目 次
皆さん、こんにちは。
このところSNSを利用した犯罪に巻き込まれる小学生・中学生・高校生が増えているというニュースをたびたび目にします。
ある情報番組のリサーチによると、小学4~6年生女子の56%が、SNSで知り合った人に会いたい、または実際に会ったことがあると回答したそうです。
今や、ネットを通じて人と知り合うことは、当たり前の時代になってきているのかもしれません。
ネットやSNSとの付き合い方や親の管理責任などが叫ばれていますが、この問題の根源はもっと深いところにあるような気がしてなりません。
SNSが満たす「人とつながりたい」という欲求
この問題を理解するために、まず子ども達がSNSを利用する背景にはどんな気持ちがかくれているのかを紐解いていきましょう。
SNSを利用する子ども達の多くは、同じ興味や趣味のグループ、ゲームなどのネットワーク、更にはストレス発散や悩み相談の相手など「人とのつながり」を求めているように見えます。
人とのつながりを求めてネットを利用しているという点では大人も子どもも同じ傾向があるのではないでしょうか。
彼らは実際の人間関係に何かしらの行き詰まりを感じていることが多く、深いつながりではなく、表面が取り繕える自分にとって都合の良い関係を求めて、気軽な気持ちでネット世界のドアを叩きます。
もちろんネット上にも健全な関係はたくさんありますが、現実社会で面と向かって人と良好な関係を築くことが難しいと感じる人が増えていることは間違いないでしょう。
SNSが本音を語れる唯一の場所
子ども達はSNSで、親や友達に言えない悩みをつぶやいたり、現状のつらさや苦しさを訴えたり、何かしらの救い・助けを求めてメッセージを発信することも多いようです。
「家も学校もきらい・・・」
「居場所がない・・・」
「自由がほしい・・・」
など、子ども達の訴えるメッセージは、親が想像する以上に切実です。
これらのメッセージに表れているのは、「自分のことが好きになれない」という自尊感情の低さと、「こんな自分でも受け入れてほしい」という承認欲求です。
ただでさえ思春期真っ只中で悩みと葛藤を抱えやすいのに、悩みを相談できる相手がいなかったとしたら、とても苦しいことでしょう。
この苦しさをなんとかしようと、本音が言える相手を探してSNSを利用する気持ちも理解できます。
いかに多くの子ども達が、「現実に人とつながることができず(人を信じられず)、低い自尊感情と満たされない承認欲求に苦しんでいるか」が前述した56%という数字で納得できると思います。
これらの子ども達は、現実世界で「このままでいい」「ここにいてもいい」という承認に飢えている状態と言ってもいいでしょう。
その状態でSNSを利用すると、SNS上には、承認欲求への渇望を満たしてくれる存在がたくさんいて、そこはとても居心地の良い世界として目に映ることでしょう。
大人にも同じことが当てはまりますが、小学生は情緒発達のレベルが大人より未熟なため、この居心地の良さを「危険」と認識できる判断力がまだ未発達だと思われます。
まずは、子ども達が危険を犯してSNSを利用してまで、求めているものを、保護者が明確に知る必要があるのです。
なぜ知らない人に会いにいってしまうのか?
不特定多数の相手に訴えることで、中には親身になって相談に乗ってくれる人もいます。
こんな自分のことでも温かく受け入れてくれる人もいます。
そこに信頼が生まれて「会いたい」という気持ちが芽生えてしまうのは、ある意味自然です。
しかも、匿名だから、個人は特定されないだろうという気持ちから、比較的自由に、いつもより大胆に発言することができます。
犯罪目的でSNSを利用している人間からすると、SNSはどんな世代のターゲットでも探せて、簡単に心の闇に付け込むことができる格好のツールと言えるのではないでしょうか。
思春期の危険を乗り越える大切な存在はリアルな人間関係
しかし、これを逆手に取れば、リアルな世界に親身になって温かく受け入れてくれる人がいれば、それほど大きな問題に巻き込まれることはないのです。
親や祖父母、その他親族、学校や塾・習い事の先生、友達・仲間、先輩や後輩、近所のお節介おばちゃんなど、誰か一人でも受け入れてくれる存在がいれば子ども達にとって大きな救いになることは間違いありません。
中でも、思春期に最も大きな役割が期待できるのは、同性の友達や仲間などの横のつながりです。
どんな関係でも、たった一人でも「友達」と呼べる人がいれば安心です。
実は、子ども達は幼いうちから広く浅くいろんな友達と付き合うことで、自分に合う・合わない、どんな人なら気持ち良く付き合えるかを見極めるという練習をしているのです。
ですから、幼いうちから子どもが友達を作ろうとしているときに、親の価値観を優先させて「あの子と遊んじゃダメ」などと決して邪魔をしてはいけません。
「親の仕事は思春期を迎えるまでが勝負、あとは子どもを信じて、彼らが選んだ友達や仲間に任せる」ことが望ましいのです。
もし、友達が一人もいなくても、すでに思春期を迎えた後でも、親にも引き続きできること・親にしかできないことがあります。
それは「お前が大切だ」「お前のことを愛している」と繰り返し伝えることです。
子どもが聞いていてもいなくても、そんなことは気にせず、今日から毎日ジャージャー浴びせて下さい。
子ども達の自己肯定感を育て、承認欲求を満たすのに遅すぎることはありません。
これこそが、親にできる最良の「子どもを危険から守る方法」だと思います。
心のつながり ~関心という愛情~
裏アカウントやネットいじめ、SNSを使った犯罪もネット世界で起きる問題の根っこは全て同じだと思います。
子ども達が抱える心の状態を理解しない限り、解決は難しいのではないのではないでしょうか。
これを機会に、SNSやスマホとの付き合い方を家族で考えることと同時に、子どもの心の様子にも目を向けてみてはいかがですか。
いつの時代も、大人も子どもも、こういう「つながり」を求めているのかもしれませんね。
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