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画像皆さん、こんにちは。

年齢にかかわらず、心に大きな問題を抱えて苦しんでいる方達の多くは、過去の出来事を鮮明に覚えていて、中には、感情もその当時のままに沸き起こってくるという方もいます。

誰しもある程度の記憶なら断片的に持っていますが、こういった方たちは、どんなに昔のことでも、誰かに言われた言葉・そのフレーズや、されたこと・その行動をすべて事細かに覚えていて、その時に自分が『どう感じたか』までを、まるで今それを体験しているかのように覚えているのです。

トラウマ体験にも通ずるものがありますが、「過去の出来事」が過去として処理されていないということですね。

画像そしてほとんどの場合、その過去の出来事というのは「自分と親との関係の問題」なのです。

心の問題を抱えている方のほとんどは、「親子関係」の中で傷ついた過去を持っています。

暴力・暴言・虐待や過度の期待やプレッシャーなどの直接的に親から受けた出来事から、両親の不仲・ケンカ・離婚や事故や病気などの間接的な出来事まで。

親が意図していたかどうかは別にしても、自分と親との関係にこそ問題の大きな根っこが隠れているのです。

親子関係の中で身につけた「偏り」

画像行動面や対人関係の問題にしても、実は歪んだ親子関係のなかで身につけた偏りが原因であるということが多くみられます。

本来、安心を覚えるはずの家庭で、不安や心配・恐怖にさらされたとき、子どもの心は必死にこの家庭の中で生き抜いていくための方法を探します

その結果身につけた偏りは、いわば自分を守るための防衛といっても過言ではないでしょう。

ただし、その子どもが間違っていたわけでも、悪かったわけでもありません

むしろ、必死に生きてきた証拠で、当然の結果とも言えます。

画像しかし皮肉にも、成長したら今度は、この強すぎる防衛が新しい人間関係を築く上で、厄介な存在になってしまうのです。

大人になっても本人の力でこの「偏り」に気付くことは難しく、どんなに苦しい思いをしても「これが普通だ。自然な感覚だ」「自分は間違っていない」と思い込んで、なかなか偏りを変えようとは思わないようです。

その偏った考え方を持ち続けたまま、今度は自分が親になり同じような子育てをするという連鎖を生むことも多いようで、そうなると自分の子どもも巻き込んでしまい、さらに大きな問題を抱えることになりかねません。

おやこ関係を語り尽くす ~自分物語の始まり~

画像これらの問題の心理ケアでは、認知や行動の修正・環境調整と共に、もう一つ重要なポイントとなるのが、過去と現在をつなぎ直し、人生を再統合するという作業です。

過去と現在をつなぎ直すために、まずは、親子関係に焦点を置きながら、過去の体験を十分に語ることが必要になってきます。

それこそ「何年何月何日、何時何分に何を言われた。何をされた」くらいに具体的に語ることができる人もいます。

過去の親子関係にまで遡って自分を再点検することで、バラバラになっていた体験が少しずつつなぎ合わさり、今までは親が中心だった人生から、今度は「自分の物語」が出来上がっていきます

多くの場合、最初は苦労の連続で、救いのない苦難の物語で、傷つけられたことばかりが思い出されます。

しかし、そうしたマイナスの体験を時間をかけて何度も何度も語り、表現しつくすと、次のステップが待っています。

画像それは、つらかった体験の中にも実はプラスの体験があったということに気が付くことです。

そのプラスの気付きを少しずつ語れるようになってくると、ただ否定されていた過去が、現在につながる意味のある歴史として受け入れられるようになります。

そして、「あのつらかった体験のおかげで今がある」と自分の人生に統合されていくのです。

そうした展開の中で、自分の人生に新たな意味を見つけ出していくことが出来るようになっていきます。

家族内でのケアの限界

画像しかし、ここまで来るには相当な時間と労力がかかります。

このような問題のケアは十分可能ではありますが、大人になればなるほど、確実に難しくなっていきます

しかも、親子関係の中で受けた傷跡が原因の場合が多く、親と疎遠になったり、親との関係が悪化することも少なくありません。

そんな状態では、家族内でこの問題をなんとかしようとするのは非常に難しいでしょう。

画像また、自分の親子関係を語るためには、それなりに信頼できる相談相手が必要になります。

近しい友達でも「こんなこと相談していいのか?」「こんなこと言ったら嫌われるかも」などと、なかなか言い出しにくいのが現状ではないでしょうか。

当相談室においても、ご相談に来られる方の中には、自分と親との関係の話を切り出せるようになるまでには、時間がかかる方もいます。

画像相談相手との間に「この人なら受け入れてくれる。受け止めてくれる」という絶対的安心感を確立する必要があるのです。

信頼関係が築けて初めて触れられるというナイーブなエリアなのです。

親子関係の傷跡は、その人の人生に深く刻まれていて、その後の人生に影響を及ぼすことがあるということを是非知っておいていただきたいと思います。

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