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皆さん、こんにちは。
今回のテーマである「大まかにものを見る力」とは、客観的に自分の置かれている状況を捉える力であり、これを精神分析用語では「観察自我」と言います。

大まかにものが見られるようになると、たとえ失敗したり、うまく行かなかったことがあったとしても、自分がやっていることに対して「まあ、だいたい上手くいっているからいいや!」と思えることができます。

要は、大まかにものを見る力が備わっていると、失敗をクヨクヨ考えて引きずることが少なくなり、何より「心の健康」を保てるようになるということです。

心の健康に必要な観察自我?

この発想は、社会生活を送れている人の多くが当然のように身に付けています。

誰しもそうですが、気分の良い時は大まかなアウトラインがよく読めて、あまり小さなことにこだわりませんね

でも、疲れていたり、物事が思うように行かなかったり、機嫌が悪かったりすると途端に細部に目が行ってしまい「あ~これができていない。あれもできていない」とイライラしたり、心配になったりします。

例えば、うつ病の人が、色々と些細な事やネガティブな事にとらわれてしまうことがありますが、こういった症状は、大まかにものを見れなくなっている状態なんですね。

難しく言えば、観察自我が働かなくなっている状態なのです。

観察自我を鍛える質問:

この「大まかにものを見る力=観察自我」は、子どもの年齢が幼い時からでも、親の働きかけ次第で鍛えることが出来ます

例えば、我が子が幼稚園や保育園、学校などで友だちに意地悪をされて、落ち込んで帰ってきたとしましょう。

その時、まず何があったのか詳しく出来事を聞いてあげてください(『いつ、どこで、誰に、どんなふうに、何を』)。

その際、子どもが一通り話し終えるまで「ふん、ふん」と待ってあげて下さい

次のステップでの質問が観察自我を鍛える質問になります。

それで、その時○○はどう思ったの?」と聞いてあげてください。

お子さんが質問に答えられなくても、質問を投げかけること自体に意味があります

もしお子さんが下を向いて悲しそうにしているようであれば、「今日は、なんだか落ち込んでいるみたいだけど、どうかしたの?」と子どもの様子から受けた印象をそのまま返してあげて下さい

嫌だった。腹が立った。悲しかった」などの返答が返ってきた時には、「そう感じたんだね」と一旦気持ちを受け止めてあげて下さい。

この時、すぐに解決策や提案をしないよう注意しておいて下さい。

このやり取りを繰り返していくことで、観察自我を鍛えることができます。

物事には何かしらの意味があって起こる

それから、良い出来事でも悪い出来事でも、我が子の身に何か起こった時は、物事には何かしらの意味があって起こるということを、是非伝えて欲しいと思います。

特に、悪いことが起きた時には、そこには何か良いこと、プラスなこと、学び取れるチャンスがあるはずだという視点を忘れないことも大切です。

これを心理学用語では、『リフレーム』と言いますが、子ども達には、そういった物事をみる手本(モデル)を示してあげる必要があります。

悪いことも起きれば良いことも起きる、悪いことがあるからこそ、良いことが起きた時の楽しみが増すと考えられる人は、バランスの良い観察自我を持っている人です。

色んな出来事に対して「自分はどう思っているのか?そこから何を学び取ろうとしているのか?」という視点を少しだけ意識してみて下さい。

自分が今どの様に感じ、どのような感情の中にあるのかを自分で感じ取る「観察自我」こそが、自分の感情をコントロールしていく上での基盤になり、心の健康と安定につながってくるのです。

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