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皆さん、こんにちは。
学校が再開して1か月以上が経ち、早くも夏休み直前ですが、今増えてきているのが「登校渋り」です。

ただでさえ、目に見えないコロナウイルスに対して不安や恐怖を抱いているところに、新しい生活のルールがどんどん追加されて、「追いつけない・・」と感じることは無理もありません

大人も子どもも、いわゆる「コロナ疲れ」で疲弊している状態が続いています。

加えて、今年は長梅雨で雨も災害も多く、お日様がなかなか見えず、何となくスッキリしない感じもありますね。

学校生活も、通常に戻ったように見えて実はいろいろな変化やルールが増えていて、以前との違いに戸惑い、学校に行くことを難しく感じている子ども達が増えてきているようです。

学校側としても、子ども達が以前のように自由にのびのびと生活できることを願っていることに間違いはありませんが、安全を守る上では、どうしても制限が付きまとってしまうこともまた事実です。

小さく見えて大きなこの変化に対応していくことが、心の負担になっている子ども達も少なからずいます。

不安・恐怖・疲れ・戸惑い・圧迫感・閉塞感・負担感、このような心の状態では学校に行けなくなってしまうことも、おかしなことではありません

登校渋りへの対応ケース

登校渋りを頻繁に訴えるようになったら、ご家庭でもどう対応すべきか悩むところでしょう。

ご家庭での登校渋りの対応について、Aくん(小3男子)とお母さんの朝のやり取りをご紹介したいと思います。

よくありそうなパターン

Aくん:「今日学校行けるか分からない。なんか、イヤなことが起きそうで、行けないと思う」

:「また、そんなこと言って。考えすぎだよ!」

Aくん:「暑くなりそうだし、絶対イヤになるよ」

:「大丈夫だよ。そんな心配いらないから、早く準備しなさい!」

Aくん:「大丈夫じゃないよ!(怒)」

コミュニケーションが取れているパターン

Aくん:「今日学校行けるか分からない。なんか、イヤなことが起きそうで、行けないと思う」

:「そっか。どんなイヤなことが起きそうだと思うの?

Aくん:「暑くなりそうだし、絶対イヤになるよ」

:「確かに、暑くなりそうだし、イヤな気持ちにはなるかもしれないね

Aくん:「でしょ?絶対そう。だから、学校行けないと思う」

:「そっか、そっかぁ(苦笑)。ママは行ったら楽しいと思うけど、行く行かないは、自分で決めたらいいと思うよ。どっちの決断でもママは応援するよ」

Aくん:「う~ん・・・どうしようかな~・・・」

いかがでしょうか?
どちらのパターンが良いか悪いかではありませんが、一度子どもの立場で考えてみて下さい。

登校渋りの対応のポイント

登校渋りの対応ポイントを3つご紹介します。

①「どうしたら元気になるか」を考える

「どうしたら学校に行けるようになるか」ではなく、「どうしたらこの子が元気になるか」を考えましょう

「早く再登校させたい」と願うのは親としては自然な気持ちだとは思いますが、学校に行かせることだけを目的としてあれこれ声をかけ、手をかけても、上手くは行かないようです。

矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、再登校のことは一旦わきに置く必要があるのです。

なぜなら、そんなこと本人がとっくに考えているからです!

誰よりも本人が「学校に行かなきゃならない」と考えているのです。

そんな子どもの気持ちも受け取れず、ただ子どもを急き立てて学校に行かせようとすることが本当に子どもにとって一番良いのでしょうか?

子どもが元気を取り戻さない限り、自ら学校に戻ることはまずないということをご理解下さい。

② 安心できる環境を整える

そして、元気を取り戻すためには、子どもにとって家庭が安心できる場所でなければなりません。

もし、親が子どもに対して否定感や不安感、焦りを抱いているとしたら、子どもは本当に安心して家で過ごすことができるでしょうか?

また、家庭内が不安定で、問題や争いが絶えないような環境だったとしたら、どうでしょう。

常に余裕がなく、不安や焦りを抱えている親がそばにいる家では、安心して心を休ませることは出来ません。

「今は休むことが必要なんだ」と受け入れて、子どもが安心して休めるように家庭環境を整えましょう。

③ 適度にかまう

中学生くらいになると、不登校という難問に加え、思春期・反抗期という問題も加わってきます。

口では、「うっせーんだよ!もうほっといてくれ」と訴えていたとしても、心の中では不安と心配でいっぱいで、「かまってほしい、見放さないでほしい」という気持ちを抱いています。

子どもにとっては、親からかまってもらえなかったり、無関心になられたり、見放されることが一番恐ろしいことなので、どんな子も「自分に興味を持ってほしい。かまってほしい」と思っています

ウザがられない程度を前提に、話しかけたり、適度に外に誘い出したり、お手伝いを頼んだり、一緒にゲームをしたり、いろんな「かまい方」にトライしてみましょう。

学校とも連絡を取りつつ、長めのお休みも考慮しながら、いろんな選択肢があることを伝え、「どんな決断でも応援している」というメッセージを示しましょう。

おやこ心理相談室の対応

おやこ心理相談室では、不登校・登校渋りの対応として、学校との連携を心がけています(ご家族の了承を得たうえで)。

本人には「学校には無理して行かなくてもいい」というメッセージを出しながら、ご家族・学校・専門家の連携は必ず取るようにしています。

要望があれば学校宛に報告書を作成したり、担任の先生と直接やり取りをして、本人の状態を見立てたり、関わり方等の心理教育を行います。

子どもの心の準備が整ってきたタイミングで学校・家庭双方へ少しずつ次のステップへ進めていくように働きかけます

本人の気持ちを大切にしながら、ご家庭に合った対応をケースごとに臨機応変に考えて行きます。

家族・学校・専門家が足並みをそろえて取り組むことで、家族が孤立せずに、つながりを保ちながらスムーズに学校に戻ることを目指しています

これから夏休みに入りますが、夏休みが短い学校も多いようです。夏休み明けの学校再開を想定しての予行演習として是非参考にしてみて下さい。

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