皆さん、こんにちは。
コロナウイルスの影響で私たちの生活様式に大きな変化が起きてから、半年が過ぎました。
少しずつウィズコロナの生活に慣れてきた、という人も多いと思いますが、中には新しい生活様式や日々の制限・ルールに馴染めず、苦しい思いをずっと持ち続けている人もいます。
ニュースを見ていると、コロナ以降、自ら命を絶つ人も増えているように感じます。
本当に残念でなりません。
増えている子どもの自傷行為
子ども達を見ていてもその影響は明らかで、今までできていたことができなくなったり、目標やゴールが阻害されてヤル気やモチベーションが下がっていたり、人と会うことや外に出ることが怖くなったりと様々な形で表れ始めてきました。
中でも、学生を中心に今増えてきているのが様々な自傷行為です。
自傷行為の中で、子ども達によく見られるのが、
- リストカット
- 摂食障害(過食・拒食・過食嘔吐)
- 抜毛症などです。
中には複数の行為を同時にやっているケースもあります。
自傷行為とは?
自傷行為とは、自分で自分を傷つける行為のことです。
親御さんからしてみれば、なんでそんなことをするの?と不安や心配の気持ちから、つい「止めなさい」と叱ったり、「そんなことすると…」と言って聞かせたくなりますが、自傷行為の根っ子は実はとても深いところにあるのです。
そもそも子ども達は、言語能力がまだ成長過程なので、自分の気持ちや感情を上手く表現することができません。
幼いころから、困ったときや苦しいときは、誰かが代わりに言葉にしてくれたり、気持ちを外に出すよう促してくれることで少しずつ感情の処理法を学習していきます。
しかし、近くにそんな存在がいなかったり、近しい人から「弱音を吐くな」とか「お前が悪い」「自分で何とかしろ」と言われ続けたり、我慢している人ばかりを見て育つと感情の処理法が分からず、自らの体を使ってその苦しさを外に出そうとし始めます。
そのうちの一つが自傷行為です。
親御さんの中には、最初こそ驚いて「どうしよう。何とかしなきゃ。」と思っていても、何度も見るうちに慣れてきてしまい、「難しい年ごろだから」とか「そのうち止めるだろう」と放置しているケースも少なくありません。
しかし、これらの自傷行為を放置しておくというのは、本当に怖いことなのです。
早いうちに対処しておかなければ、大変なことになりかねません。
勝手に起きる症状と分かってやっている症状 ~円形脱毛症と抜毛症~
体に現れる症状の中には、自分でも原因が分からず起きる症状と、自分で原因が分かって必要性を感じている症状があります。
この二者の違いを髪に関する問題で説明すると、円形脱毛症と抜毛症の二つです。
これらの症状はどちらもストレスが関わっていて一見すると似ているようですが、実は問題の性質が大きく違います。
円形脱毛症というのは、10円玉くらいの範囲の髪が勝手に抜けてしまう症状で、これは自分では原因が分からずに起きるので、原因を一緒に探し、それに対処することで症状が落ち着くことが多いです。
しかし、自分で髪を抜いてしまう抜毛症というのは、大抵の場合必要性を感じてやっていることで、自分で自分を傷つける自傷行為に分類されます。
原因がちゃんと分かってやっていることが多く、心の根っ子には深く傷ついた記憶や「自分が悪い」という罪悪感を抱えていることが多いので、丁寧な心のケアが必要になってきます。
自傷行為の行きつく先
自傷行為を「たかが髪を抜くくらい」「たかがリストカット」とそのまま放置しておくと、成長して、いわゆる「パーソナリティ障がい」に結びつく可能性があります。
言い換えれば、自傷行為はパーソナリティ障がいの「予備軍」とも言えます。
予備軍の段階ならまだいくらでも手の打ちようがあります。
ですから、今のうちに、自傷行為に気が付いたうちに、なるべく早めに手を打つ必要があるのです。
自傷行為自体が、今まで培ってきた人格では対応しきれなくなっている証拠でもあると思いますが、それを修正せずにそのままにしておくと、成長過程で更なる歪みを形成していきます。
人格に歪みがあると、感情や衝動が適切にコントロールできなかったり、自分や相手のことを正当に評価できなくなるため、安定した良好な人間関係を築くことができなくなり、家族や周囲を巻き込みトラブルを頻発させたり、社会的に好ましくない行動を取ったりします。
しかも、本人も自分ことが正当に評価できないため、他人の目に映る自分を受け入れることができません。
結果的に、本人も家族や周囲もとても苦しい思いをすることになります。
長い間、青年期・成人期の問題に取り組んできましたが、ここに至る前に何とか手を打ちたいという想いから、おやこ心理相談室を立ち上げ、今、実際に増えている子ども達の自傷行為を直面し、警鐘を鳴らしたい想いです。
現在子育て中という方は、是非危機感を持って、日々の子どもの様子を見たり、声を掛けたりして下さい。
そして、SOSのサインを見つけたり、対応に困った時には、迷わず専門家を頼って下さい。
長年培ってきた経験から、私たちには子ども達の色んな将来の景色が見えます。
どんな状況でも色んな人に助けられ笑顔で自分らしく生きている景色から、誰にも心を開かず周囲を恨みながら孤独に生きている景色まで。
その中でそれぞれのご家庭に合った最良の景色を選び、少しでもそこに近づけてゆくことが私たちの仕事です。
これからも、子ども達とそのご家族の苦しさ・辛さを一緒に考えてゆきたいと思います。
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