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皆さん、こんにちは。
子どもを育てる上で、両親の心理状況が子どもにとって大きな影響力を持っていることは、皆さんご存知だと思います。
私はこれまで、たくさんの不安の強いお母さん達を見てきました。
世の中には、そういうお母さんが沢山いらっしゃいます。
そして、お母さんの強い不安の処理の仕方によっては、その子ども達もまた根拠のない自信を抱けずに、不安の強い大人へと成長して行き、いずれは親になるという世代間連鎖につながってしまう場合があるのです。
一般的に「不安」はマイナスの働きをするイメージが強いですが、処理の仕方によっては、ものすごい前向きなエネルギーになることもあります。
不安が強いことは、決して悪いことばかりではないのです。
今回はその仕組みを簡単にご紹介しながら、不安イメージのリフレイム(概念を変えること)を図りたいと思います。
プラス感情とマイナス感情?
私たちが持つ感情にはプラスの感情とマイナスの感情があります。
「プラスの感情」とは、喜び、楽しさ、嬉しさ、安心感、幸福、気持ちがいいなどのことです。
逆に「マイナスの感情」とは、怒り、不安、緊張、恐怖、さみしさ、悲しさ、苦しさ、つらさなどです。
プラスの感情は表現しやすく、いつも簡単に処理できているので溜まる事はあまりありませんね。
しかし、マイナスの感情は、表現しにくく、表現しても受け入れてもらえないことが多く、表現してはいけないと思われがちで、なかなか上手く処理ができず、溜まっていく一方という方も少なくありません。
男の子なんだから泣かないの!
「人前で泣いたら恥ずかしい!」「怒っちゃダメよ!」「ケンカしちゃダメ!」「さみしいなんて言わない!」「痛くてもガマンガマン!」「みんなそうでしょ!」など、子育ての現場でよく聞くフレーズではないでしょうか。
これは、そう思っているお母さんたちが多いという証拠です(個人的には、お母さんたちにそう思わせている社会自体が一番の問題だと思います)。
「良いこと(ほめられたこと、成功体験)」よりも「悪いこと(怒られたこと、失敗)」をよく覚えているのはプラス感情とマイナス感情の処理の度合いの違いだと思います。
感情が処理できていると、満足してすぐ忘れますが、感情が処理できていないと満足できないので、マイナス感情と結びつく記憶はなかなか忘れる事ができないのです。
マイナス感情はあまりにも溜まっていくと悪さをし始めるので、適切な処理が必要になりますが、このマイナス感情こそ、処理の仕方によってはものすごいエネルギーへと変貌を遂げて行くのです。
マイナス感情はなんのためにある?
マイナス感情は何のためにあるのでしょうか?
実はマイナス感情はあなたの身を守るボディガードのような存在なのです。
マイナス感情は、危険や危害を知らせてくれる「心のシグナル」として働いています。
だから、マイナス感情そのものを怖がったり、嫌がったり、無くそうする必要はないのです。ボディガードはいたほうが心強いですよね。
逆に、ボディガードが「危険!」と知らせているにも関わらず、無視したり、押し殺そうとすればするほど、ボディガードはさらに強い警告を送ってきます。
これが「不安や恐怖の増強」です。
緊張しないようにとすればするほど、緊張するのは、このためです。
マイナス感情はどこへ行く?
増強したマイナス感情は、周りの人や物といった「他者」への攻撃という形で外に出ようとします。
これが「感情の暴走」です。
そして、八つ当たり、暴力、暴言といった感情の暴走は比較的自分より弱い他者へと向かいます。
ここに、家族、特に子どもたちが被害者になる図式が成立します。
これを続けていくと、家族はどんどん疲弊していきます。いじめにも当てはまるシステムですね。
マイナス感情の適切な処理法
では、マイナス感情の適切な処理方法をご紹介します。
気付く
まず、マイナス感情に気付きましょう。
意外とマイナス感情に気付かずに「ただモヤモヤしている。なんとなくヤル気が出ない。意味も無くイライラする」という人も多いです。
自分の感じている感情の正体は怒り、不安、さみしさ、一体何なのか。また、それを感じているときの今までの対処のパターンも振り返ってみましょう。
言語化
そして、一番大事な方法が「言語化」です。
今の気持ちを言葉にして、自分の外に出すことです。
私たちのような専門家など、誰かに聞いてもらう事ができればベストですが、独り言でも大丈夫です。
言葉に出すことに意味があります。
言葉に出していくことで、感情が増幅したり、暴走することを防ぐことができます。
言い換えれば、感情の言語化ができる人は、感情を適切にコントロールすることができる人ということになります。
エネルギー化
また、マイナス感情の正体が分からなくても、様々なアクションに変えて、発散することもできます。(☚これを昇華といいます。)
スポーツや体を動かすことで汗をかいたり、好きなことに集中することで、体の中に溜まったマイナス感情をエネルギーに変えます。そうすると、いつの間にか不安やイライラが落ち着いてきます。
中高生の部活動が良い例ですね。
思春期の得体の知れないモヤモヤは体を動かしたり、何かに熱中することで発散しているのです。
マイナス感情はものすごいエネルギー!!
世界的に成功している社長やアーティストの中には、実は不安がとても強い人が多いのです。
ステージの前は不安すぎて何も出来ない世界的バイオリニストや、不安すぎてリハーサルなのにドームを貸し切る音楽会社の社長など。
彼らは自分の不安をエネルギーに変えて、普通の人がやらない事をやり遂げてきたのです。
不安だから動き、不安だから集中した訳ですね。
同様に、怒りもすごいエネルギーです。
日常生活の不便さへ対する怒りがエネルギーとなり、すごい発明をした過去の先人は何人もいます。
怒りから日頃できない事ができちゃったりした経験は誰でもありますよね。
何も世界を目指さなくても、好きなことを始めてみたり、今まで諦めてきたやりたい事をやってみたり、ウォーキングを始めてみたり、自分の出来る範囲で、お金をかけなくても無理なくエネルギー化することはいくらでも可能です。もしかしたら、その先に何かすごい結果が待っているかも知れません。
不安との付き合い方を工夫してみましょう
マイナス感情は実はエネルギーの塊なので、すごい結果を導き出す可能性があります。
だだ、向かう方向次第では、良くも悪くもなります。
家族がどんどん疲れていく方向へ進むこともできますが、お母さん自身がどんどん輝き出す方向へ進むこともできるのです。
不安が強いことを逆に利用して、どんどんエネルギー化して自分らしい道を見つけて欲しいと思います。
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