皆さん、こんにちは。
今回は、家族メンバー間の深層心理について解説していきたいと思います。
私たちの心の機能には大なり小なり、家族メンバーの誰かを「過去の人物の代理人に仕立てようとする」心理があります。
現在の家族メンバーの誰かを、自分が生まれ育った家庭メンバーの誰かの「代理人」とみなして、昔の親子関係やきょうだい関係を繰り返そうとするのです。
たとえば、浮気をしたことのない男性が妻が妊娠した途端に、他の女性のもとに走ったりすることがありますね。
これは、決して単純な性的な不満による心理ではありません。
多くの場合、その男性自身の小さい時の兄弟コンプレックス(カインコンプレックス)や、母親との間の複雑な恨みや挫折の体験を含んでいる場合があるのです。
母親の愛を弟に奪われてしまったAさん
Aさんの心の中には、三歳の時に弟が生まれて、「独占していた母親の愛情を弟に奪われてしまった」という苦い経験がありました。
そのAさんは、結婚すると、いつの間にか妻を自分のお母さんの代理人のように仕立てていました。
妻を独占し、お母さんと二人きりで暮らすような気分で結婚生活を送っていたのです。
ところが、奥さんが妊娠しました。すると次第にAさんは奥さんに冷たくなっていったのです。
つわりで苦しむ奥さんに対して「君が僕の前でそんなにゲロゲロされると、僕の方まで気持ちが悪くなる!」と、つい怒鳴ってしまうのでした。
Aさんは、これから生まれてくる子どもが男の子であるのか、女の子であるのか分からないのに、無意識のうちに、男の子が生まれてくると思い込んでいたのです。
そして、その生まれてくるはずの男の子に対して、勝手に焼きもちを焼いていたのです。
奥さんが生まれてくる赤ちゃんに母親らしい愛情を抱いていることを知れば知るほど、奥さんに対してつらく当たってしまうのです。
長男が生まれてくれば、父親として嬉しいはずなのに、Aさんは「男の子が生まれるかもしれない・・・」と思うだけで、頭がカッカしてしまうのです。そして、心の中で「何とか女の子が生まれて欲しい・・・」と願っているのです。
妻=母親、生まれてくる子ども=弟
Aさんは知らない間に、自分の妻を母親の代理人に、そして生まれてくる子どもをかつての弟の代理人に仕立てていたのです。
そして、弟との間でおさまりのつかなかった小さいときの嫉妬心や憎しみを生まれてくる子どもに向けていたのです。
奥さんに対する冷たい仕打ちは、かつて自分を捨てて弟のところへ行ってしまった母親に対する恨みの置き換えなのです。
このように夫、妻、親、子の間に濃厚な関わりを持てば持つほど、お互いの間で幼い時からの代理人を見出し、かつてその間で起こっていた恨みや憎しみや不満を向けることになり、Aさん夫妻のように、普通の人間関係では起こらないような傷つけあいが生じてしまうのです。
こういったケースに発展しないためには、Aさん自身の心の中にある、実の弟に対する「嫉妬心や憎しみ」、そして実の母親に対する「独占欲と恨み」についてアプローチしていく必要があるのです。
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- カインコンプレックス, 嫉妬心, 家族関係, 転移
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