116+

皆さん、こんにちは。
私は日々の心理臨床の中で、「自信という感覚はどうしたら身につくのだろうか?」と常に考えています。

当然なことですが、人生が幸せいっぱいで、毎日楽しくてしょうがなく、自信満々な方は、私の相談室には訪れません。

逆に自信がなく、生きていることが苦しくて、辛くて、先が見えなくなってしまっている方たちが訪れるわけです。

では、どうして自信がなくなり、生きることが辛くなってしまうのでしょうか。

今回は、自信のなさの原型について解説していきたいと思います。

親から言われ続けた言葉は無意識に埋め込まれる = 内面化

人間の脳は、人から言われ続けた言葉をそのまま受け入れ、それをそっくり無意識の中に埋め込んでしまう性質があります。

これをちょっと難しい言葉でいうと「内面化」といい、ポジティブな言葉もネガティブな言葉も同じように無意識の中に収納されます。

すると次に、人(親)から言われた「お前は○○だ!」という言葉が、自分の内部で「私は○○だ!」という自分の言葉に変換されてしまうのです。

これは子どもにおいては特に顕著で、親のけなしやののしりの言葉は心の奥に埋め込まれ、いつの間にかそれが自分の言葉となって、低い自己評価人間としての自信のなさのもとを形作ってしまうのです。

例えば、事あることにお母さんに「あなたはなんてバカなの!いつもいつもバカなことをして!この役立たず!」と言われたり、お父さんにいつも「お前は本当に何もできないヤツだな!」などと言われ続けた場合、子どもの心には「あ~僕(私)は、バカで無能な人間なんだ」という自分への認識が出来上がってしまいます(詳しくは、『失敗を繰り返す子』を参照)。

このように親のネガティブな言葉は、子どもがポジティブな自己像(「自分には愛情があって、人からも愛されて、人間として価値があって、能力もある」というイメージ)を持つ能力を奪っていくだけではなく、将来どのようにして世の中とうまく付き合っていけるかということについてもネガティブな像を作り上げてしまうのです。

ネガティブな自己像を取り上げる

心理療法では、このように内面化され、自分で自分を苦しめるもとになっているネガティブな自己像を、再び表面に引き出すことによって、打ち破っていく作業を「安心できる関係性の中」で一緒に取り組んでいきます

この作業を一人で取り組むことは、大変難しく苦痛を伴うため、独自で行わないよう注意してください。

必ず心の専門家である心理カウンセラー・臨床心理士と安心した関係性の中で一緒に取り組んでいくことが大切なのです。

【自己否定感のメカニズムは『自分はダメだ~と思う心理』を参照ください】

 

116+