皆さん、こんにちは。
私は日々学生たちの相談業務にも携わっていますが、中学生から高校生、大学生までの悩みの中で一番多いものは、「自分が分からない・・・」という訴えです。
青年期に入る前段階の思春期には、誰しも「自分が一体何者なんだ?」という疑問を抱くものですが、私のところへ相談にお越しになる学生の共通点は、いつも周囲の顔色やご機嫌を伺っているため、「自分がどういうキャラクターを演じる必要があるのか?」、「どういうキャラクターがその場面では正解か?」ということを必死に考えている点です。
そのために、いつの間にか自分が分からなくなってしまっているケースが多いのです。
これを心理学用語では、「アイデンティティクライシス(自己喪失)」と言います。
自己を喪失した彼らは、自傷行為や非行問題、不登校や引きこもり、家庭内暴力などを通して、自分探しの旅に出ていくのです。
好きなことをやってみることが解決の糸口に!
私は、子ども達や学生のカウンセリングでは、まず最初に「好きなことは何ですか?」と質問します。そして彼らの好きなことや興味のある話を聞いていくわけです。
たとえば、「ジャニーズの○○というグループが好きだ」と答えたとしましょう。
そしたら、そのグループの「どんなところが好きなのか」、「誰が一番好きで、どういうところがタイプなのか」ということを「ふーん、ふーん。それで?」と詳しく聞いていくわけです。
問題が長期化していないケースであれば、こういった対応だけで問題が解決へと向かっていくこともあります。
ケースによっては、その子がなんで立ち直ってしまったのか、私も分からない時があります。
でも、その子が一生懸命になって、自分の興味がある話を語っているその中に、その子の本質が、ものすごく出ているんだと思います。
だから、自分の好きなことと、その下を流れている本質的なものとのつながりをその子なりに分かっていくんだと思いますね。
転職を繰り返す19歳男性
高校を卒業し、すぐに就職しましたが、どこの会社も長続きせず、転職を繰り返してしまう当時19歳の男性が相談に来られました。
彼は、「今就職している会社をまた辞めたくなってしまった。どうしたらいいですか?」といって、私のところへお越しになりました。
そこで「あなたは何が好きなの?」と聞いてみると、「長距離を走るのが好きだ!あんなにスリリングなスポーツはない!」と自慢げに答えました。
「あれはただひたすら走って、疲れるだけじゃないんですか?」と質問してみると、「あれはね・・・」と熱心に語り出しました。
「何でも最後まで、諦めずにやるというのは、いかに意味があるか!途中で放棄しないというのはどんなに素晴らしいことか!」という話を夢中で語っていました。
そうこうしているうちに、「やっぱり今の会社は続けます!」という気持ちに本人がなってしまいました。
やめるか続けるかという問題が、その子の好きなスポーツの世界に出ているんですね。
それを色々と話しているうちに、自分の仕事に対する態度の問題とひとつになっていったということですね。
このように自分が好きなことについて話をするというのは、ものすごく大事なことなのです。
そうやって好きなことに体や心を動かしているうちに、深いところから答えが出てくることがあるのです。
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