皆さん、こんにちは。
子育てに役立つ心理学シリーズ第3弾です。
期待されたとおりの成果を出す ~ピグマリオン効果~
ピグマリオン効果とは「人は期待されたとおりの成果を出す傾向がある」という主張です。
「期待」と「成果」の間にはお互いに影響を及ぼす関係があるということです。
- 「君はとても優秀だ」と言い聞かせて受けさせたテストと「君は頭が悪い」と言い聞かせて受けさせたテストでは、前者ではスコアが伸び、後者ではスコアが落ちる傾向がある。
- 親から何かにつけて肯定され、褒められている子は、自発的にやるべきことができる傾向があるが、何かにつけて否定・ダメだし・けなされている子は、自発性が乏しく、自分でやるべきことができない傾向がある。
- 夫(妻)からいつも高く評価されている妻(夫)は、自己管理ができて、家事・育児・仕事においてもパフォーマンスも高い傾向があるが、いつも低く評価されている妻(夫)は、自己管理ができず、家事・育児や仕事のパフォーマンスも低い傾向がある。
人は、優秀を期待されれば、良い成果を出し、劣等を期待されれば、悪い成果を出す傾向があるということです。
本来、誰かに期待されることはそれだけでも嬉しいもので、自然とモチベーションになり、やる気が出ます。
それだけ、「期待」が「成果」に対して大きな影響力を持っているということです。
しかし、大きな影響力を持つ「親の期待」が子どもの意志を無視して、親の意志だけで成り立っている場合は、逆効果を生むことも考えられます。
特に、思春期頃からは注意して下さい。
「君は優しくて良いやつだ!勉強はできないけど」~初頭効果~
初頭効果とは、文字通り、最初の印象が強く心に焼きつくという効果です。
買い物に行って、いろいろ見て回ったけど、結局最初に見た物を買ったという経験はありませんか?
最初に目にした物の印象が一番心に残りやすいのです。
同じように、耳にする言葉も最初の印象が強く残ります。
- 「君は優しくて良いやつだ。 ただ、勉強はあまりできない」
- 「君は勉強はあまりできない。 ただ、優しくて良いやつだ。」
この場合、上は「優しくて良いやつ」、下は「勉強はあまりできない」という部分が無意識的に強く心に残ります。
受験や仕事の面接などにおいて、自分を売り込むときは、長所や実績と言ったプラス面を一番に伝えるようにすると、良い印象を与えることができるかもしれません。
また、子育てにおいても、良いことはまず最初に伝えるようにして、その後で伝えるべきマイナスポイントを伝えるようにすると、心が受ける印象が変わり、余計なダメージを減らすことができます。
強い言葉で否定・ダメだし・けなすフレーズ(「バカだ、お前はダメだ、何もできないやつだ、どうしようもないグズだ」など)を一番に使い続けていると、無意識に否定的な印象が焼き付いてしまい、自尊心を傷つけ、心の健全な成長を妨げることになりかねません。
とは言え、怒るときはとっさに言葉が出てしまうので、前半のプラスフレーズを予め準備しておくと良いかもしれません。
- 「お前は本当にいいやつだ。ただ、このテストの点はどうかと思うぞ。」
- 「あなたは優しい子ね。ただ、もうちょっと丁寧な言葉を使ってほしいと思うな。」
- 「よく頑張ってるね。ただ、もうちょっと自分の意見を言ってほしい。」
- 「しっかりやっているわ。ただ、周りの人に優しくできるともっといいわね。」
いいところをしっかり受け止めてもらったという感覚があれば、返ってその後の伝えるべきポイントがスムーズに受け入れられるようになり、変化へとつながっていくかもしれません。
いざというときのために、お子さんのいいところを探しておいて、意識して使えるように日頃から練習しておきましょう。
好きなアイドルのまねをする ~同一化~
同一化とは、関係の近い人や、好意を抱いている人・理想とする人の格好や振る舞い・特徴をまねることです。
その人(理想)に近づこうとすることで、自分の中の劣っている部分やコンプレックス(現実)とのバランスを取ろうとしているのです。
分かりやすいのは、自分を意識し始める思春期のころのケースです。
- ファッションモデルの服装やメイク・髪型・仕草をまねる
- 親や先生の口癖をまねる
- 憧れの先輩(人)と同じものを使う
大人でも子育て中でも同一化は起こります。
- 仕事のできる上司や先輩をまねる
- ママタレントのライフスタイルをまねる
- 影響力のあるママ友と同じことをしようとする
思い当たる経験はありませんか?
同一化が起こるのは自然なことですが、劣等感やコンプレックスが少ない人は、比較的同一化が少ないようです。
家庭内においても同じように同一化の現象は起きています。
例えば、
- 親が子どもに自分の(家族の)理想や価値観を植えつける
- 「あんな風にはなりたくない」と思っていた自分の親と同じような行動をしている
- 義理の家族の風習・習慣・料理などを一生懸命覚えようとする
などに心当たりはありませんか?
多くの家庭では、同一化によって、習慣や価値観が自然と受け継がれています。
しかし、暴力的な親から育った子どもが成長して親になったときに、やはり暴力的な親になる傾向が高いと言われていように、悪い影響も同一化してしまうことがあるのも事実です。
本人は「決してあんな親にはならない」と思いながらも、無意識に、暴力をふるう親と自分を同一化させてしまっているのです。
また、本人の意志を無視して価値観を押し付けるなど、同一化を強要することも、好ましくない結果になることがあります。
このように、同一化は良い風にも悪い風にもどちらにも起こり得ます。
「子育ては同一化が起こりやすい」と認識しておくだけでも、見方が変わってくると思います。
「同一化」に縛られず、「子どもの意志・個性」を見極められるようになると、子どもとの関係もラクになるかもしれません。
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