思い込み(自尊心)を、書き替える必要があり、その思い込みに至った心の傷をケアする必要があります。

これらの思い込みや心の傷は、大抵の場合、親子関係や家族関係の中で植えつけられたものですが、自分の心が「傷ついている」ということに気が付いていない人も実は多いのです。

自分の心の傷をきちんと認識して、それを癒していかない限り、何度も同じことを繰り返してしまいます

自分らしく好きなことをして、本当に好きな人と幸せに生きていくために、まずは自分の心をケアしていくことから始めてみてください。

おやこ心理相談室では、精神分析的心理療法をメインアプローチとして、心の傷の根っこにある記憶や気持ちに触れて、心の傷をケアしていきます。

時間はかかりますが、心の傷が癒えて、自尊感情が育ってくると、今までとは違うパターンを選ぶことができるようなります

その先に、自分らしい幸せが見えてきます。

本当に望むものが選べずに困っているという方は、今からでも遅くはありませんので、私たちのような専門家へのご相談も、是非ご検討ください。
お力になれると思います。

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