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皆さん、こんにちは。
子どもは家族の中に誕生し、家族関係の中で成長していきます。

残念ながら、家族の力が上手く機能しなかったり、歪んだ家族関係を形成してしまうと、子ども達の心と身体は、その事を敏感にキャッチして、身体症状や問題行動を通してSOS信号を発信してきます。

私は心の専門家として、こうしたSOS信号を読み解き、家族と子どもの成長をサポートするために、日々カウンセリング業務を行っています。

今回は、「家族の中の子ども」という視点から、「子どもになれない子」という事例をご紹介したいと思います(ご家族・ご本人の許可を得たうえ、個人が特定できないよう修正をしてあります)。

尚、不登校児を抱えるご家族の皆さんには、少なからず参考になる事例かもしれません。

☘ 子どもになれない子ども達?

小学2年生になったA子ちゃんは、5月に入り、GWの連休明けから全く登校できなくなったことをキッカケに、母親と一緒に当相談室にお越しになりました。

当初、母親の訴えは「娘の分離不安が強く、私から離れられない」ということでした。詳しく事情を聞いていくと、家族の状況が少しずつ分かってきました。

A子ちゃんの両親は、A子ちゃんが1歳の頃に離婚し、父親は家を出ていってしまいました。離婚後、居場所のなくなったA子ちゃんと母親は、実家へ戻ることになりました。

そもそもA子ちゃんの母親は、若い頃から心身共に弱くて、家事や育児も祖母の手を借りずにはいられなかったそうです。

ところが、頼りにしていた祖母が亡くなり、母親は子育てだけではなく、生きていくことにも大きな不安を抱えるようになりました

☘ 離れたくても離れられない!

母親は、「嫌がっているのに無理に学校に行かせることはない」とA子ちゃんの不登校を容認していて、一方、A子ちゃんは「お母さんの具合が悪くならないかいつも心配・・・」と訴え、来談当初は母子で分離不安を強めあっていました。

当面は、この「分離不安を伴う母子関係の調整」を目標としてカウンセリングを進めていきました。

A子ちゃんは、面接を重ねていくにつれ、徐々に母親からの分離を進めていきますが、一方で母親は、A子ちゃんが遅くまで友達と遊んでいたり、A子ちゃんなりに楽しい時間を持ち始めると、急に寂しくなり「子離れできない自分がいる」と、自分の方が子どもを必要としている事に気が付き始めます

その頃から、母親は、A子ちゃんの気持ちを出来る限り理解し、甘えを受け入れようと努力をされますが「自分は親にスキンシップなどしてもらったことがない。A子はどうしてこんなに親を求めてくるのか?」と心の内を吐露されるようになりました。

また、自分自身の身体の調子が悪いと、A子ちゃんに対して「どうしてもっと優しくしてくれないの?私の辛さが分からないの!」と腹を立てるという話も度々出てくるようになりました。

実は、母親自身も親から十分に愛情(関心)を貰っていないという想いを抱いていました。

親として、自分が与えられていないものをどのようにして、我が子に与えればいいのか、戸惑いが大きかったと思われます。

このケースの場合、本来親に求めるべきものを、我が子に強く求めてしまっていたのです。

☘ 共依存関係のルーツ!?

余談になりますが、子ども時代に子どもとして受けるべきケアを受けず、早々と大人の役割を担い、母親(もしくは父親)を必死に助けてきた子どもが大人になり、配偶者を持つとします。

その時にどんな相手を選ぶのかというと、母親と同じように自分が相手の世話を焼ける人間関係に安心感を抱くようになります。

つまり、人から必要とされる状態にいる方が落ち着くというわけです。

逆に、自分が甘えなくてはいけない状態に陥ると、どうしたらいいのか分からず不安になってしまい、強がってしまうことも少なくありません。

要は、自分を必要とするような何かしらの問題を抱える相手を無意識に選んでしまう可能性が高いということでもあるのです。

☘ 子ども達が背負っている家族の問題

話は戻りますが、A子ちゃんは、親になり切れない母親の元で、子どもとして生きることが難しかったんだと思われます。

そして、その息切れ状態として、不登校というSOS信号を発信していたというわけです。

子ども達の発するSOS信号を読み取ろうとカウンセリングをしていると、子ども達が背負っている家族の問題が浮かび上がってきます

親の世代だけではなく、祖父母の世代から続く問題が子どもに影響していることも少なくありません。

家族の過去を背負いつつ子ども達は、今の家族の状況を生きています。

また、家族関係が崩壊しているため、施設等に保護され、懸命に今を生きている子ども達もいます。

こういった子ども達にとっての過去の家族は、思い出すことも出来ない程、過酷な状況のこともあります。

子ども達が過去の重荷を乗り越えて、未来の家族へとつながるための心理サポートを今後も続けていきたいと願っています。

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