皆さん、こんにちは。
親子関係というのは、各ご家庭において実に様々ですが、中には、「我が子とは、友だちみたいな関係なんです!」と得意げにお話しされるお母様がいます。
別に悪いわけではありませんが、あたかもそれが良好で理想的な親子関係の証拠のように思っている場合があります。
しかし、こうした場合、よくありがちなのは、子どもの方が保護者のような役割を引き受けていて、未熟な母親に合わせているというケースです。
母親の専属カウンセラーになる子ども
子どもに対し、何でも話し相談できる相手と思っている母親が、夫との離婚のことや、新しい恋人との関係で悩んでいることまで話し、子どもの方が親身に相談に乗ってあげ、母親をなぐさめるということも珍しくありません。
これでは「母親の専属カウンセラー」みたいなものです。
母親と子どもの役割が、ある意味、逆転していて、そのことに、母親だけが気づいていないのです。俗に「良い子は危ない」という理由には、こういった背景が隠れているのです。
子どもは、内心傷つきながら、大人びた人格を演じ、母親の気持ちを真っ先に察し、受け止め、ものわかりのいい答えを返します。
母親が求めている答えを感じ取って、それに合わせているんですね。
しかし、母親の方は、子どもも自分と同じことを望んでいるのだと一方的に勘違いしていきます(母子の境界線が引けていないために)。
そして、子ども側は、母親の誘導尋問に、それと分かって付き合っていくのです。
母親の方が言いたいことを言い、感情を吐き出し、子どもの方が我慢を強いられていくという縮図です。
実は、甘えているのは母親の方であって、子どもの方が甘え損になっているのです。
もういい加減にしてくれ!
こういう子は、甘え下手で、人一倍「しっかりしなければいけない!」という思いが強いので、周囲を適度に頼ったり、人を信じることができなくなってしまうので、どうしても人間関係でつまづきやすくなってしまいます。
子どもは心の中で母親を「重い」と感じていても、母親を愛しているから耐えるしか他に方法がない訳です。
でも、やがて子どもが思春期に入ると、母親と付き合いきれなくなり、「もういい加減にしてくれ!いつまでお母さんに合わせて、支え続けなければいけないのか!」という時期が訪れます。
子どもが急に母親に対し反抗したり、反発するようになると、母親の方は、「子どもが急に変わってしまったわ!」と大慌てです。
「あんなにいい関係だったのに、それが急に変わってしまったのは、どこか外からの悪影響に違いない!友達づきあいは大丈夫なの?」と心配していくのです。
実際の原因は、それまでの関係が逆転したものだったということに過ぎないのです。子どもの方が、自分をごまかして、母親に合わせ切れなくなっただけなのです。
しかし、母親の方としては、以前の「良い子」だった我が子の幻想を追い続け、自分から離れ、自立していこうとする子どもをどこかで認めようとしないのです。
中には「こんなに苦労している(かわいそうな)私を一人置いて出ていくのか!」と言い放つ母親さえいます。
“かわいそう”という気持ちが自立を阻む
ここで母親を振り払える子はまだ大丈夫ですが、母親に対して「かわいそう」という気持ちを強く抱いている場合、子どもの方が折れてしまい、母親に合わせる関係に戻ってしまう場合があります。
これは精神的な退行(赤ちゃん返り)を意味し、リストカットや摂食障害、家庭内暴力や長期的な引きこもりなど色々な問題行動の入り口になってしまうのです。
そして子どもは様々な問題行動を通して、母親に直接表現できない長年我慢し続けてきた憎しみと苛立ちをぶつけていくことになるのです。
こうなってしまう前に、まず親御さんとして子どもとの関係を振り返り、我が子が自分の専属カウンセラーになっていないか、または夫婦関係を振り返り、夫婦の問題に子どもを巻き込んでしまっていないか、改めて考える機会を作っていただけたらと思います。
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