「自分を大切にする子に育ってほしい」とお母さんなら誰しもわが子に望むことでしょう。
それは、「どうせ私なんかダメ・・・」と自暴自棄に陥ったりせず、自分をかけがえのない存在とみなして大切に思える心の状態でもあります(根拠のない自信を参照)。
では、「自分を大切に思う心」は、どのように形成されるのでしょうか?
心理学では、自分を価値ある存在として大切に思う心を「自尊感情(セルフエスティーム)」と呼びます。
ある程度大きくなると、「僕は野球が得意だから」「私はピアノが上手だから」など、実際に自分がうまくできることを根拠として自分の価値を認め、高い自尊感情を持つことができます。
でも、4~5歳くらいまでの幼い子どもは、まだそのように考える力が発達していません。しかも、幼児期には、自分の得意不得意などを自分で判断する機会もほとんどありません。
一般に、自尊感情の高低がはっきりと現れてくるのは児童期に入ってからですが、その基盤は、幼児期に作られます。
無条件の愛が “自分を大切に思うこころ” を育む
要は、幼児期に、親からほめられたり、けなされたりする経験が土台となるわけですね。
ジム・ハーターという心理学者は、幼児期に自分が受けた親からの評価を、子どもたちが自己評価に取りこむことを明らかにしています。
「○○ちゃんは、おりこうだね」「○○ちゃんは、いい子だよ」と言われて育った子どもと、反対に、「本当にダメな子」「バカな子」と言われ続けた子どもの間には、自尊感情において、はっきりとした差が生じることは容易に想像がつくと思います。
この時、子どもを褒めるときのポイントは、「勉強ができたから偉い!」とか「誰々よりも足が速いからすごい」などのように条件付きで褒めることは注意が必要です(どのような悪影響が出てくるのか詳細は後日UPします)。
「勉強が出来ようができまいが、足が速かろうが遅かろうが、お前はかけがえのない存在だ」というのが無条件の愛です。
このように、親の言葉や態度が、自分を価値ある存在として大切に思えるかどうかに大きく影響するのです。
もちろん実際には、年中子どもをほめているわけにもいきません。いたずらやよくないことをしたら叱らなければなりませんし、お母さんだって虫の居所が悪い時も当然あります。時には、怒りにまかせて子どもを叱ってしまうこともあります。
それでも子どもは、無条件の愛に包まれてさえいれば、しっかりした自尊感情を育てていくことができ、生き抜いていく上で最も重要な、「自分を大切に思う心」を育んでいけるのです。
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