幼稚園・保育園から小学校は、人生の中で人が社会性を身につける年代と言われています。特に小学校2、3年から5・6年までは、人が物事を学んだり、集団の中で遊んだり、一定の役割や作業をまっとうするという能力の基礎をつくる段階でもあります。
きちんと一定の時刻に学校に行き、勉強や運動にそれ相応に取り組む。体育や休み時間は、友達とふざけたり、騒いだり、時には小さなケンカを楽しんだりします。
この年代で一番身につけてほしいのは、一定の役割や仕事を、感情のもつれなしにやり遂げる心の習慣です。
昨夜お父さんにひどく叱られた。朝、お母さんと小さな感情的なトラブルがあった。きのう学校で先生に厳しく叱られた。友達に意地悪された。こんな心の傷つきや感情のトラブルは、人生にはつきものです。それが家庭であろうと学校であろうと、どんな場所でも、人生はこれらの心の傷つきの連続でもあります。
ですから、大切なことは、傷つかないことではなく、少しぐらいの傷つきがあっても、勉強は勉強、遊びは遊びとしてやり遂げていく心の機能を身につけることです。臨床心理学では、このようなこころの機能を「こころの自律性」と呼びます。
自律性というのは、自動機械のように、こうした心の習慣が身についてしまっていることを言います。
朝起き上がり、顔を洗い、洋服を着替え、朝食を食べ、学校に出かける。それがごくごく当たり前のことになり、ママ、パパがどうであろうと、先生や友だちとのトラブルがあっても感情が突然乱れたりすることなく、とりあえず毎日を自分のペースで淡々と過ごすことができるという習慣です。
小学校時代は、この心の仕組みをどうやって身につけるかが課題になってきます。
もし、このような「こころの自律性」が身についていないと、人生はいつも苦労とストレスの連続で、それを我慢しながら、「苦しい、苦しい・・」といって暮らさなければならなくなってしまいます。
不登校児や登校渋りを訴える子ども達の中には、残念ながら、この「こころの自律性」が身についていない子が多く見られます。彼らは小さなトラブルや感情を揺るがすような出来事が起きてしまうと、それらが想像以上にストレスになってしまい、朝目を覚まし、準備をして、学校に行くという日常の習慣を全うできなくなってしまうのです。
では、どうすれば「こころの自律性」を育てることができるのでしょうか。親としての対応のコツなどは、今後のブログで詳しく取り上げていきたいと思います。
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