皆さん、こんにちは。「人が怖い・・・」「相手が自分のことをどう思っているのか気になる・・・」という訴えは、対人恐怖を抱える人たちの特徴です。
最近では、小学生くらいからすでに現れてくるケースも少なくありません。
もちろん、表だって「人が怖い」とは言いませんが、内心では人に対する恐怖心を抱いている子も多いようです。
この「人が怖い・・・」という感覚が強くなると、周囲と関わることから身を引き、引きこもってしまう子もいれば、人から攻撃される前に、自分から先制攻撃をしかけてしまう子もいます。
人が怖いので、自分を守るために、何かしらの策を取ろうと努力するわけですね。
今回は、「対人恐怖」にスポットを当てて、そのメカニズムを解説していきたいと思います。
対人恐怖の特徴:
「人見知り」という言葉がありますが、これは初対面の人が苦手ということで使われますね。でも、対人恐怖の人は、意外に初対面は平気だったりします。
一番苦手なのは、「半知り」と言って、名前と顔くらいは知っているけど、あんまり親しくない人です。
対人恐怖の人は、こういうあいまいで微妙な関係が一番苦手なんですね。
なぜかというと、半知りの関係というのは、向こうは自分のことをしっている、だけど自分のことをどう思っているかはよくわからない。このあいまいさが苦手なんですね。
この「自分のことをどう思っているんだろう?」という部分が、不安のもとになってしまうんです。だから、他人と知り合うところまでは何とかできても、次に会うときがもう怖くなってしまうんですね。
最初の印象が良くても、次に会ったときに「その印象を裏切ってしまうかもしれない・・」それがすごく怖いんです。
このように2度目が怖いっていうのも、対人恐怖の人に共通する悩みです。
対人恐怖のルーツ:
精神分析では、対人恐怖の源は、抑圧された「怒り」と言われています。
これはどういうことかというと、対人恐怖で苦しむ人は、心の中に誰かに対する「激しい怒り」を持っていて、それを自分で分からないうちに無意識の領域へと押し込んでいきます(これを抑圧と言います)。
どうして押し込んでしまうかというと、怒りに対して罪悪感と恐怖があるためです。心の中に怒りがあるのに、その怒りをなまなまと感じることが怖くて抑圧せずにはいられないのです。
怒りに罪悪感?
怒りに罪悪感?と言われてもピンとこないかもしれませんが、例えば、子どもが怒った時、親がより強力に怒って、子どもの怒りを抑えつけてしまった場合や、不満を常に訴えている親の聞き役を担ってきた子どもの場合や体調不良により入退院を繰り返している親の場合などでは、「自分が怒ると親が不機嫌になる。自分が怒ると親が壊れてしまう」という罪悪感とつながり、怒りを感じないようにしていきます。
そのため、「こころの中に何か訳の分からない怖いものがある」と感じるようになります。怒りだということを認識できていないのがミソです。
すると「周囲の人たちが僕・私のことを悪く思っているんだ。だからこんなに怖いんだ」と自分の中の怒りを周囲に転換していきます(これを投影と言います)。
これこそが対人恐怖のメカニズムなんですね。
対人恐怖に苦しむ人は、とても無口でおとなしかったり、理性的で感情を表さなかったり、とても謙虚で腰が低かったりなど、一見すると怒りとは無関係な人である印象を与えます。
そして、当の本人も、自分のことを「怒らない性格だ」と信じていることもよくあります。
これは、彼らにとって「怒り」があまりに怖いために抑圧されて、意識的な人格の部分から切り離されているからなんですね。
抑圧されてしまった怒りは、どうなるかというと、様々な不都合をもたらします。
病気がちになったり、訳の分からないイライラになったり、漠然とした罪悪感にさいなまれたり、自分のことが好きになれない、などの悩みになったり、抑え込まれた怒りがときに爆発して人間関係を壊したりします。
この抑圧された怒りがもたらす苦しみの最たるものの一つが、対人恐怖ということなのです。
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