皆さん、こんにちは。
「離人感」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
あまり聞きなれない言葉だと思いますが、離人感とは、「自分が自分でないような感じ・・・」「自分がなぜここにいるのか分からなくなった感じ・・・」「自分の身体やその一部が自分のものでないような感じ・・・」「自分の行為を自分でしている実感がなく、それを漠然と見ているもうひとりの自分がいるような感じ・・・」といった感覚のことを言います。
医療機関に相談すると「うつ病」や「統合失調症」の初期症状として診断されることもありますが、これはちょっと難しい言葉を使うと「解離性障害」にともなう感覚の一部なのです。
ショックを和らげる心のメカニズム
私たち人間は、すごくつらい経験をした場合や強いストレスにさらされた場合に、心の傷を負うことがことがありますね。これを「トラウマ」と言います(詳しくは『トラウマってな~に?』をご参照ください)。
このトラウマの影響を最小限に抑えるための色々な機能が人間の心には備わっていて、そのひとつがこの「解離(かいり)」というメカニズムです。
例えば、家族の中で大きな心の傷を受けた人は、「その頃のことが全く思い出せない・・・」という感覚を抱えていることがあります。
あるいは、肉体的・精神的暴力、性的虐待など「頭が真っ白」になるようなショック体験は、想い出すことに苦痛と恐怖が伴うために、意識に残らなくなってしまうこともあります。
癒されることで経験になる
このショック体験は、癒される必要があり、放っておいても自然に癒されていくことはありません。
「フラッシュバック」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これはショック体験が癒されていないことで起こる症状の一つです。
この傷が癒されていくと、それは「経験」として私たちの生活の中に組み込まれ、蓄積されていきます。
「ショックと癒し」を通して、ひとつひとつの体験を積み重ねていくことができるのです。
子ども時代のショックに立ち戻り、消去されてしまった体験の事実を確認して、それにともなう情緒(気持ち)を回想する作業をすることが、一番の近道になります。
これらはたいへん苦しい作業であり、安易に記憶を引き出すのは危険をともないますので、この作業を行うには「安全な場」や「安全な人間関係」が前提となります。
離人感や解離症状で苦しんでいる方は、心を専門とする臨床心理士に、一度相談されてみるといいでしょう。
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