皆さん、こんにちは。
夫婦仲は特に問題ない、夫は夫、妻は妻の生活を送っていて、双方の親戚との関係も悪くない。
妻の方にも趣味やそれを超える職業歴があって、子どもはそれぞれ良い子に育って、端から見ると、非常にバランスのとれているような理想的な家族があります。
実は、こういった家族には、子どもが思春期に入ってきた時期に、突然、様々な問題が表面化してくることがあります。
一体、何が起こっているのでしょうか。
一生懸命家族?
こういった家族は、みんな一生懸命「家族」をやっています。
うまく機能しているように見えても、その中で「良いお父さん」「良いお母さん」「良い子」を一生懸命やるというのは、実はとても大変なことなんですね。
例えば、親は一流大学を出て、ある程度の社会的地位もあって、お母さんもそれを補助する専業主婦の典型みたいな方で、どこに行っても世間的基準から見て問題がない。むしろ一般的に『勝ち組』のようなご家族がいたとしましょう。
こういった家庭では「生真面目で冗談がない。他人様に迷惑をかけたり、世間様に後ろ指を指されることは一切しない」というようなことをモットーにしているような家族が多く、いつの間にか家族は肩が凝ってしまうのです。
愚痴や不満、弱音はNG?
こういう「一生懸命家族」の中にあっては、子どもも「一生懸命」を強いられます。
一つには、学校に一生懸命通い、よい成績を取ることです。
もうひとつは、親にとっての「かわいい自分」、「良い子の自分」というのをいつも「演じる」ことです。
もちろん、子どもはこんなことを、いちいち気が付いて行動しているわけではありませんが、これはかなりきついことです。
「良い子」を必死に演じる必要があるので、学校であった嫌なことや不満などは親には一切言えません。
言えるような雰囲気ではないのが、一生懸命家族の共通点なのです。
常に、プラスで前向きな言葉や発言しか許してもらえないような、弱音や愚痴など一切受け付けてもらえないような雰囲気なのです。
結果を出せなかった自分が悪い・・・
人生には大なり小なり挫折はつきものですね。
例えば、他の子よりも体が大きくて力もあって、色々なことができて、学校の勉強もできる、いわゆる優秀な子どもほど、エリート校に進学するわけですから、自分よりも能力が上の人たちと競争していかなければいけません。
常に勝ち続けていられれば別ですが、いずれ敗者の立場におかれることになります。
一生懸命家族で育ってきた子ども達にとっては、挫折の体験は深刻です。
そんな時「自分より能力が上の奴がいたって不思議じゃない。悔しいけど、別に勉強が全てじゃない!」と思えれば大きな問題に発展することはないのですが、こういう子は、「お母さんとお父さんの望んでいる子どもの基準を満たしてないのではないか?結果を出せなかった自分が悪い・・・」などと自分を責め、パニックを起こしてしまいます。
要は、「よい子」の仮面が剥がれ落ちてしまった時ですね。
誰も信用できない・・・
家庭内で、弱音や愚痴を共有するという習慣がほとんどないため、子ども達は辛さや苦しさを表には出せません。出したら「負け」を意味するからですね。
結果的に、自分一人で苦しさを抱え込んでいくことになっていくのです。
そうなってくると、徐々に「人が怖い。悪口を言われている・・・」という感覚が芽生え始め、心の中はポッカリ穴が開いたような空虚感と孤独感に襲われることになるのです。
こういう子は親の期待を読み取って必死に生きてきているので、自分の能力や学力が「中程度」ぐらいでは満足できません。つまり、理想が高く、完璧主義傾向が強くなってしまうということですね。
そこに生きづらさや苦しさ、そして行き詰まり感が生じることで、心の病が表れてくるのです。
表向きには、何の問題もなく幸せそうに見える理想的なご家庭の中にも、実は心の病の根っ子か潜んでいることを、是非覚えておいて欲しいと思います。
そして、もし何かしらの問題が表面化してきた時は、その家族が変わるチャンスでもあります。
おやこ心理相談室は、そのチャンスを見逃さず、問題をプラスに変えるお手伝いをさせていただきます。
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