子どもを育てていく上で、「自立」はとても大切なテーマです。
子どもは親から自立して、自主的、主体的に生きる大人へと成長してゆかねばなりません。
そこで、どの親御さんも子どもを「自立的な子どもに育てよう!」と努力することになります。
小学校に入学する少し前のお子さんをお持ちの親御さんで、「うちの子は、どうも言葉が上手く話せないんです」とか、「集中力がなく、落ち着きがなくて困っちゃうんです」とか、そういうことで相談に来られる方がいます。
こういった相談は別に悪いわけではありませんが、よくよく話を聞いていくと、子どもを「自立」させることに熱心になり過ぎて、子どもの成長に必要な親への依存(甘え)を断ち切り過ぎているケースも珍しくありません。
自立には“甘え”という心の栄養が必要
最近の研究では、「自立」のためには適度な依存が必要だと考えられるようになっています。
甘えが不足し過ぎると、不安が強くなってかえって自立するのがむずかしくなるということです。
分かりやすい例としては、登校渋りがあります。
「学校に行きたくない!」と毎朝訴えるお子さんの中には、甘えが不足しているケースが多く、お母さんから離れて、一人で学校に行くことが不安で仕方がないんですね。
こういう場合には、登校させることを一旦脇に置いて、まずは母親が子どもの甘えを受け止めてあげる必要があります。スキンシップを増やしたり、母親と二人だけで何かをするという体験も効果があります。
「甘え」という心の栄養を補充できれば、子どもは自然と自立の方向へ歩み始めていきます。
自立できる子とできない子の親の違い
私の見ている限り、「出ていったら二度と戻ってくるな!」という親より、「おまえはうちの子どもなんだ。いつ戻ってきてもいいんだよ」という親の方が、子どもが早く親離れをしていくように思います。
私は、子どもが成人になり、長い間、家に引きこもり、様々な問題行動を起こしてきた家族を多数見てきましたが、彼らの多くは、前者の家の子どものように、実家が二度と戻れぬ場所になっているために、不安で不安で仕方なく、その結果、いつまでも親にしがみつこうとしてしまいます。
「親の愛情を十分に受けた」と感じられない子どもは、家を離れると親に見捨てられるように思えて、親のそばを離れられなくなるのです。
私が長年見てきた「子どもが自立をできない家庭」には、こういった共通点があります。
健康な親離れとは?
ですから、逆説的になりますが、早く家を出ていってもらいたかったら(自立して欲しかったら)、子どもの頃は十分に関心を持って、子どものしたことを褒めてあげること(いつもというわけではありません)、子どもの甘えを受け止めてあげることが大切です。
そして、子どもが青年期に入り、家を出ていく時期がきたら、「いつでも帰っておいで!」といって部屋を用意しておくと、安心してサッサと出ていきます。
いつでも帰れると思うから帰ってこないわけで、健康な親離れ、子別れができている証拠でもあるのです。
子別れ出来ない親の共通点は、ここで「うちにいればいいのにどうして出ていくの?」と子どもを引きとめてしまいます。直接言葉で言わなくても、不幸で可愛そうな母親を演じていれば、子どもは離れていけません。
あるいは「出ていってもいいが、二度と帰ってきてはいけない!」と突き放す。
これでは子どもは、いつまでたっても親離れできないままです。
自立できる子どもを育てるためには?
自立できる大人に育てるための大事なポイントは、まず子どもの「甘え」を認めて、受け止めてあげることです(具体的な子どもの甘えの受け入れ方は後日ブログにUPします)。
「うちの子は自立できなくて困っているんです」と訴えるお母さんの多くは、子どもの早すぎる自立を望みすぎていることが多く、実はその背景には、そのお母さん自身が甘える体験をしてこなかったというケースが少なくありません。
子どもが甘えてくると、「どう接していいのか分からない」と訴えるお母さんも結構いるものです。
子どもが親に「甘える」という関係が土台にあって初めて、自立が成り立つという方程式を、是非覚えておいて欲しいと思います。
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