皆さん、こんにちは。
「怒り」は、人間の心に自然と沸き起こってくる感情の一つです。
「欲求」が満たされないことに対する自然な反応の一つとして「怒り」が出てくるわけですが、怒りがあるということは、同時に「欲求がある」ということでもあります。
赤ちゃんの頃は、誰もが何のはばかりもなく自分の欲求を一方的に表現していますが、いつの間にかそれが出来なくなります。
なぜなら、自分と他人の区別がハッキリしてくると、他人との関係が気になってくるからです。
今回は、人間が怒りを抑える仕組みについて3つのポイントから解説していきます。
① 怒りが相手を滅ぼし、壊してしまうという恐怖!?
幼児は、当たり前のことですが、自分中心の世界に生きていて、自分の無力さを知りません。
周囲のすべてを自分の意のままに動かしていると信じ込んでいるので、自分が怒ると親が壊れてしまうと思っています(☜これを未分化と言います)。
でも普通は、子どもが怒ったからといって、親はいちいち壊れるわけではありませんし、平気な顔でそこにいて、また自分の欲求を満たしてくれますね。
ところが、親があまり健康面で丈夫ではなく、突然、入院したり退院したりを繰り返すような場合、子どもは、母親の病気と自分の怒りを結び付けてしまうことがあります。
「自分が怒ると母親が壊れる」と思うようになり、怒りを自然に表現できなくなるのです。
要は、怒りを抑えてしまい、自己主張できない気質が出来上がってしまうのです。
② 怒ると相手に嫌われ、見捨てられるという不安!?
子どもは、少し大きくなってくると、自分は万能ではなく、親に依存して生きているということに気づき始めます。
その相手に嫌われ、捨てられたら生きていけませんので、親に対する怒りを抑えるようになります。
この感覚は、小学校低学年くらいからすでに抱いている子も多く、怒りを抑えすぎている子の場合、腹痛や頭痛、気分の悪さなど、身体症状に表れてくる場合があります。
彼らの多くは「お母さんは僕(私)の気持ちを少しも分かってくれない!」という怒りを表現できずに、我慢し続けているのです。
③ 心の中は怒りでいっぱいだけど、相手が強すぎるとき!?
心の中は、怒りに満ちているけれど、相手が強すぎるので、とりあえず、おとなしくするという場合です。
子どもが怒った時、親がより強力に怒って、暴力を振るうなどして子どもの怒りを抑えつけてしまうと、子どもの怒りは、いつまでたっても渦巻いて消えません。
こうした子どもが大人になると、今度は自分が周囲を暴力で抑えつけてしまう大人になります。
怒り = 自己主張
「怒り」は、洗練された形でまとまってくると「自己主張」という表現になります。
当たり前の話ですが、これが適切に表現されないと、溜まってきますね。
怒りを抑えることは、欲求そのものを抑えることにもなるので、結果的に無気力状態やうつ状態を引き起こします。
欲求を抑えてしまえば、欲求が満たされる喜びもなくなってしまいますので、「生きる喜び」自体から遠くなってしまうのです。
「何をしても楽しくない。やる気が出ない。生きている意味が分からない」と感じている方の多くは、怒りが心の中で沸々と溜まっている可能性があります。
こういった方達が本来の自分を取り戻していく過程には、怒りを感じること、そしてそれをストレートに表現する必要があります。
「あ~ムカつく!」とか、「腹立つわ~」などと、日常生活で感じているであろう不満やそれに伴う怒りをそのまま表現する場が必要なのです。
これを繰り返していくと、無気力状態やうつ状態から抜け出し、本来の自分らしさを取り戻し始めていくのです。
特に、親に対する不満や怒りなどは、表現されずに、我慢してしまうことが多いですが、親に対する生々しい感情も回復とともに、少しずつ表現できるようになってくるのです。
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