皆さん、こんにちは。
いつもおやこ心理相談室をご利用いただき、ありがとうございます。
1月29日に、厚生労働省が警察庁の自殺統計を基にまとめた2025年度の自殺者数(暫定値)を公表しました。
全体の自殺者数は、1万9097人(同1,223人減)で、統計以来初めて2万人を下回り、過去最少だったそうです。
一方で、小中高生の自殺者数は532人(前年比3人増)で、昨年を上回り、過去最多となりました。
児童生徒の内訳は、高校生が352人(前年確定値より1人増)、中学生が170人(同7人増)、小学生が10人(同5人減)。
性別でみると、男性が255人(同16人増)、女性が277人(同13人減)で、去年に引き続き女子が男子を上回っています。
小中高生の自殺者数は、コロナ禍に入った2020年から増え始め、以降も高止まりが続いています。
特に女性の中高生で増加傾向が目立ち、2019年の確定値と2025年の暫定値を比べると、中学生で2.0倍、高校生で2.2倍になっています。
毎年この統計が発表されるたびに、心が痛くなります。
同時に、子どもの心理に携わる者として、まだまだ力不足であるという現実を突きつけられ、身が引き締まる思いです。
☘ 自殺に至る心理的背景
おやこ心理相談室は、近年、子どもたちが自殺に至る心理的背景には、二つの大きな事情があると考えています。
① 家族関係の希薄化
そもそも、子どもたちは親に見放されると生きてはいけないので、見放されないように親の言うことを守り、必死に頑張ります。
しかし、高校生くらいになって(早い子は小学生のうちから)、どんなに頑張っても親に自分のありのままを受け入れてもらえないことに気づくと、孤独感・無力感、将来に対する絶望感が子どもたちを支配していきます。
「勉強しなさい!」「医者になりなさい!」などと自分の理想を押し付けてくる親は、子どもにとって面倒ではありますが、関心があるという点では良い方で、一番子どもを追い詰めるのは、我が子に無関心な親です。
親が子どもに無関心であるという時点で、この家族は立派な機能不全家族です。
そして、子どもに無関心であることは、それだけで立派なネグレクトと呼ばれる児童虐待です。
そして、親が無関心なゆえに、子どもの問題を対処しようとも思わず放置されてしまい、気が付いたころにはすでに手遅れ…という場合も少なくありません。
無関心な親だけでなく、行き過ぎた過保護や、いわゆる毒親、親自身が幼くて人格に問題がある、夫婦の不仲、要介護の親、貧困など、様々な原因で家族が家族として機能せず、家族関係が希薄になっているケースが増えています。
このようなケースでは、親も問題を抱えていて余裕がなく、子どもが子どもとして安心して成長できず、しわ寄せを受けて無理を強いられていることが多いです。
そんな状況を誰にも相談できずに、「消えてしまいたい」と一人で苦しんでいる子ども達がたくさんいることが最近の統計から読み取れます。
② 偽りのつながり、SNSの普及
SNSが普及し、コミュニケーションが便利になっている一方で、子ども達とその人間関係へ及ぼす影響は計り知れないと思います。
最近では、SNSを通じていじめや嫌がらせなどの動画が拡散されて問題となっていたり、現代の子どもの問題を分析する際は、必ずと言っていいほどSNSが関わっているように思えます。
SNSでは、いくらでも自分をごまかしたり、取り繕ったり、アカウントを消すことで関係を安易にリセットすることができます。
そういう安易な関係に慣れてくると、人を攻撃したり、誹謗中傷することに抵抗がなくなって行きます。
同時に、リアルな人間関係が煩わしく思えてきて、本音で人と関わることが少なくなってきても不思議ではありません。
そのうち、人間関係自体がよくわからなくなってきて、(むしろ自分自身がよくわからなくなっているのかもしれません)人とのリアルな関係がどんどん希薄になっていきます。
リアルな人間関係が希薄になると、余計SNSの価値が増していき、SNSだけに依存するという悪循環に陥ります。
命綱とも言えるSNSの関係だけに依存していると、SNSでハブられる(無視されたり、仲間外れにされる)ことや、バッシングや誹謗中傷を受けることは、強い孤独と絶望感を与えるに十分でしょう。
もちろん、そんなことをするのは加害者側の問題ですが、何の落ち度がなくても突然被害者になることを避けるのは難しいでしょうし、SNSの拡散のスピードや過熱しやすい傾向を止めることも簡単ではありません。
学校には問題なく通っていた子が突然…というケースでも、実は本音で話せる友達はおらず、孤独からくる希死念慮を日常的に抱いていて、ある日突然何かのきっかけで一線を越えてしまったということも想像できます。
SNSを通じて人間関係を構築する機会が増えている一方で、実際の人間関係スキルが弱くなっていることは間違いないと思います。(大人も同様ですね)
SNSとの付き合い方は、その危険性を理解したうえで、子ども達が(大人も)どう向き合っていくべきか、全員で一度しっかりと考える必要があると思います。
☘ 子どもたちを守るための「つながり」を
親に関心を持ってもらえない・どうでもいいと思われる、ありのままを受け入れてもらえないことは、子ども達にとっては絶望にも等しい孤独です。
そこに、命綱にも等しいSNSにおいて、誰かに否定されたことによる強い孤独が加わったとしたら…
その耐えられない孤独から逃げるために自ら死を選んだり、親に代わる依存対象物を求めて、やすやすと犯罪へと駆り立てられていきます。
人間の子どもはある意味で、とても儚く脆く、誰かの関心・愛情がないと簡単に死んでしまうのです。
でも逆に言えば、誰かの関心や愛情があるだけで、生きていくことができるくらいの「強さ」もきちんと持ち合わせているのです。
統計には表れませんが、誰かのほんの少しの関心が日々どこかで子ども達を救っていることも事実だと思います。
人間関係が希薄になっていることが取り沙汰される現代で、人の心をいやすことができるのもまた「人とのつながり」なのではないでしょうか。
大変複雑な問題ではありますが、子どもたちの命を守るうえで、子どもたちの孤独を理解していくことが急務です。
はやりここでも、「人とのつながり」が大切になってくるのだと思います。
皆さんも、自分のお子さんや近所のお子さんとの「つながり」を、是非意識してみてください。
よろしくお願いいたします。





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