皆さん、こんにちは。
当相談室に来談される学生の相談者さんの割合は、男の子の方が多いです。
一概には言えませんが、男の子は登校渋りや問題行動という目に見えやすい形でSOSを出すことが多いのかもしれません。
もちろん、男の子も目に見えにくいSOSを出していることもあるので、日頃からよく見ておく必要はあります。
おそらく男の子の方が症状や問題行動を顕著に表しやすいので、親御さんも見つけやすく、危機感を抱きやすいということが関わっているのではないかと思います。
一方、女の子は男の子に比べると、自分を隠し、周囲に解けこみ、カムフラージュするのが上手いように感じます。
クラスや学校の中で生き抜くためには、「上手く解け込む必要がある」と言ってもいいのかもしれません。
その高いカムフラージュ能力のおかげで、彼女たちの抱える問題もまた、見えにくい形になっていることが多いのです。
その中で女の子に起きやすく、見えにくい症状の一つが、「摂食障害」です。
テレビや街中で見かける人の中にも、「あの人、摂食障害かな?」と思う人がいますが、そのほぼ100%が女性です。
摂食障害には「過食症」と「拒食症」があります。(詳しくは『摂食障害ってな~に?』を参照下さい)
「過食症」も「拒食症」も根っこには「とにかくやせたい!太るのがこわい!」という気持ちがあります。
はたから見ると、「ちょっとやせすぎ?」と思っても、本人が「ダイエットしてるから」と言えば、「ダイエットなら心配ないか」とカムフラージュされてしまい、本人が抱える心の問題が放置されてしまいがちです。
実際、ダイエットがキッカケで、摂食障害に発展するケースも珍しくありません。
日頃からよく見て、ダイエットか、摂食障害かを注意深く見極める必要があるのです。
摂食障害を放置すると・・・
親としてはやせすぎの娘が心配になってきて、体形のことを言ったり、食べられそうな物を用意したりとあの手この手で食べさせたいという気持ちにもなります。
しかし、多くの場合、本人にやせすぎとか、摂食障害だという意識はないので、いくら食べないことを咎め、どんなに食べろと言っても、ちっとも響きません。
拒食症は食べさせようとすればするほど、食べないので、もうどうしようもないからと言って、そのままにしておくと、生命の危機に関わることになり、激しい場合は入院することになります。
しかし、入院しても根本的な治療にはならないので、退院するとまた同じことをして入院というパターンを繰り返すケースも少なくありません。
逆に、過食症は、過食と嘔吐をくりかえすケースが多いので、見えづらく発見に時間がかかります。
その分、問題に気がついたときには深刻化しており、退行行動(赤ちゃんがえり)や母親に対する支配欲求を伴い、窃盗、家庭内での暴言・暴力などの問題へとエスカレートして行くケースも多く、改善にはとても時間がかかります。
ここが、この問題の難しいところで、表面的なことより、実はとても根っこが深い問題なのです。
本人にしても、なぜこんなことをするのかが分かりません。
こんなに苦しくてもやめられない辛さを抱えて、必死で頑張っているのです。
だから、どんなに口うるさく言い聞かせても響かないのです。
摂食障害が改善するためには、本人のあるがまま、その頑張りを認め、心の奥深くにある気持ちを整理して、本当に訴えたいことを探っていく必要があるのです。
問題が表面化しない怖さ?
摂食障害を抱えている女性の多くは、とても真面目な頑張り屋さんです。
摂食障害という苦しさを抱えながらも、頑張って学校に通い、無理して仕事を引き受けます。
日常生活は当たり障りなくこなし、人付き合いも無難にこなし、成績も良いという裏側で、疲れきって過食に走ることを、誰にも気付かれないようにやっているうちに、数年が経過している、ということも少なくありません。
とりあえず生活できているからそこまで深刻じゃないだろう、と放置しておくと、生きづらさが増長してしまい、そこで初めて焦って、何か手を打とうと奔走します。
しかし、問題が複雑になれば、それだけ治療には時間・費用と気力・労力がかかります。
大人になってから、更に大変になるというケースをいくつも見てきました。
ですから、なるべく早い段階で、できれば学生のうちに、問題が表面化していなくても、苦しさに気がついたときに何らかの対策を取っていただけたら、と思っています。
当事者でも、親でも、友達でも、先生でも、親戚でも、誰かが気付いて、手を差し伸べることが、摂食障害の治療の第一歩だと思います。
心当たりのある方は、是非一度、おやこ心理相談室へお問い合わせ下さい。
当相談室には、女性スタッフもいますのでご安心下さい。
皆さんの辛さと苦しさを一緒に考えていきたいと思います。
【関連記事:『摂食障害ってな~に?』『自傷行為があらわれた時』『子どもが問題行動を起こす時』】
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