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皆さん、こんにちは。
子どものいじめ問題に関して、「なぜいじめをする子がいるのか?」と思ったことはありませんか。

そもそもいじめる子がいなければ、いじめがこれほど大きな問題になることはないですよね。

シリーズ第4回は、『いじめの加害者の心に潜む心理』を読み解いてみたいと思います。

いじめ加害者の4つの心理

① 自分を大切にできない

まず、どんなに酷く他人をいじめても平気なのは、加害者自身が「自分を大切にできない」からです。

自分は大切にされるべき人間ではない、酷い扱いを受けて当然」という自己肯定感の低さから、他人に対しても同じ思い込みを持っています。

この自己肯定感の低さは、家族に十分受け入れてもらえなかったり、さみしい思いをしたり、酷い扱いや虐待を受けたり、「自分は大切にされていない」と肌で感じた経験から形成されている可能性が高いです。

② 白・黒はっきりさせないと気が済まない

いじめの加害者には、不安さや曖昧さに耐える力(曖昧耐性)が弱く、白・黒をはっきりさせないと気が済まないと考えている子が多くいます。(詳しくは『宙ぶらりん力』を参照)

この二者択一的な考え方は、自分とは違う見た目・価値観・考え方を受け入れることができず、排除しようとしてしまうのです。

ここに特定の理由や原因のない「いじめ」が成立します。

また、人間関係に関しても、加害者と被害者の二者しか存在しないので、「自分が排除されるかもしれない」「いつ自分がいじめられるのか」と、内心では常に恐怖と不安を抱いています

その不安を払拭するため、自分が被害者にならないために、先手を打って加害者になるのです。

実は、この曖昧耐性の弱さは、子どもだけでなく、その親御さんにも多く見られる傾向でもあるのです。

③ 相手をコントロールしたい

家庭内では自分の感情を抑え、親の言うことをよく聞いて、親に従うことが多く、自分の思う通りに生きたいという気持ち(支配欲求)が満たされていない状態にあることがあります。

満たされなかった支配欲求が自分に向かった場合は、体重をコントロールしようとする摂食障害や、リストカットなどの自傷行為として表れますが、他人に向かった場合は、他人を自分の思うようにコントロールしようとし始めします

この「支配欲求」が他人に向かった最たるケースが「いじめ」です。

相手を「パシリ」として扱い、無理な要求を押し付けたり、「万引き」を強要したりする裏側にはこのような心理が隠れています。

④ 感情がコントロールできず、ストレスが発散できていない

人をいじめたり、ネットで悪口を書き込んだり、表と裏の顔を使い分けたりするのは、ストレス発散としてやっているという子どももいます。

本来、溜まったストレスは家族や友達、身近な人に話したり、グチったりして、コミュニケーションのなかで発散するのが望ましいのですが、ゆっくりと会話をする時間もなく、希薄な人間関係しか知らず、感情をコントロールすることを学んでいない子どもが増えてきているのかもしれません。

感情がコントロールできないので、一旦ストレスのはけ口をみつけてしまうと、どんどんエスカレートして行き、歯止めがきかなくなってしまうという傾向も見られます。

いつもは大人しいのに「突然キレる子」も同じ心理が働いています。

加害者の家庭環境が与える影響とは?

このように、いじめに関しては被害者よりも加害者の方が心に問題を抱えている可能性が高いのです。

そして、加害者の心の問題の多くには、家庭環境が関わっていると考えられます。

子ども同様、親も同じような心の問題を抱え、傷付き、苦しみ、「どうしていいか分からない」という状態にいることが想定できます。

そういった家庭に手を差し伸べ、家庭環境を整えることは、いじめを減らす上では必要不可欠で急務の課題と言えるでしょう。

いじめ加害者への心理ケア

被害者と違い、いじめの加害者にはそれなりの理由があります。

過去に経験した寂しさと劣等感、自己を否定されるような経験、そしていじめてしまった罪悪感でいっぱいになっているかもしれません。

もちろん、どんな理由があるにしろ、いじめを正当化する理由にはなりません。

しかし、いじめが起きたとき、被害者のケアと同様に、加害者にも、自己肯定感を高め、他のコミュニケーションを学ぶ機会を与えない限り、いじめがなくなることはないでしょう。

被害者も加害者もケアの対象であるという認識を持って、関わった子どもとその家族全体に手を差し伸べ、社会全体でいじめ問題に取り組むことが必要なのではないでしょうか。

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