皆さん、こんにちは。
児童臨床では、両親の離婚の影響を受けた子どもたちと出会う機会がたくさんあります。
そのような時、私は子ども達から発せられる一言一言に、できる限り丁寧に耳を傾けるよう心がけています。
その中で、両親の離婚を経験した子ども達の語る言葉は、とても似通っています。
以下、両親の離婚を経験した子ども達の典型的な言葉(フレーズ)のいくつかを紹介していきたいと思います。
親の離婚を経験した子どもたちが一体何を考え、どんなふうに感じているのか、少しでも子ども達の理解につながればと思います。
“両親のケンカを見なくて済むので離婚してよかった”
子どもたちは、親の離婚騒動よりも、むしろ両親の衝突に心を痛めています。
子どもは自分の心の痛みはそっちのけで、お父さんとお母さんの傷つきや家庭内の緊迫した雰囲気を気に病んでいきます。
中には、両親の中を取り持とうと「仲裁役」を自ら買って出ることもあります(詳しくは、『家族内の子どもの役割』を参照下さい)。
両親が離婚してはじめて、子どもは明るくなった家庭の雰囲気に安心すると同時に、ようやく自分の心の痛みに気がつくことができるようになっていきます。
“離婚は恥ずかしい・・・”
両親が離婚することは、多くの場合、隠さなければならない「恥」という感覚を子どもに抱かせています。
世間体や周囲の視線を気にして、両親の離婚は親しい友人にも言えない「秘密」になってしまうのです。
両親が早くに離婚したために、ひとり親が自分にとっては普通のことであっても、小学校高学年頃になると友人の家族との比較で、自分の両親の離婚を意識するようになります。
離婚後もずっと父母の仲直りを願っている場合もあるのです。
“自分のせいで離婚したと思ってしまう・・・”
「自分のせい」ではないと分かっていても、「自分のせいで両親が離婚した・・・」という考えに無意識のうちにとらわれてしまう子どもがたくさんいます。
「もっと自分がいい子にしていれば離婚しなかったのかもしれない」とか、「あの時お父さんとお母さんの言うことを聞かなかったのが離婚の原因になってしまったのでは?」などと止まらない後悔の念や罪悪感に悩まされることがあります。
一方で、後悔や罪悪感が強すぎるあまり、「両親の離婚に全く関心がない。関係ない」と無関心をよそおう子どももいます。
“離婚するくらいなら、産んでほしくなかった”
子どもは両親の離婚(不仲)によって、自分の存在意義を根底から問われることになります。
「果たして自分は両親に待ち望まれて産まれてきたのか?」、「愛される価値があるのか?」などと、出生にさかのぼって深く悩み始めます。
愛情を確かめようと、両親に対し、執拗に反発することもあります。
しかし、こうした言葉の裏には「離婚してほしくなかった・・・」「両親のそろった家庭で育ちたかった・・・」という思いも込められているのです。
子どもへのアフターケアを
個人的な意見になりますが、両親が離婚することが決していけないとは思っていません。親は親なりの都合があり、やむを得ず離婚という選択肢を取らなければいけないこともあるでしょう。
しかし、「離婚」という選択肢を取ることで、少なからず子どもには影響があり、上記のような気持ちを子ども達は抱いているということを忘れないでいただきたいと思います。
そして、その上で、離婚後の子どもへのアフターケアを考えていただければと思います。
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