皆さん、こんにちは。
私が出会うお母様の中には、子どもを困らせてしまう母親がいます。
しかも、彼女たちの多くは、自分が子どもを困らせていることにまったく気がついてなく、逆に子ども達が自分たちを困らせていると訴えます。
どんな母親なのか、ある例を挙げながら見てくことにしましょう。
情緒不安定なB子の母親
B子は、幼稚園の頃から時々幼稚園に行かなくなったり、幼稚園に行っても、友達とうまく協調できずにトラブルメーカーになっていました。
この社会適応性の悪さは小学校に入っても続いていました。どうも友人関係が上手くいかないのです。
ときどき、機嫌がよい時もありますが、急に気持ちが落ち込んだり、イライラしたり、時には怒りっぽくなったりするのです。この情緒不安こそが友人関係を作っていく上での大きな問題になっていました。
心配した母親が教育相談所に行き、B子について相談しました。そこでだんだんわかってきたことは、母親自身の情緒の不安定さでした。
B子の母親は、B子をとても可愛がり、溺愛するほどでした。朝起きて、B子が学校から帰ってくるまで、とにかくB子に没頭しているのです。
そして、B子がご飯を食べた、食べない、勉強をした、しない、機嫌が良い、悪いを常に気にして「B子、B子!」と可愛がり、過保護になっていました。
しかし、どうしてB子はあんなふうに気持ちが不安定になってしまったのでしょうか?
実は、B子の母親は、溺愛する一方でときどき激しくB子を拒絶する時があったのです。それは、B子が自分の思う通りにならないときです。
B子にしてみると、母親とは別に自分らしさを発揮したり、年齢相応の「自由な行動をとりたい!」と思うことは自然ですが、母親にしてみると、好き勝手をしているB子を見ていると途端に激しく怒ってしまうのです。
「なぜ私の言うとおりにならないの!私の思った通りにやっていればいいのよ!」と自分の計画や理想から外れたことは絶対に認めないのです。
そうなってくると、急にB子が憎らしくなり、頭ごなしに怒鳴りまくりってしまいます。あるいは、ひどくなると、母親の方が興奮してきてパニック発作になったりします。
そして、「何でお母さんをこんなに苦しめるの!あなたは本当に悪い子ね!」と言い放ち、B子のせいにするのです。B子にしてみると、そんな気はまったくなく、「自分らしく何かをやろうと思っただけなのに・・」と思っても、いつの間にか自分は悪者扱いされてしまうのです。
しかし、母親のご機嫌が直って、台風が去ったようなよい気分になると、とたんにまた、「B子、B子!」と溺愛して、もう小学生だというのに、まるで赤ちゃんのように抱きかかえたり、時には、自分のベッドに引き入れて一緒に「おねんね」したりします。
要は、B子は母親の思うとおりの赤ちゃんみたいになっていれば、安全で、大事にされるのです。
でも、少し大人になって、しっかりと自分らしくやろうとすると、とたんに「悪い子ね!」と叱られてしまいます。
これではB子の心が本当の意味で成長することは難しいです。
B子の母親は、B子を溺愛する精神状態と、決定的に拒絶し、怒りを向ける精神状態が激しく交代します。この繰り返しこそが、B子の不安定さを生んでいたのです。
思春期までこの不安定な母子関係が続くと、おそらくB子は相当深刻なこころの発達の病理をあらわすことになるでしょう。
母親として、何とかいまのうちに、このパターンに気がついて、もっと安定した一貫性のある心の持ち主になっていく必要があるのです。
コメント