皆さん、こんにちは。
親が子どもに対する時、子どものありのままの姿を見つめることは難しく、むしろ親の期待、親が一方的に自分の願望や感情、理想像を子どもに投影していることが現実には多いものです。
そして、その子どもの個性にあった、しつけや教育方針をたてるのではなく、親が作り上げた理想の子ども像に合わせて子どもを教育しようとします。
だからと言って、これが問題というわけではありません。多くの親はこのように子どもを育てていきます。
「この子は、私の夢を叶えてくれるのにふさわしく優れた頭の良い子だ」「この子は生まれつきひねくれていて、反抗的で本当に困った子だ!」といった親が抱く子どもイメージは、まず最初に親の心の中にある理想、願望からつくられるものです。
このとき親の心の中の子どもの心が大きく影響しています。
親がイメージをもつと、子どもは親の心にかなうように一生懸命適応しようと努力します。ですから子どもは、親が抱いたイメージ通りの人間になってゆくことも少なくありません。
ただし、親があまりに自己中心的であったり、子どもの個性や現実を無視し過ぎていると、子どもは親の作った子ども像に適応しきれなくなって、いろいろな問題が起こってきます。
子どもは親に見捨てられては生きていけないので、親の期待や理想に必死に答えようと並々ならぬ努力をしますが、結局は自分のためではなく親のためにやっているので、いつか息切れしてしまう時が訪れます。
そしてまた親の方も、自分のつくった子ども像と、実際の子どもが一致しないことに気づくと、ひどく幻滅してしまうのです。
こういった自己中心的な親の場合、「昔は良かったんだけど、この子があまりにも自分を幻滅させるようなことばかりするからこうなってしまったんだ」と、親は自分の心の中で自分を正当化していきます。
簡単に言えば、親のまいた種をいつの間にか子どもに責任転換し、突然突き放していくのです。子どもにしたらいい迷惑です。
また、子どもが何人かいる場合には、子どもを差別する、片方は王子様・お姫様みたいに、一方は下男・下女のように扱うということも意外に起こってきます。
こうした場合は、一人の子を自分の分身と思い、もう一人を自分の兄弟の分身としてみるような気持ちが働いています。
子どもを「この子は自分のお姉さんに似ている」とか「この子は妹みたいだ」と感じて、自分の子ども時代の兄弟、姉妹関係を自分と子どもとの関係で再現していることが多いのです。
そして小さい頃に姉にいじめられた、姉と差別されて悲しかったという気持ちが心の奥に潜んでいれば、お姉さんに似ている子どもをやっつけて自分の子どもの頃の不満を解消するようなことが起こってきます。
それで親の方は自分の気持ちを清算して癒されますが、子どもの方はたまったもんじゃありません。親が抱いていた子どもの頃の心の犠牲にされてしまうわけですから。
子どもを育てるときには、必ず、親の心の中の問題、特に親のなかの子どもの心の満たされなかった思いが、このようにいろいろな形ででていきます。
子どもは結局、こうした親の気持ちを色々に受け取って育っていくような面があります。
大切なことは、父親・母親のなかにもそれぞれ子どもが住んでいて(子ども時代の思い出)、それが子どもに対するとき何かの形ででてくるという事実は、子育てをしていくうえで頭の隅に置いておきたいものです。
子どもが成長していく過程では、親の親から続く、こうした心の動きが続いているのです。
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