皆さん、こんにちは。皆さんは、わが子に対して、羨ましさや競争心を抱いたことがあるでしょうか。
親御さんの中には、愛するわが子に対して、羨ましさや競争心から、イライラしてしまったり、必要以上に怒鳴り散らしてしまったりする方がいますが、大なり小なり多くの親御さんは、こういった感情を抱いているものです。
イギリスのメラニー・クラインという精神分析学者は、「親が子どもに対して、本当に親らしい親になるための最大の必要条件は、子どもに対する羨望と競争心をどれだけ解決しているかにかかっている」と述べています。
これはどういうことなのか、ある例を挙げてみていくことにしましょう。
息子にライバル心を抱く父親
例えば、Cという父親がいます。
その父親は、口では子どもに「勉強しろ!」と言っています。「優等生になってほしい。学級委員になってほしい」と願っています。
しかし、自分は子どもの頃、あまり勉強は出来ず、学級委員になったこともありませんでした。いわゆるいい学校にも入学できませんでした。
ところが、その子は父親の期待通り一生懸命勉強して、いい成績を取り、大喜びで家に帰ってきました。「見てみて!こんなにいい成績だったよ!」と父親に報告しました。あるいはクラスの人望を集めて、「ぼくは学級委員に選ばれたよ!」と報告します。
すると父親は、その瞬間は、「それは良かったな~。お前立派だったな」と一応形の上では褒めます。しかし、この未熟な父親の心の奥底には、子どもがあまりうれしそうな顔をしていると、理由もなしにイライラしてくるのです。「こんな息子に俺は負けてたまるか!」といった気持ちになってくるのです。
その場では、息子を褒めても、二、三日してその息子が帰宅するなり、さっきまで着ていたジャケットを放り投げて遊びに行く姿を見て、「お前はだらしない奴だ。いくら勉強ができたって身の回りの始末ぐらい自分で出来なきゃだめだ」と激しい口調で叱りました。
息子の方は、どうして急にお父さんが怒り出したのか見当もつきません。また、父親が酒を飲んだ時に、息子をつかまえて、「お前は、おれのことをバカにしているんじゃないか?最近のお前は少し生意気だぞ!勉強ができるからって調子に乗るなよ!」といったような説教を始めます。
息子にすれば、普段から「勉強しろ!」と言ってたくせに、少し成績が良くなると、「どうしてこんなことを言うのか?」まったく理解できず、メソメソ泣いている。父親と息子の間に入った母親はどうしていいのかわからず困ってしまいます。
子どもは親の嫉妬心を感じ取っている
中には、このような父親の息子に対する無意識の嫉妬心や競争心を感じ取り、父親とのトラブルを起こしたくないために、わざと勉強しなくなったり、クラスの人望が高いのにわざとずっこけてみせたり、失敗したりして、父親の競争心の対象にならないように気を使う子どももいます。
こういった子どもの心の深いところでは、父親の競争心にまともにぶつかって自分が仕返しを受けたり、攻撃されたり、何らかの形でいじめられたりするのが怖いために、萎縮しているところがあります。
このような父親が本当に父親になるためには、まず自分自身が、子どもの幸せや、子どもの成功を心から喜べるようになることです。
それには、未熟な子どもっぽい父親心を、父親自身がまず解決していかなければなりません。
今回は父親を例に挙げましたが、当然母親のケースも多々あります。
まずは親自身が正直に自分と向き合おうとする姿勢、親自身の未解決な心の問題を解決していくことが、かけがえのない子どもという存在を守る上で必要になってくるのです。
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