みなさんは「アスペルガー症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。最近では、ときどき新聞やテレビでも目や耳にする言葉になってきています。
アスペルガー症候群は、簡単に言うと自閉症(後の記事で詳しく説明します)の兄弟分にあたる障害で、自閉症グループの一つなんです。
アスペルガー症候群の主な特性は、3つに分類することができます。
以下にその特性を挙げておきますので、参考にしてください。
アスペルガー症候群の3大特性
- 対人関係の障害
- 集団に入りたがらない。運動会や音楽発表会など苦手な子が多いです。
- 目と目が合いにくい。幼児期の頃から表れる症状の一つです。
- コミュニケーションの障害
- 一方的に話して会話のキャッチボールが苦手。
相手の話を聞かず、言いたいことを一方的にしゃべってしまいます。 - 例え話やジョークが理解できない。
例えば、時間があるかを聞くために、「今、大丈夫ですか?」と問いかけた場合、状況をくみとれず、「はい、健康です」と答えてしまうこともあります。
また、学校などで先生がプリントを配布して、「まずはよく目を通しておいてください」と伝えられると、その文字通りに受け取ってしまうので、必死にプリントを顔や目に近づけていることもあります。あえて言葉には出さない部分のニュアンスがわからないんですね。 - 相手の考えていることが読み取りにくい。
人の表情や口調、ジェスチャーなど言葉以外の表現を理解することが苦手。
また、相手の気持ちや状況を考慮せず、感じたまま「本当のこと」を言ってしまうので、「先生、なんでそんなに太ってるの?」「白髪があるよ!」などと無神経と思われるような言葉を平気で発してしまうのでトラブルになってしまうこともあります。
- 一方的に話して会話のキャッチボールが苦手。
- こだわりの強さ
- 手順にこだわり予想外のことが起こると混乱する
- 新しいことや場所が苦手
- 同じ遊びを何度も繰り返す
- 好きなことに没頭する
自閉症とアスペルガー症候群の違い
じゃ~自閉症と何が違うの?っていう話になると思いますが、決定的な違いは、アスペルガー症候群を抱える子どもには、言葉の発達の遅れが目立たないんです。
自閉症の子どもの約70%は、知的な遅れを伴いますが、アスペルガー症候群の子の大部分は知的障害を伴いません(簡単に言えば、学習能力に大きな遅れがないということです)。
知能検査(これはIQなどを計れる心理検査です)でも大きな知的の遅れは見られません。ですから幼児期の検診なんかでは発達の遅れを指摘されないのが普通なんです。
でも、小学校に入ると、どういうわけか集団生活が苦手だったり、友だちができないなど気になる点が目立ち始めてくることも少なくありません。
また、言葉が流ちょうで知能が高く、もの知りだったり、記憶力にも長けているので、一見、障害では分かりにくいために、「気が利かない。人に気を遣えない!わがままだ!」などと勘違いされてしまうこともあるんですね。
ですから、周囲が彼らの特性を理解してあげることが大切なんです。
対応上のポイント
- 頭ごなしに叱らない。ほとんどの場合、なぜ叱られているのか、理解していません。
- あいまいな表現は避け、できるだけ明確な表現、短い言葉で具体的に伝える。指示は一つずつ伝える。
- 話して伝わらなければ、絵や文字にするなど視覚で伝える。
- あらかじめ終わりの時間を伝えておくなど、先の見通しを持たせてあげると安心する。
- パニック時には、一時的にタイムアウトできる場所を用意してあげる。
特性を受け入れてあげることが大切
ここで大切なことは、アスペルガー症候群は、先天性の発達障害ですので、親の育て方とは全く関係がありません。
わがままで人づきあいをしないわけでも、学校をさぼっているわけでもありません。
学校生活などの集団という環境の中では、アスペルガー症候群の特性を持つ子ども達は、個性が強い分、浮いてしまったり、時にはいじめの対象になってしまうこともありますが、彼らの個性や特性は、周囲の理解に支えられることで、将来強みになることもあるのです。
特に、彼らのこだわりや好きなことに対する集中力は素晴らしいものがあります。
実際、あるIT企業では、アスペルガー症候群の方たちだけを社員に採用し、その特性をうまく生かし、かなりの業績を上げている会社もあるくらいです。
彼らの特性をきちんと周囲が理解し、個性を伸ばしてあげるような関わりこそが、彼らと接していく上で求められてくるのではないでしょうか。
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