皆さん、こんにちは。
3,4年生にもなると、最近、「子どもがあんまり相手にしてくれないな~」「遊びやお出かけに誘っても乗り気じゃないな~」とか、「一緒に過ごすことが減ったな~」と感じることはないですか?
どこに行くにもくっついて来てたわが子が、突然離れていくようで、一抹の寂しさも感じることだと思います。
しかし、実はこの時期の親の寂しさは子育てがうまく進んでいる証拠でもあるのです。
逆に、「3,4年なんて学校も慣れて来て、大して大事な時期じゃない」、と手を抜いていると後で大きなしっぺ返しがやってきます。
小学校の中学年(3,4年生)になると、親との関係から仲間との関係へと比重が移っていきます。
休みの日にもスポーツや習い事に忙しかったり、友だちと遊ぶことが多くなってきて、親と過ごす時間が減ってきます。
本人は意識していないのですが、これは親と距離を取ろうとし始めた証拠です。
この時期は、「自立への準備期間」ともいえる時期で、子ども達の成長においてはとても大切なプロセスなのです。
この時期の特徴と接し方を理解した上で、焦らず、無理せず、上手に対応して、次にやってくる思春期へとスムーズに移行していきたいですね。
こころの発達と特徴
中学年(3,4年生ころ)になると、子ども達は本格的に親からの精神的な自立に向かって準備を始めます。
「かわいいうちの子が自立だなんてまだ早い」と思いたい気持ちも理解できますが、親子共に、この準備がきちんとできていると、しかるべきときにしかるべき形で自立へとスムーズに移行していけます。
親にとっても子離れのこころの準備を始めて、かわいい子ども達の自立の妨げにならないように気をつけたいものです。
この頃の子ども達の大きな達成目標は、大きく分けて3つあります。
- 他者意識を培う
- 自己主張を完成させる
- 自分(自我)の獲得
他者意識(自分と他人を区別できること)
学校での仲間との生活を通して、自分と他者を区別できるようになり、カテゴリー分類(男と女、習い事が同じ、好きな物が同じ、など)ができるようになります。
他者と比べることで劣等感も生まれるので、比較的劣等感を感じない、自分と似ている友達同士のグループを作るようになります。
「こいつは俺と似ているな」と思うと安心できるんですね。
「いつも一緒にいる○○さん」、「たまに一緒に遊ぶ○○さん」、「あまり話したことのない○○さん」、といった具合に、友達の間に異なる距離感を持ち始めます。
この他者意識が友達作りに重要な役割を持つ反面で、排他的な感情にもつながり、自分と違うカテゴリーを排除しようとすることがあります。
この行動がいじめや男子と女子の意見の食い違いに発展することがあります。
この頃は特に「仲間に認められたい」という思いを強く抱くようになり、逆に仲間はずれになることはとても怖いと思うようになります。
「いつも一緒にいた○○ちゃんと突然話さなくなった」など、親にとっては心配なことが起こるのも、この劣等感からくる排他的な感情が関わっています。
些細な理由で「仲間」から一変、「違うカテゴリー」へ認識が変わってしまうのです。こういう突然のカテゴリー変更が起きるのも、この時期ではまだまだあることです。
自己主張
多くの子は仲間との生活を通して、自分のことをしっかり主張できるようになり、自己主張を完成させます。
親にとってはまだ未熟で自分勝手な主張だと思えるようなものばかりでも、子どもにとっては大切なトレーニングだと思って、子どもの主張を認める対応に切り替える時期でもあります。
一般的に、女子の方が男子より自己主張が完成されるのが早いので、よく男子と女子の衝突が生じるのもこの頃です。
自己主張のできる女の子が、「男子!ちゃんと掃除しなさいよ!」という一言で男子が女子に手を出してトラブルになるケースはよく聞きますね。
男子のグループは「攻撃された」と認識してしまい、すでに「違うカテゴリー」の女子のグループを「敵」とみなしてしまいます。
さらに、女子ほど自己主張が完成されていないので、自分のことを言葉で説明したり、言い争うことができずに、感情的になって手が出てしまうという訳です。
また、女子は女子で、早く完成したために、周りがついてこれずに戸惑うケースもよくあります。
いつの段階でも、成長には個人差があるということを理解しておく必要があります。
自分(自我)の獲得
仲間が出来て、自分の主張ができるようになり、自分(自我)を獲得します。
この時期は「エゴ(自我)の時代」と別称されるように、自我の獲得がこの時期の1番大きな課題であり、ゴールです。
自我とは、他人の気持ちが想像できたり、自分のことを自発的にやるようになったり、TPOに合わせた感情のコントロールができるようになることです。
自我が育たないと、その後の生きかたや人間関係に大きな影響を及ぼします。
親に頼らず自分から宿題やお手伝いをやるようになったり、お友達とのケンカが減ってきたり、他の子に優しくしたり、思いやることができるようになったり、「あの時○○だったんだよね~」と家で気持ちを吐き出したりできるようになるともう安心です。
自我の獲得はこころの面での自律に直接的につながります。
自分が確立できたことで、精神的にはもう親からの自律が始まったと言ってもよいのではないかと思います。
同時に、自分ひとりで他者と交わることの損得を学び、困ったり、逃げたりしながら、サボる、怠けるといったずるさも学びます。子どもらしさが徐々に消えていく頃でもあります。親としては、少し寂しいですけどね。
子離れの寂しさは、子育ての成功の証!
このように、中学年ころの発達は自立へ向けての準備がほとんどです。
親として、まずこれらの特徴を理解した上で、子どもの成長を信じて、見守る姿勢を養い、子どもの自立のサポートをしていきたいですね。子離れの寂しさと戦いながら。
次回は、中学年の子ども達との接し方について、詳しく解説したいと思います。
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