今回は、久しぶりに学生たちからの質問・疑問に答えていきたいと思います。
今回は、『自閉症(じへいしょう)』についてです。自閉症には、大きく分けて3つの特徴があります。
- 人と心を通わすことが上手にできない
(社会性の障害) - 言葉を上手に使えない
(コミュニケーションの障害) - こだわりが強く上手に気持ちを切り替えることができない(想像力の障害)
という3大特徴があります。
子どもの頃の症状
他の発達障害と同様に、自閉症も小さいうちから少しずつ特徴が現れてきます。
①の社会性の障害について言えば、たとえば、赤ちゃんの時だと、視線が合わないとか、あやしても笑わないとか、人見知りをしないなどの行動が見られます。
2、3歳頃では、親の後を追わないとか、親が見えなくなっても平気だとか色々な特徴があります。
言葉の発達にも遅れがあって、しゃべり始めるのも遅いし、特徴的なしゃべり方をします。
よくあるのは、聞いた言葉をオウム返しに繰り返す反響言語です。
「お菓子がほしいの?」と聞かれれば、「うん」とか「ちょうだい」とは答えず、そのまま「お菓子がほしいの?」と繰り返してしまいます。テレビのコマーシャルを、ところ構わず繰り返し口にしたりもします。
自閉症の子は、遊び方も独特です!おもちゃで遊ばずに、ビンのふたをクルクル回したり、ミニカーをきれいに一列に並べて横から見たりします。
想像力の障害から、ごっこ遊びや、ままごとには一切興味を示しません。この想像力の障害は、強いこだわり行動として現れることもあります。
想像を広げられないので、ひとつのことに固執します。だから、変化に対して適応しきれなかったり、急な出来事が苦手なんですね。
たとえば、保育園に通う道が工事中で通れなかったとすると、大泣きしてその場から動かなくなってしまうこともあります。
保育園や幼稚園では、他の子どもに関心を寄せず、きわめてマイペースです。集団行動には馴染まず、独りで遊んでいることが多いのも特徴ですね。
小学校から思春期にかけて
小学校に進学する頃には、わりと不自由なく話せる子も出てきますが、話は一方的で会話になりにくい面もあります。
自閉症の子が学校に行くと、集団生活に馴染めないし、友だちが出来ないし、そのうえ突然怒ったりパニックを起こしたりするので、「あいつ、なにキレてんの?」みたいに思われて、ますます孤立しちゃうこともあるんですね。
思春期くらいになると「ボク(私)は、なんか他の人と違うのは何で?」などと考えるようになって、疎外感に悩まさられることもしばしばあります。
「僕って何者?」っていう戸惑いは、思春期にはつきものですが、自閉症の人ではより深刻なんですね。
場合によっては心理的なケアが必要になることもあります。
自閉症自体はなおすことは出来ませんが、強いこだわりや怒りっぽさ、パニックなどに対して、症状を軽減するお薬もあります。
そして、何より自閉症の人には、環境調整と周囲の理解が欠かせません。ここでは具体的な方法などには触れませんが、周囲の理解があることで、その子本来の力が発揮されることもあるのです。
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