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皆さん、こんにちは。
SNSの普及で、思春期の人間関係をめぐる状況は劇的に変化しました。

いつでも、どこでも個人端末で連絡が取り合えるという状況自体が、今までにはなかったことです。

また、動画投稿している中・高校生も多く、色んなアプリを使って自分の感覚を映像で表現する技術は格段に進化しています。

瞬間を切り取る快感は、思春期心性にピッタリとハマっているのでしょう。そのうえ、その楽しさを瞬時に共有できるわけですから、夢中になる気持ちはよく分かります。

その一方で、仲間内での悪ノリをネットに上げたため公的な処分を受けることになり、生涯「デジタルタトゥー」として消えずに刻まれてしまうこともあります。

思春期は、先の事を考えて今の自分の言動を律することができにくい時期でもあります。

だから、ネット端末が常に手元にあって、思いついたらすぐに発信出来てしまう状況は、思春期とは相性があまり良くないのかもしれません。

☘ 人間関係の保険?生命維持装置?

常に誰かと繋がれている事は、思春期の子ども達にとってとても魅力的なことだと思います。しかしその反面、それはしんどい事でもあります。

なぜなら、繋がれるのに誰ともつながっていない時、つまり自分の発信に誰も答えてくれない時など、世界から切り離されてしまったような孤立感と恐怖感に襲われることがあるからです。

そんな恐怖を避ける為に「人間関係の保険」をかけている子も少なくありません。

この人がダメなら次の人、それでもダメならこのグループと、誰かとは必ず繋がれるように前もって保険をかけておくのです。

保険っていうか、それって生命維持装置みたいなものだから」と表現した子もいました。

SNSのこのような使い方は、言葉にできない複雑な感情や感覚を自分の中で抱えるのではなく、なるたけそれを感じなくて済むように薄めて広げてごまかしている状態とも言えます。

もちろん、SNSで心の苦しさをギリギリのところで救われている人もいますので、それが悪いというわけではありません

ただ、「今」の不安を今すぐ誰かに収めて欲しい、自分の存在を、「今」認めて安心させて欲しいという即効性をSNSに求める時、それはせっかくの心のキャパを広げるチャンスを逃しているのかもしれません。

☘ 子ども達の本音?

一見、楽しそうに学校生活を送っているように見えるのに「人が信じられない」「つるんでいる人はいるけど親友はいない」と暗い顔をする子ども達と出会うことがよくあります。

話を聞いてみると、会って話をしているその瞬間は、とっても楽し気に盛り上がっていたのに、次の瞬間に「なえる~」とか「落ちる~」などとつぶやかれたりすることがあると言います。

そうすると、自分と一緒にいる時にそんなことをTweetするということは、「本当はつまらなかったんじゃないか?自分が言ったことで何か落ち込むようなことがあったのかもしれない?」などと気になって仕方がなくなるわけです。

そん中、「どうしてそんなTweetしたの?」などと面と向かって相手に聞く勇気がある人は滅多にいません(そんなことをしたら、逆にしらけてしまいます)。

聞いたとしてもスッキリした答など返ってこないことも分かっているので、ただただ不信感だけが残ることになります。

そもそも私達は、人と会っている時の心の動きは、一つの感情だけを抱えているものではなく、色々に揺れ動く瞬間はあるものです。

実際に、会っている時に「あっ、なんか今、ちょっとつまんないなぁ」というようなことはよくあるものです。しかし、今の若者たちは、自分の心によぎった一瞬のネガティブを自分で抱えることができず、すぐに外に出している訳です。

☘ 本当の闇?

実際に会って話すよりも、SNSでの交流の分量が多くなると、会った時に得られる安心感よりも、その後のSNSでのすれ違いの方が気になり続けてしまう子もいます。

そもそも、会っている時の感覚を、会っていない時にも心の中で想うことができるところから、信頼感は生まれてきます

相手の存在を心の中に住まわせるというプロセスは、交流していない時間に育まれるものです。

そのような人間関係の余白時間に、「待つことができる力」や「ひとりでいられる力」は身についてきます。

ところがSNSがあると、いつでもどこでも人間関係を求めることができてしまうので、速攻での反応があるのかないのかということで、信頼できるかどうかという程度をはかってしまいがちです。

そして、いつでも繋がれるのが当たり前という関係は、つながりたい時につながれないと、すぐに「自分のことなんてどうでもいいと思っているんだ」という不信感を生んでしまいます

心を育むためには、誰とも交流しない一人だけの時間がどうしても必要になってくるのです。

もちろん、今の若者達にとって、急に一人の時間を過ごすということは、とてつもない不安や恐怖に襲われることにもなります。

そういった時は、信頼できる第三者、もしくは心の専門家と共に、1秒でも1分でも、一人だけの時間を持てるよう、じっくりと話し合うことも大切になってくるのです。

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