皆さん、こんにちは。
今回は、子どもたちがリストカット(略して“リスカ”とも呼ばれています)をする心理について解説したいと思います。
リストカットは、手首を自分で切るという行為で、自分で自分を傷つける、自傷行為の一つです。
手首だけでは足りなくなってしまい、腕や足などを切っている子もいます。
「友達がやっているから」と、はっきりとした理由も分からず、軽い気持ちでやっている子も少なくありません。
リストカットをするのは「自殺したい」とか「周囲の気を引きたい」からではなくて「モヤモヤする気持ちを何とかしたい」、「切るとスッキリする」などの理由が多いようです。
「死にたくてやっている」というよりも、むしろ「生きたくてやっている」のですね。
リストカットは何かしらのストレス解消の役割を果たしていて、リストカットをする子たちは、わざわざ自分で身体を傷つけなければならないほどのストレスを抱えているとも言えます。
リストカットを見つけたときに親がやってはいけない対応
行動を非難する
「そんなことしちゃダメでしょ!」
「なんでそんなことするの!」
「体を傷つけるなんて、良くない」
「今すぐ止めなさい!」
「もう二度としちゃダメ」
リストカットを見つけて焦る気持ちも心配する気持ちも分かりますが、リストカットという行動自体を何とかしようと、子どもを叱り、責めたてても自傷行為を止める効果はなさそうです。
そもそも、子ども達は「やってはいけないこと」くらいちゃんと分かっているのですから、必要がなければやりません。
放置する
「そっとしておいた方がいいのかも」
「いつものことだから、ほっとこう」
「自分で付けた傷だから、自分で処置しなさい」
分かっているけど、気付かないフリ
中には、リストカットを見つけても、「よく分からないから、そっとしておこう」とか、「自分のことでしょ!」「いつものことでしょ!」と切り離し、ほったらかしにする親御さんもいます。
例え、何度繰り返していても、放置しておくことが一番良くないようです。
「自分に興味がないんだ」「私はいつもひとりぼっち」という気持ちになり、子供たちが持っているつらく、さみしい気持ちを更に大きくさせる結果になりかねません。
リストカットは心の傷
リストカットは目には見えない心の傷を可視化(目に見えるように)したものではないかと思っています。
リストカットの背景にある本当の気持ちに焦点を当てることが必要になってきます。
手首をきらずにはいられないほど「誰にも言えなかった気持ち」「ずっとガマンしてきた気持ち」や「押し殺してきた気持ち」、彼女たちが本当に伝えたかった気持ちがあるのではないでしょうか。
それらの気持ちの適切な処理の方法が分からず、リストカットという手段を選んでいるのかもしれません。
私には、子ども達はリストカットを通して、親(カウンセラー)がどうやって傷を処置するのかを見ているようにも思えます。
目に見えるように体に傷をつくり、その傷を処置してもらうことで、目には見えない心の傷も処置してもらいたいと願っているのではないでしょうか。
摂食障害同様、リストカットも本当の問題は根っこが深く、症状の改善には時間がかかります。
放置しておくと、長期化、深刻化してしまい、激しい場合は入院を繰り返すケースも少なくありません。
本人も、なぜリストカットをしなければならないのか、よく分かりません。
「止めたくても止められない」という苦しさを抱えながら、必死に頑張っているのです。
親でも先生でも、友達でも、誰かがリストカットに気がついて、手を差し伸べてあげることが治療の第一歩になります。
もし、あなたがリストカットを止められないのなら、勇気を出して誰かにSOSを出してください。
もちろん、当相談室でもかまいません。
あなたの苦しさを理解してくれる人が必ずいます。
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