皆さん、こんにちは。
私たちの人間関係は、安心や信頼を得ることのできる「つながり」になることもあれば、時に相手の人生までをも支配してしまう危険な「つながり」になってしまうことがあります。
簡単なようでいて、実はとても難しい関係性なのです。
その中で、今回は恋愛関係や夫婦関係などでみられる『ドメスティックバイオレンス(以下、DV)と共依存』について焦点を当ててみたいと思います。
DV関係に陥っている方達は、自分たちが共依存関係にあることに気づいていないことが多く、知らぬ間にお互いがお互いを必要としているという関係が成り立ってしまっているのです。
他者をコントロールしていく共依存
では、共依存とは一体どういう関係のことを言うのでしょうか。
共依存の核には「他者コントロールの欲求」があります。
人に自分を頼らせることで相手をコントロールしようとする人と、人に頼ることでその人をコントロールしようとする人との間に成立するような二者関係を『共依存』と呼びます。
こうした二者関係では、お互いに相手をむさぼりつくすことになってしまうので、「憎しみながら離れられない」とか「軽蔑しながらいないと寂しい」といった愛憎劇が展開していきます。
また、共依存関係にある方たちは、往々にして自己評価が低いので、本来の自分の考えや判断を否定したり、隠してしまう傾向があります。
DV夫婦やカップルの深層心理?
例えば、暴力を振るう夫の緊張をはらんだ関係に耐えている女性たちは、自分の居心地の悪さなどの感情に目を向けようとしません。
人間本来備わっている「感じる」という能力を忘れてしまっている人も少なくないのです。
最近多くなってきた彼氏や彼女間でのDVも、ふたを開けてみると共依存関係ということも珍しくありません。
彼氏から、どんなにひどい暴力や仕打ちを受けたとしても、彼女たちの多くは、彼氏の元へ戻っていきます。
普通に考えれば、「どうしてそんな危険な相手にわざわざ自分から近づいていくの?」と思うかもしれませんが、何かに引き寄せられるように暴力彼氏に近づいていきます。
そしてその理由を聞くと、「いないと寂しい・・・彼には私が必要」というわけです。
世話を焼く親と焼かれる子供?
この二者関係では、女性が『世話を焼く大人』、男性が『世話を焼かれる子ども』というような支配する者と支配される者という関係性が出来上がっています。
男性の中には、爆発的な暴力が始まると自分でコントロールすることが不可能になるという方がいますが、これも子ども返りの一種です。
この種の暴力男性もいつも暴れまわっているわけではありません。
しかし、彼らが自分を抑制し、静かにしている時こそ、暴力の欲求が蓄えられているときなのです。
彼らの多くは、心が幼い分、とても傷つきやすい一面を抱えています。
ですから、彼らに対して「男らしくない」という言葉は当然タブーになります。
一方、癒しを期待されている女性は、男性の緊張の高まりを敏感に察し、彼のご機嫌を取ってなだめまようとします。
これが一時的にうまくいくと、女性は男性をコントロールする自分の能力に自信を持つことになります。
俺から離れないでくれ!もう二度と暴力は振るわないから!
でも、それはいつしか破綻して、再び男性の暴力が爆発するという事態がやってきます。
男性は男性で、発散した後に、自らの行為を悔い、女性に許しを求め「俺から離れないでくれ!」としがみつきます。暴力で傷ついた女性の体をいたわり、贈り物をして「もう二度と暴力は振るわない」という誓いを述べます。
暴力を振るっていた時の男性とはまるで別人のようにふるまうわけです。
すると女性の心には「この人は自分の存在なしでは生きられない。かわいそうな人だ」という気持ちが芽生えてくるのです。
私が守ってあげなくちゃ!
この「自分がいないとこの人は生きていけない。かわいそうな人だ」という気持ちこそが共依存の特徴です。
こういったことを長年繰り返している彼氏や彼女、夫婦関係は決して珍しくはありません。
ここまでの話は、男女の関係でしたが、これは問題行動を繰り返す息子や娘と親(特に母親)との関係でも同じことが言えます。
特に問題が長期化しているケースの場合には、その問題の背景に親と子の共依存関係が隠れていることが多く、その関係性にアプローチしていかない限り、問題の本質的解決には至らないことが多いのです。
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