皆さん、こんにちは。
不登校や登校渋りを訴えるような精神的に疲れてしまったお子さんを持つ親御さんが相談に来られた際に、私は「今の時期にたっぷりと甘えさせてあげてください」とお伝えすることがあります。
以前の投稿(「自立は依存があって成立する」)でも取り上げましたが、お母さんへの「甘え」は、子どもが成長していくための必須条件なのです。
しかし、多くの親御さんは、「甘えさせると言っても、どこまで甘えさせればいいんですか?甘やかしすぎても余計に学校に行けなくなってしまうかもしれないし・・・」と疑問を抱かれます。
では、「甘えさせる」と「甘やかす」とでは、どこがどう違うのでしょうか。
「甘やかす」とは?
「甘やかす」をひと口で言えば、子どもへの過干渉です。
子どもが主人公ではなく、お母さんが主人公になっている場合を言います。
例えば、以下のような行動を指します。
- 子どもがやるべきことを先回りしてやってしまう。
- 子どもがやるべきことを子ども自身がやるまで「待つ」ことが出来ない。
- 子どもが泣いたり、反抗したりして手を焼くと、機嫌を取るために、すぐに金銭やお菓子、おもちゃを買い与える。その結果、子どもは泣けばわがままが通るという悪いクセを身に付けてしまう。
要は、甘やしてしまう親の心理には、「子どもを信頼していない(できない)」という気持ちが隠れています。
逆に、「甘えさせる」ということは、子ども発信で、親はそれに答えるという形を取ります。
子どもの要求や希望を、まず親が聞いてからアクションを取ればいいわけですね(☜ここで出来ることと出来ないことをハッキリ伝えます)。
甘えさせることで育つ3つの能力
「厳しくしないと子どもの自立心が育たないのでは?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
親に十分甘えられた子どもほど心が強くなり、自分の頭で判断し、行動できる人間に育っていくのです。
- 自己肯定感
へこたれない強い心を育むカギは、「自分は価値のある人間だ」という自己肯定感です。
これは親に十分甘えられ「愛されている」という実感が持ててこそ育まれるものです。男女ともに、思春期までは十分に甘えさせて欲しいと思います。
- 挑戦する力
親に甘える経験を豊富に持っている子どもほど、楽しくてワクワクすることに、どんどん挑戦したくなり、才能が伸びていきます。
逆に、甘えた経験が乏しい子どもの場合、新しいことに挑戦することが怖くなります。なぜなら失敗する可能性があるからです。挑戦する力は、甘えさせることで身についていくとも言えるのです。
- 自分で考える力 ~“失敗しても大丈夫!”と思えることが自主性を育みます~
親の考えを押し付けたり、先回りしてあれこれ世話を焼くような関わり方をしていると、いつまでも親の顔色をうかがい、親の指示がなければ行動できない子になってしまいます(詳しくは『指示待ちの子ども』を参照)。
一方、子どもの気持ちに寄り添い、子どもに合わせた柔軟な関わりをしていると、子どもは自分の頭で考え、判断して、行動するようになります。
たとえ失敗したとしても、「お父さん、お母さんがいるから大丈夫!」という安心感があるので、子どもは主体性を持って自分の意思で行動できるようになるのです。
主人公になりすぎていないか?
この他に、『感情のコトンロール』や『頼り上手』などが挙げられますが、甘えがしっかりと満たされた子どもほど、心の成長が早く、自立心や自主性が育ち、そして社会で生き抜いていく力を育んでいくようです。
もう一度、自分の子育てを振り返りながら、親御さん自身が、子どもにとっての主人公になりすぎていないか、子どもを過保護にし過ぎていないか、再確認してほしいと思います。
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