目 次
皆さん、こんにちは。
今回は『思春期のいじめ』シリーズ第2回「親がいじめに気付かない理由・気付くための声掛け例」です。
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いじめは親に伝えにくい?
子ども達が「いじめられている」という事実を親に伝えるのは、親が想像する以上に難しいことです。
いじめという壮絶な体験は、子どもの自尊心を深く傷付け、冷静に判断する力を奪ってしまいます。
そもそも自尊感情も判断力も成長過程な上、強い恐怖と不安、自己否定感に支配されているような状態なので、
- いじめのことを話すことも怖い
- 誰かに言うことはいけないこと
- 誰かに言う事でもっといじめられてしまうかも
という状況に陥っていることも考えられます。
前提として、自分からいじめを訴えることはとても勇気がいることだと理解しておいて下さい。
親が気付かない3つの理由
子どものいじめに親が気付きにくいのには、いくつか理由があります。
① 隠そうとする
自分の理解が追いつかないことが起こると、多くの子どもはまず自分を責めることから始めます。
そこに思春期特有の「恥ずかしさ」が加わり、
- 「いじめられるのは自分のせいだ」
- 「こんな自分は恥ずかしい」
- 「いじめられてるとバレたらきっと怒られる」
と思っているので、親に言うどころか、必死で隠そうとします。
② 親や先生に迷惑をかけられない
子ども達は親が思っている以上に強い責任感を持っていて、「忙しい親や先生にはこれ以上迷惑をかけられない」と思っています。
だから、自分の辛さや苦しさを押し殺し、誰にも気付かれないように振る舞い、何事もなかったかのように装い、「自分ひとりで何とかしなきゃ」と考えます。
③ バレたらもっといじめられる
「いじめのことを言うことでもっといじめられるかもしれない」という恐怖心にコントロールされているので、「何も言わないことが身を守ることだ」と間違った解釈をしてしまい、心を閉ざし何も言わなくなってしまうことがあります。
子ども達の心理を知れば、子ども達がこのように考え行動することが、ある意味自然なことだと理解できますね。
親としては、いじめ被害が子どもの心を支配するということをある程度想定しておかなければなりません。
いじめに気付くための声掛け
親も気付きにくいいじめ被害を見つけるために、まずは土台として日頃から子どもの様子をよく見ておくことが重要です。
日頃の様子を把握しておくことで、いつもと違う様子に気付くことができ、もしいじめられていたとしたら、いち早くいじめを発見し対処することにつながります。
子どもの異変を感じたときに、いじめに気付くための声掛けをいくつかご紹介します。
① 直接的に聞く
日頃から子どもとのコミュニケーションがよく取れている場合は、様子が違うことを直接質問しても大丈夫です。
その際は、子どもの気持ちに十分配慮して、やわらかくたずねてみましょう。
- 「最近、なんだか元気がないようだけど、学校で何かあった?」
- 「よく眠れていないようだけど、何か気になることでもあるの?」
- 「食欲が落ちているように見えるけど、心配ごとでもあるの?」
子どもの様子を見ながら、無理に答えさせることはせずに、「あなたのことが心配」「言いづらいと思うけど、教えてくれたら嬉しい」という気持ちで対応しましょう。
② 間接的に聞く
子どもが自分のことはあまり話さないけど、必要最低限の会話ができる場合は、学校での人間関係の様子をそれとなく尋ねてみるといいかもしれません。
- 「最近、学校で○○さん(親が仲良しだと思っている友達)と会ってる?」
- 「○○君(とか○○君)は最近元気してる?」
- 「○○さんとはどんな話をしてるの?」
- 「またウチに遊びに連れて来ていいからね」
もし、いじめ被害にあっているとしても、仲間がいるうちはまだ大丈夫です。
一番心配なのは、学校で孤立してしまうことなので、友達関係の話が自然にできているかどうかをよく見ておいてください。
③ 親の気持ちを伝える
子どもが話をしない場合や、関わることを拒否するような場合は、無理に問いただそうとするよりも、こちらの気持ちが伝わる声掛けをおすすめします。
- 「最近、元気がないように見えて、心配だよ」
- 「父さんも母さんも、いつでも相談に乗るからね」
- 「一人で抱えずに、誰かに頼ってもいいんだよ」
- 「苦しいときは、苦しいって言ってもいいよ」
- 「お父さんとお母さんは、いつでもお前の味方だよ」
- 「絶対にお前のことを見放さない」
親の気持ちが伝わることで、「自分は大事にされている」と実感でき、少し気持ちに変化が表れるかもしれません。
もしかしたら、そのうち気持ちを打ち明けてくれるかもしれません。
いずれのアプローチも、子どもたちが今、思春期(反抗期)というとてもデリケートな時期であることを考慮しながら、子どものペースに合わせて根気よく対応していただきたいと思います。
また、親だけでは打開できないと判断した場合は、専門家を頼るなどして柔軟に対応しましょう。
日頃から子どもたちに興味と関心を
子どもがいじめを告白することも親が気付くことも両方難しいのが、いじめの厄介なポイントです。
また、いじめの線引きも、受けた人の感じ方によって変わってくるので、他人が勝手に決め付けることはできません。
いじめを発見し適切に対応するためには、子どもの様子をよく見て、気持ちをしっかり汲み取ってから判断することが必要です。
いじめに限らずどんな問題も、日頃から子どもに興味・関心を持って接することが一番の予防策であり、発見法であり、対処法です。
親が子どもに対して無関心でいることが、何よりも一番子どもの心を傷つけます。
親の存在は「最後の砦」であることを忘れずに、子どもの気持ちに寄り添い、「何かあったときは絶対に守る」という姿勢を持っていただきたいと思います。
次回は『思春期いじめの3つの特徴』をお届けいたします。
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