皆さん、こんにちは。
前回に引き続き、今回は『怒り過ぎてしまう親』の心理的メカニズムについて解説していきます。
いろいろなケースがあるとは思いますが、怒り過ぎてしまう親御さんの多くに共通している点は、お母さんが子ども達に対して不安を持っていて、子どもたちを怒ることでその不安を解消しようとしていることです。
お母さんが不安を持っていること自体は、何の問題もありません。むしろ、自然なことです。
問題なのは、お母さん自身が不安であることを受け入れられない、もしくは不安が解消できておらず、子どもを怒る事で処理しようとしてしまうケースです。
子どもを怒ることで自分の中の不安を処理しようとする親の心?
お母さんの中には、「母親たるもの、強く正しくなくてはならない!不安だなんて、あってはならない!」と信じ、子どもの前では、頑張っている姿しか見せない方がいます。
特に、職業柄責任のある立場の方や、完ぺき主義や頑張り屋さんのお母さんに多いです。
しかし、自分の不安が受け入れられないことで、「子どもの不安もあってはならない!」と誤解しやすい点が要注意です。
そんな家庭では、子どもが不安を訴えても「そんな弱音を吐くんじゃない!そんなこと考えないの!」などと一蹴されてしまいます。
小さなミスでも「強い子に育ってほしい!」と、ついつい怒りすぎてしまいます。
お母さんたちは、そういって子どもを怒ることで、実は、自分に言い聞かせているわけですね。
すると、子ども達はさらに不安を口に出来ずに、一人で抱えていく結果になります。
また、不安に気付いていても誰にも相談できなかったり、否定され続けてきたお母さんは、自分の不安を子どもの不安に置き換えてしまいます(☜ これを同一化と言います)。
子どもの不安を払拭するために、子どもの一つ一つが気になり、子どもの気持ちそっちのけで一方的に口を出し、子どもより先に手を出してしまいます。
子どもの不安を払拭するという名目で、実は自分の不安を取り去ろうと必死なわけですね。
結果、子ども達は自分の意志を失い、自分で行動できなくなってしまいます(詳しくは『指示待ちの子』を参照下さい)。
これらの点では、子ども達はお母さんの「不安の犠牲者」でもあるわけです。
自分の不安が受け入れられる親とは?
一方、日頃から不安を受け入れ、弱音を吐いたり、愚痴を言って不安と柔軟に関わっているお母さんは、自分の不安と子どもの不安がきちんと区別できているので、子どもたちが自由に意思決定できます。
旦那さんや他の家族、お友だちなどに弱音を吐いて、不安を聞いてもらって「不安なのは私だけじゃないんだ」と不安の共有をすることで、「子どもの不安もあってもいいんだぁ」と思えるのです。
すると、子ども達も「不安になってもいいんだ」、「不安を口にしてもいいんだ」と思えるようになり、自然と不安との共存ができるようになります。
不安の処理の仕方が大切!
このように、お母さんの「不安の処理の仕方」が子どもたちにとってとても大きいのです。
お母さんが不安を抱くのは、初めての子育てや複雑な人間関係の中では当然なことです。
お母さんと同じように、子ども達が成長と共にどんどん変わっていく環境の中で、不安を抱くこともまた必然なことです。
「不安」という感情は新しい世界へ飛び立つ上で、自分を守ってくれる、なくてはならない大事な感情なのです。誰しも、不安になってもいいんです。
一度、自分の不安と向き合って、不安の処理に対するパターンを把握して、不安と上手に付き合ってみて下さい。
☆ 子どものつまずきは成長のチャンス ☆
子どもたちが、学校では問題にならないレベルであっても、「友だちと上手く行かない事が多いなぁ~」、「学校や塾で適応できてないなぁ~」、「自分の気持ちを出そうとしないなぁ~」などと思い当たるようでしたら、一度、家庭での「怒り方」を見直してみるいい機会かもしれませんね。
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