皆さん、こんにちは。
子育てにおいて、「待つことが重要だ」というようなことを耳にしたことはありませんか?
この「待つこと」とは、一体どのようなことなのでしょうか。
自分なりに解釈して、具体的に想像できる方もいらっしゃると思いますが、子育てにおける「待つこと」を日常生活で実践することが難しいと感じる方もいらっしゃると思います。
今回は、「待つこと」について考えてみたいと思います。
子どもを待つのが苦手な親
子どもを「待つ」ことが求められるシチュエーションとしては、子どもが小さいうちは例えば、朝の保育園や学校の準備などが分かりやすいかと思います。
朝はみんなが出勤したり、登校したりと、忙しい時間帯です。
そのうえ、トイレ、朝ご飯、身支度、今日の準備と短い時間にやることがいっぱいです。
これでは、時間が足りなくなってしまい、準備を急かすことは、誰にでも起こりえますね。
そんな中で、待つことが苦手な人は、「早く早く!」とか「学校に遅れちゃうよ!」と言ってしまいがちです。
皆さんも一度や二度はこのフレーズを口にしたことがあるかもしれません。
待つことが苦手ということは、言い換えると、そのことから離れられず、そのことに執着している状態です。
上のケースで言うと、
- 学校に時間通りに行くこと
- 朝ごはんをきちんと食べること
- 顔を洗い、歯を磨くこと
- 忘れ物をしてはいけないこと
一つや二つ守れなかったからと言って、何か致命的なペナルティがあるわけではないのですが、待つことが苦手な親御さん達は、これらのルールを必死で守ろうとします。
ルールを守ることに強く執着しているあまり、相手のペースをかき乱し、先に立って急かしてしまい、「待つこと」ができなくなっているのかもしれません。
子どもののんびりペースに合わせていたら自分の準備が遅れて困るということは理解できますが、それでも無意識のうちに「ルールを守る>子どもを待つ」という式が成り立ってしまっているのです。
では、待つことができる親は一体どのように考えているのでしょうか。
子どもを待つことができる親
子どもを待つことができる親とは、シンプルに先ほどの式がひっくりかえっています。
つまり、「子どもを待つ>ルールを守る」です。
子どもを待つことがルールよりも優先されるので、子どもが守れそうにないルールは早々に手放すことができます。
例えば、朝の洗顔や歯磨きなど、やらなくても困らないルールはやりませんし、忘れ物をしてはいけないというルールも、「忘れものくらいしてもなんとかなる」と上手に手放すことができます。
一見すると見放しているようで、無責任のように聞こえるかもしれませんが、子どものことを手放すということは、「子どもが考え決めるべきことは、子どもにやらせる」と自分と子どもの間に境界線が引けているということで、子どもを信じているからこそできることなのです。
「学校に時間通りに行かなきゃいけないけど、遅刻してもなんとかなるし、そもそも自分が困るんだから、やるべきことは自分でやるだろう」
「朝は顔を洗ったり、歯を磨いたりした方がいいだろうけど、顔や歯が汚れていて困るようなことがあれば、自分でやるようになるだろう」
と子どもが自分で気づき、行動する力を信じているから手放すことができるのです。
子どもを待てる親の最たる形が、「朝起こさない」です。子どもが自分で起きてくるのを「待つ」わけですね。
手放すことができない親
このように、子どもを待つことは、子どもを信じて手放すこととよく似ていると私は思っています。
私が出会ったお母さんの中には、「娘の問題は全て私の問題です。」とおっしゃるお母さんもいました。
このお母さんは、娘のやることを全て指示し、学校での友人関係や些細なトラブルなども全て把握して、何か起きるとすぐに学校に連絡して、娘の問題に介入していました。
その結果、娘さんは朝起きられなくなり、不登校になり、ご縁あって私のところへやってきたのでした。
お母さんが、娘さんを何一つ手放せなかったことが、娘さんにとっては、「自分は信用されていない」というメッセージに他ならなかったのです。
断念の術
ストレスコーピングの記事でも紹介しましたが、オーストリア出身のフロイトという有名な精神分析学者が「断念の術さえ身につければ、人生はけっこう楽しいものだ」という名言を残しています。
これは、ストレスコーピングだけでなく、子育てでも同じことだと思います。
親として、子ども達を立派な大人に育てようと頑張ることも大切ですが、子どもの現状をありのまま受け止めてみること、時には子どもの力を信じて「手放してみる」こと、そんな術を身に付けていくことが出来れば、子育てはけっこう楽しいのかもしれません。
日常生活の中で「手放す」ことを少し意識してみるだけでも、何かしら変化が生まれてくるかもしれません。
どうしても手放せないという方は、ご自身の心の中に何かわだかまりがあり、それを処理する必要があるかもしれません。
お一人ではどうしようもできない場合、お困りの際は、是非、おやこ心理相談室をご利用ください。できる限りお力になりたいと思います。
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